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第二章

24.凄いシステム

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 茶トラは籠をどこからか咥えて持ってきた。野草園に行くことまで分かっているらしい。
 他のも付いてきて、森羅が野草園の地面に置かれると素早く背後で横たわって背もたれ代わりになってくれた。
 腹に耳を付けると、ぐぅっ、ぐぅっ、ぐぅっという呼吸音。忙しないがなぜか心地よく、毛むくじゃらの身体から伝わってくる体温はスエンと同じぐらい気持ちがいい。
 空には満点の星。そして、以前生きていた場所では絶対に見られない大きさの月が出ている。
 スエンが畝の中に入っていく。
 奥の方から緑のシワの深い葉が茂った草の根の部分をいじっている。茶トラが籠を持ってついていく。
 畝の手前まできたスエンに聞いた。
「先生。何を摘んでいるんですか?」
「ハシバミの実です。灯火具の油にしたり、食用にしたり。脂肪分が多いので生で食べても美味しいのですが、炒って塩を振って食べるのもおすすめです」
「へえ。ってことは今、収穫期なんですね」
「シュムウという時期です。生命が土地に溢れ出す洪水期がアケト。水を得た大地から植物が発芽する成長期がプルト」
「ということは、近くに大きな河が?」
「いえ。クルヌギア以外が三季に分かれているという意味で。この野草園の植物は」
 スエンが奥にあるこんもりと茂る森を指差す。
「原種の森から採取したもので、野草園で植え直し害がないか検証した上で、一部を土人形に渡し栽培を許可します」
「凄いシステム」
「あの森には行ってはなりませんよ。野生のニャーゴが徘徊しています。鋭い爪でやられたらひとたまりもありません」
 物書きとして原種の森は見てみたい気がするが、身体がついていかない。
 元気になったらスエンが採取で森に入るときに頼み込んで連れて行ってもらおう。
 他の植物も採取したり観察したりし、木の板に木炭で書きつけた後、スエンは野草園での作業を終える。
 森羅を連れて居間に戻ると今度は粘土を練って半分に折った新聞紙サイズの大きさにし、葦を削ったペンで楔形文字で書きつけていく。
「下書きは木の板で清書は粘土板?」
「ええ。ほとんどの木の栽培はまだ許可されていませんから、キ国の記録文書はまだ粘土板です」
「この書き終わったのは?同じのが二枚あるようですけど」
 森羅は次々と埋められていく粘土板を眺める。
「釜で焼いた後、一部はクルヌギアに残し、もう一部はニャーゴ便でキ国の聖都の文書庫に送ります」
「土人形たちも読むことは可能?」
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