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おまけのバットゥータ
171:ボクのことを好きに使ってくれていいよ
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「帰れって言ってんだろ!」
しつこさに思わず、バットゥータは声を荒げる。
だから、スレイヤーはまた沈黙した。
でも、少し時間を置いて、小声で聞いてくる。
「まだ、アドリー父様のこと、好き?」
「あなたには関係ないでしょうがっ!」
たまらず、毛布を跳ね上げた。
スレイヤーは身体を小さくして、絨毯の上に座っている。
怒鳴られるのは覚悟の上のようだ。
「いつから思っているの?まさか小さい頃からって言わないよね?アドリー父様はローマのララといい仲なんだよ?隠しててもボク分かる。入り込む隙間なんかないよ。だから、ボクじゃダメ?アドリー父様の代わりにしていいから」
「話にならない」
ずっと、スレイヤーはここに居続けるだろう。
そのしつこさが嫌になって、バットゥータは長衣を羽織って、外に出た。
「ねえ。どこ行くの?」
とスレイヤーが追って来るので、路地に入って彼を巻く。
家には帰れないので、エミルがいる宿に向かった。
一晩借りると使いの者にアドリーの館へと言付けて貰って、部屋に入る。
だが、予想通りというか、なんというか、しばらくして、スレイヤーが部屋に来てしまった。
このしつこさを、なぜ、仕事に活かせないのか?
生まれは悲惨だが、育った環境は一級だ。本当にもったいない。
いや、今、そんなことはどうでもいい。
なんだろう、この気持ち。
小鳥の地位どころか、その息子の地位さえ自分は羨ましく思っているようだ。
バットゥータはスレイヤーを枕を投げつけ追い払おうとする。
「……何で?」
そこまでされると思っていなかったのか、スレイヤーは扉を背にして棒立ちになる。
「何でじゃねえよ。いいから、帰れっ!!」
バットゥータの元々の性格は、アドリーと同じで短気だ。
生きていく上で怒らない術を身に着けただけで、余裕が無くなれば、本性が顔を出す。
スレイヤーが消え入りそうな声で言った。
「……バットゥータ。さっきも言ったけれど、ボクのことを好きに使ってくれていいよ」
怒りがこみ上げてきて、バットゥータは扉の前に佇むスレイヤーの前に立った。
「今、何つった?」
とゆっくり聞き返す。
すると、スレイヤーは言ってはいけない言葉だと分かっているかのように、苦しげに答えた。
「この前、バットゥータは苦しそうだった。ずっと、アドリー様、アドリー様って。最後には泣いてた。だから……」
バットゥータはスレイヤーの頭を力任せに叩いた。
大事に育ててきたので、それは初めての暴力と言ってよかった。
「誰が、こんなクソ手間のかかるガキなんか。何も出来ねえくせに」
「出来るよっ」
「じゃあ、お望みどおりやってやろうか」
バットゥータは、スレイヤーの長衣の首元に手をかけた。
ボタンを引きちぎるようにして服を脱がす。
スレイヤーは恐れおののき、壁越しにしゃがみ込む。
バットゥータも同じ姿勢になり、スレイヤーの顎を掴んで言った。
「その貧相な身体。誰かみたいだ」
背丈はアドリーよりスレイヤーの方がもう大きい。
でも、肉付きの悪い身体は当時のアドリーそっくりだ。
だから、薬で前後不覚になったとき、昔の思いが溢れ出てしまったのだろう。
全裸にしてスレイヤーを壁際に立たせる。
