青春なんて要らないのに

紐下 育

文字の大きさ
上 下
5 / 134
April

しおりを挟む
先生の顔が近い。
「君のことが好きだよ…愛してる」
密室で、俺には逃げ場がない。先生の唇がどんどん、どんどん近づいてきた。
ちゅ、、柔らかい唇の感触。ファーストキス、先生に奪われちゃった、、
「んっ、ふっ、、」






はっ。先生の車の中で寝ちゃってたのか…変な夢見ちゃった
ふと横を見ると先生の顔。
「あ、起きた?今起こそうと思ってたんだ、ちょうど着いたところだよ」
先生が運転しているのに寝るなんて、、本当に申し訳ない。

こんな俺にも、先生は相変わらず優しい。後部座席から降りるのでさえ、おいでと言って手を取り、エスコートしてくれる。

え、?マンションでかくないか…?
「ここが僕の家だよ。時間なくてまだ作れてないんだけど、合鍵もあとで渡すからね。」
「え、あ、ありがとうございます、、」

色々と展開早くて追いつかないな、、なんかすごいことになってる気がする。

先生の家はめちゃくちゃきれいに整理されていた。やっぱり先生の家だ。
白を基調にした部屋に、ブルーのソファー。見るからにふかふか。

「よければここ座っておいて~」
「え、いいんですか⁉」先生から許可が下りたので、ソファーに座らせてもらった。ふかふかのソファーはやっぱり気持ちいい。大学の椅子は基本硬いし、一人暮らしを始めたばかりの家に、座りごこちのいい椅子なんてあるわけない。久しぶりのこの感覚。

ふかふかぁぁぁぁ…

「そういえば、晩御飯まだだったよね?何食べたい?」

何食べたいかな、、先生とだったら何でもいいな

「好きな食べ物はある?」
「オムライスです」

先生がふふっと笑う。口元に手をあてて笑うしぐさ、めちゃくちゃ上品で好きだな、、
「よし、じゃあ宅配頼むか!どこのがいい?」
先生がスマホを見せてくる。ふわとろオムライス、大盛りオムライス、とろとろオムライス…どれもおいしそう、、

「これにしてもいいですか?」
俺が選んだのはふわふわのオムライス。ふわふわの卵がおいしそうだったから。あと、他のオムライスに比べて安かったから。
「もちろん!じゃあ僕も同じの食べよう~」
…やっぱりこの先生、かわいすぎる。

アプリで注文を終えた先生は、いつまでもソファーにいる俺の横に来た。
「ソファー、気に入ってくれた?」
当たり前だ。こんなに居心地のいいソファーがあれば誰だって溶けちゃうと思う。
「君には青が似合うね~」
そういいながら、俺の喉仏のあたりをこちょこちょとなでる。もしかしたら俺は猫だと思われてるのかもしれない。

…そして、何気にくすぐったい。
さりげなく避けようとしたのに、捕まえられた。
「なんで逃げようとするの~?」
ちょっと笑うような、それでいてちょっと口角が下がったような。悲しそうな顔をされる。
「なんか申し訳ないです、、先生の猫になったみたいで」
18歳なのにくすぐったいっていうのはなんだか恥ずかしいような気がして言い訳を考えたけど、なんかくすぐったいって言うより恥ずかしいこと言った気がする。
「なにそれ、かわいい」

そして、俺の小さな抵抗は先生に気づいてもらえなかったみたいだ。先生の指は止まらない。
「っん、、っあ」
「ふふっ、かわいいね、、」
やばいやばいこれ、なんか変な声でる…!!

「もしかしてくすぐったい?」
先生は首をかしげてにやっと笑った。
「…はい」
恥ずかしかったからあえて言わなかったのに…!
「へぇぇ、、いいこと聞いちゃったかも、くすぐったがりなんだね」

恥ずかしすぎる、何この時間、、

俺が顔を赤らめているところに、ちょうどオムライスが届いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

坊ちゃんは執事兼教育係の私が責任を持って育てます。

幕間ささめ
BL
一目惚れして爵位を捨てた執事兼教育係(攻め)×執事大好き純粋ぽわぽわ坊ちゃん(受け)

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...