青春なんて要らないのに

紐下 育

文字の大きさ
上 下
68 / 108
August

61

しおりを挟む
ただいま23時。
ベッドの上でまったり過ごしていてあとは寝るだけ、という状態だけど、先生の甘えたモードが発動していて眠れない。
俺は夕方昼寝したから、そこまで眠たくないけど。

俺の膝の上に先生の重たい頭。
最年少で教授になれるだけの頭脳が、今俺の膝の上にある。
ちょっとした支配欲が出てきそうで、慌てて抑え込んだ。

「ねぇ、ゆう?」
「どうしました?」
「後期も、僕の家にいてくれるよね?」
「え?」
「広瀬君と登校するようになっても、僕の家に住んでてくれるよね?」
「さくくんに追い出されるまで、住まわせてもらいたいと思ってますよ。」
「へへ、じゃあ、一生ここにいてくれるんだね。」
「さくくんに追い出されなければ。」
「そんなこと、するわけないじゃん。大学卒業しても、引きこもりになったとしても、何があっても僕が養うんだから。」
「ふふ、ありがとうございます。」

横になってる先生の喋り方は、いつもよりとろとろしている。
眠そう。

「さくくん、もう眠いですか?」
「んーん。大丈夫。」
「大丈夫ってことは眠くはあるってことですよね。」
「やだ!寝ない!もっとゆうに甘えたいもん。」
「さくくん、たまに駄々っ子みたいになりますよね。」
「そう?通常運転だと思うけど。」
「だとしたらヤバいです。」
「でも、なんだかんだ言って僕のこと甘やかしてくれるよね。」
「さくくんに言われたら断れないです。」
「それは、僕が先生だから?」
「うーん、普通に、尊敬してるからじゃないですか?さくくんが思ってるより、俺はさくくんのこと好きだと思います。」
「えっ?」
「えっ?」
「かわいすぎるでしょ。」

気付いたら、俺の背中がベッドについていた。
上には先生。
これって俗にいう、「押し倒された」ってやつ…?

「えっ、ええっ、」

頭が真っ白になって、口から戸惑いの声だけが漏れる。

「なーんてね。」

先生がにやっと笑う。

「びっくりした…。」
「へへっ。」
「もうっ、もう、膝枕しないですからね!俺はもう寝ます。」

照れてるのがバレたらまずい。
そう思って、怒ったふりをした。

「ごめんね?でも、可愛すぎるのは本当。」
「そんなの、俺は知らないです。」
「僕にとっては死活問題だよ。」
「なにそれ…。」

俺がわざわざ壁の方を向いて横になったのに、力の強い先生は俺をあっけなくくるっとひっくり返す。

「そんなにほっぺたふくらませても、可愛いだけでちゅよ?」

赤ちゃんをあやすみたいな先生の口調。絶対、おちょくられてる。

「かわいいねぇ。」

先生がずっとそう言ってくるもんだからもう俺は口を挟む気もなくなって、ただただ目を閉じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

3人の弟に逆らえない

ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。 主人公:高校2年生の瑠璃 長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。 次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。 三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい? 3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。 しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか? そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。 調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話

ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに… 結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?

反抗期真っ只中のヤンキー中学生君が、トイレのない課外授業でお漏らしするよ

こじらせた処女
BL
 3時間目のホームルームが学校外だということを聞いていなかった矢場健。2時間目の数学の延長で休み時間も爆睡をかまし、終わり側担任の斉藤に叩き起こされる形で公園に連れてこられてしまう。トイレに行きたかった(それもかなり)彼は、バックれるフリをして案内板に行き、トイレの場所を探すも、見つからず…?

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

平熱が低すぎて、風邪をひいても信じてもらえない男の子の話

こじらせた処女
BL
平熱が35℃前半だから、風邪を引いても37℃を超えなくていつも、サボりだと言われて心が折れてしまう話

処理中です...