力任せに押しつぶして、吐息混じりの悲鳴をあげさせた。
「そこまでして、やりたいか。この色狂い」
「それは、ボクの母親でしょう??」
「なーんだ、知ってた?アドリー様とローマのララが気にしてましたよ。あなたへ、出自ことをどう傷つけないように話そうって」
バットゥータは少し冷静になり、スレイヤーから一歩離れると、彼は裸で抱きついてくる。だから、また壁に突き飛ばす。
「ローマのララが、ボクの実の父親だってこともだいぶ前から知っている。あの人、実は犯罪歴があるかもしれなくて、その犯罪で大金を手にして今の地位を築いたって噂があることも。あと、ボクのこと苦手に思っていることも。アドリー父様だって子供は得意じゃなさそう。だから、ボクには小さな頃から泣きついていいのはバットゥータだけって分かっていた。守ってくれる大きな手や身体が大好きだった。そのバットゥータが昔の恋で苦しんでるなら、ボク」
バットゥータはスレイヤーに平手を張った。
これ以上過去のことに口を出してくるなら、喋らなくなるまで殴る気でいた。
「痛っ……」と叫んだスレイヤーは殴られる恐怖を抱えながら、また、話しかけてくる。
「ねえ。ボクの身体、使って。身体重ねている最中、声を出さないから。なんなら、枕で顔を隠しているから。ねえってば」
返事を求められ、また平手で返す。
今のは力の下限がまるで出来なかった。
スレイヤーは衝撃で壁にぶつかって、鼻から鮮血が垂れ始めた。
そして、裸のままバットゥータに掴みかかってくる。
とうとう頭に来たらしい。
「アドリー父様は、バットゥータのなんて見てないんだって。ローマのララのことばっかりなんだって!いつまで思っている気だよ、アドリー父様のこと!気持ちが悪いよ!!」
今まで怒りでいっぱいだったのに、ずしんとスレイヤーの声が耳に響く。
妙に冷静な気分になれて、スイヤーの鼻血を指で拭いながら口付けた。
お望みの口付けだ。
窒息しそうなぐらい激しいのを食らわせてやる。
子供の口は小さく、そして熱い。
肉厚のバットゥータの舌に、薄い舌が絡めとられもがいている。
唾液が溢れ出し、ゴフッと苦しげな咳をスレイヤーがした。
バットゥータは、
「犯されたって親に泣けつけ。クソガキが」と言い捨てて、彼の服を一式廊下に放って、そのまま蹴り出した。
しつこさに思わず、バットゥータは声を荒げる。
だから、スレイヤーはまた沈黙した。
でも、少し時間を置いて、小声で聞いてくる。
「まだ、アドリー父様のこと、好き?」
「あなたには関係ないでしょうがっ!」
たまらず、毛布を跳ね上げた。
スレイヤーは身体を小さくして、絨毯の上に座っている。
怒鳴られるのは覚悟の上のようだ。
「いつから思っているの?まさか小さい頃からって言わないよね?アドリー父様はローマのララといい仲なんだよ?隠しててもボク分かる。入り込む隙間なんかないよ。だから、ボクじゃダメ?アドリー父様の代わりにしていいから」
「話にならない」
ずっと、スレイヤーはここに居続けるだろう。
そのしつこさが嫌になって、バットゥータは長衣を羽織って、外に出た。
「ねえ。どこ行くの?」
とスレイヤーが追って来るので、路地に入って彼を巻く。
家には帰れないので、エミルがいる宿に向かった。
一晩借りると使いの者にアドリーの館へと言付けて貰って、部屋に入る。
だが、予想通りというか、なんというか、しばらくして、スレイヤーが部屋に来てしまった。
このしつこさを、なぜ、仕事に活かせないのか?
