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October
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ふわふわして、気持ちがいい夜だった。
ずっと先生に抱かれている感覚がある。
俺と先生の体温が溶けあって、混ざり合っていく。
俺の居場所はここだ、と明確に直感できるほどの心地よさ。
それなのに。翌朝、俺は下半身の不快感で目を覚ました。
ぼーっとした頭が急速に冴えていく。
やばい。夢精…した。
眠い目を精いっぱい開けて先生を探す。幸いなことに、先生はもう起きた後だった。
もうお仕事行ったのかなぁ…。
さっきまでうとうと気持ちよかったのに、いや、気持ちよかったからこそかもしれない。感情の落差で虚しくなる。
「はぁぁぁ…。」
これから処理しなくてはならないだるさと、先生に見られなくてよかったという安堵感で感情がぐちゃぐちゃだ。
人によるんだとは思うけど、俺はそんなに夢精が多い方ではない。
大学に入ってからはこれが初めてだ。
布団、大丈夫かな。臭くなってるだろうから洗わないと。
まだ疲れの残る体を引きずって、下着を替えに行く。
まだ七時。休日なのにこんな早く起きなくちゃいけなくなるとは思ってなかった…。
明らかにいつもより気分がナーバスで、ネガティブになっていることに気づく。
考えれば考えるほど、超絶短い睡眠時間でずっとにこにこしていられる先生が謎で仕方ない。
どうせ先生の妹さんが使ってた布団も干す予定だったし。カバーだけ別で洗って一緒に干しちゃえばいいや。
今日やるタスクが山積みになっていく。
「えーっとまずは…。」
朝早く起きることになってしまった悲しみをぶつけるように、下着を思いっきり絞る。
出てきた水はまだ白濁していて、もう一度水につける。
三回ほど絞って、やっと水がきれいになった。
ベッドのカバーも、布団のカバーも手洗いする。
全部を洗って洗濯機に突っ込めたのは、八時半になるころだった。
カラン、カラン、と動き始める洗濯機に、こんな朝から働かせてごめんね、と心の中で謝る。
昨日のお昼に食べようと思っていた弁当がまだ残っているから、それでとりあえず空腹は凌げるはずだ。
ふぅ、とリビングの椅子に座ったところで、俺はやっと机の上の置手紙に気づいた。
「ゆうへ
今日はフィールドワークに行くので、帰りが遅くなりそうだから、先に寝ていてね。寂しい思いをさせてしまってごめんね。」
先生の字。
くせがなくて、丁寧な字。
優しい性格がにじみ出ている字。
早く帰ってこられないのは残念だけど。
先生は毎日頑張ってる。俺もちゃんと頑張ろう。
虚しくて曇っていた心が、ちょっとだけ晴れた気がした。
ずっと先生に抱かれている感覚がある。
俺と先生の体温が溶けあって、混ざり合っていく。
俺の居場所はここだ、と明確に直感できるほどの心地よさ。
それなのに。翌朝、俺は下半身の不快感で目を覚ました。
ぼーっとした頭が急速に冴えていく。
やばい。夢精…した。
眠い目を精いっぱい開けて先生を探す。幸いなことに、先生はもう起きた後だった。
もうお仕事行ったのかなぁ…。
さっきまでうとうと気持ちよかったのに、いや、気持ちよかったからこそかもしれない。感情の落差で虚しくなる。
「はぁぁぁ…。」
これから処理しなくてはならないだるさと、先生に見られなくてよかったという安堵感で感情がぐちゃぐちゃだ。
人によるんだとは思うけど、俺はそんなに夢精が多い方ではない。
大学に入ってからはこれが初めてだ。
布団、大丈夫かな。臭くなってるだろうから洗わないと。
まだ疲れの残る体を引きずって、下着を替えに行く。
まだ七時。休日なのにこんな早く起きなくちゃいけなくなるとは思ってなかった…。
明らかにいつもより気分がナーバスで、ネガティブになっていることに気づく。
考えれば考えるほど、超絶短い睡眠時間でずっとにこにこしていられる先生が謎で仕方ない。
どうせ先生の妹さんが使ってた布団も干す予定だったし。カバーだけ別で洗って一緒に干しちゃえばいいや。
今日やるタスクが山積みになっていく。
「えーっとまずは…。」
朝早く起きることになってしまった悲しみをぶつけるように、下着を思いっきり絞る。
出てきた水はまだ白濁していて、もう一度水につける。
三回ほど絞って、やっと水がきれいになった。
ベッドのカバーも、布団のカバーも手洗いする。
全部を洗って洗濯機に突っ込めたのは、八時半になるころだった。
カラン、カラン、と動き始める洗濯機に、こんな朝から働かせてごめんね、と心の中で謝る。
昨日のお昼に食べようと思っていた弁当がまだ残っているから、それでとりあえず空腹は凌げるはずだ。
ふぅ、とリビングの椅子に座ったところで、俺はやっと机の上の置手紙に気づいた。
「ゆうへ
今日はフィールドワークに行くので、帰りが遅くなりそうだから、先に寝ていてね。寂しい思いをさせてしまってごめんね。」
先生の字。
くせがなくて、丁寧な字。
優しい性格がにじみ出ている字。
早く帰ってこられないのは残念だけど。
先生は毎日頑張ってる。俺もちゃんと頑張ろう。
虚しくて曇っていた心が、ちょっとだけ晴れた気がした。
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