生まれは悲惨だが、育った環境は一級だ。本当にもったいない。
いや、今、そんなことはどうでもいい。
なんだろう、この気持ち。
小鳥の地位どころか、その息子の地位さえ自分は羨ましく思っているようだ。
バットゥータはスレイヤーを枕を投げつけ追い払おうとする。
「……何で?」
そこまでされると思っていなかったのか、スレイヤーは扉を背にして棒立ちになる。
「何でじゃねえよ。いいから、帰れっ!!」
バットゥータの元々の性格は、アドリーと同じで短気だ。
生きていく上で怒らない術を身に着けただけで、余裕が無くなれば、本性が顔を出す。
スレイヤーが消え入りそうな声で言った。
「……バットゥータ。さっきも言ったけれど、ボクのことを好きに使ってくれていいよ」
怒りがこみ上げてきて、バットゥータは扉の前に佇むスレイヤーの前に立った。
「今、何つった?」
とゆっくり聞き返す。
すると、スレイヤーは言ってはいけない言葉だと分かっているかのように、苦しげに答えた。
「この前、バットゥータは苦しそうだった。ずっと、アドリー様、アドリー様って。最後には泣いてた。だから……」
バットゥータはスレイヤーの頭を力任せに叩いた。
大事に育ててきたので、それは初めての暴力と言ってよかった。
「誰が、こんなクソ手間のかかるガキなんか。何も出来ねえくせに」
「出来るよっ」
「じゃあ、お望みどおりやってやろうか」
バットゥータは、スレイヤーの長衣の首元に手をかけた。
ボタンを引きちぎるようにして服を脱がす。
スレイヤーは恐れおののき、壁越しにしゃがみ込む。
バットゥータも同じ姿勢になり、スレイヤーの顎を掴んで言った。
「その貧相な身体。誰かみたいだ」
背丈はアドリーよりスレイヤーの方がもう大きい。
でも、肉付きの悪い身体は当時のアドリーそっくりだ。
だから、薬で前後不覚になったとき、昔の思いが溢れ出てしまったのだろう。
全裸にしてスレイヤーを壁際に立たせる。
力任せに押しつぶして、吐息混じりの悲鳴をあげさせた。
「そこまでして、やりたいか。この色狂い」
「それは、ボクの母親でしょう??」
「なーんだ、知ってた?アドリー様とローマのララが気にしてましたよ。あなたへ、出自ことをどう傷つけないように話そうって」
バットゥータは少し冷静になり、スレイヤーから一歩離れると、彼は裸で抱きついてくる。だから、また壁に突き飛ばす。
「ローマのララが、ボクの実の父親だってこともだいぶ前から知っている。あの人、実は犯罪歴があるかもしれなくて、その犯罪で大金を手にして今の地位を築いたって噂があることも。あと、ボクのこと苦手に思っていることも。アドリー父様だって子供は得意じゃなさそう。だから、ボクには小さな頃から泣きついていいのはバットゥータだけって分かっていた。守ってくれる大きな手や身体が大好きだった。そのバットゥータが昔の恋で苦しんでるなら、ボク」
バットゥータはスレイヤーに平手を張った。
これ以上過去のことに口を出してくるなら、喋らなくなるまで殴る気でいた。
「痛っ……」と叫んだスレイヤーは殴られる恐怖を抱えながら、また、話しかけてくる。
「ねえ。ボクの身体、使って。身体重ねている最中、声を出さないから。なんなら、枕で顔を隠しているから。ねえってば」
返事を求められ、また平手で返す。
今のは力の下限がまるで出来なかった。
スレイヤーは衝撃で壁にぶつかって、鼻から鮮血が垂れ始めた。
そして、裸のままバットゥータに掴みかかってくる。
とうとう頭に来たらしい。
「アドリー父様は、バットゥータのなんて見てないんだって。ローマのララのことばっかりなんだって!いつまで思っている気だよ、アドリー父様のこと!気持ちが悪いよ!!」
今まで怒りでいっぱいだったのに、ずしんとスレイヤーの声が耳に響く。
妙に冷静な気分になれて、スイヤーの鼻血を指で拭いながら口付けた。
お望みの口付けだ。
窒息しそうなぐらい激しいのを食らわせてやる。
子供の口は小さく、そして熱い。
肉厚のバットゥータの舌に、薄い舌が絡めとられもがいている。
唾液が溢れ出し、ゴフッと苦しげな咳をスレイヤーがした。
バットゥータは、
「犯されたって親に泣けつけ。クソガキが」と言い捨てて、彼の服を一式廊下に放って、そのまま蹴り出した。
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