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第四章
61:……最悪だ
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「……最悪だ」
目覚めたアドリーは、かすれ声で呟く。
なぜって、尻の下が濡れている。
「バットゥータ。……お前、寝しょんべんたれるの、何回目よ?」
ガジアンテプからイスタンブールまで約九百キロ。
杖を付きながらの旅なので、歩いて移動できる距離はわずかだ。運良く荷馬車に乗れたとしても移動できるのは一日十キロ程度。しかも、休み休み行くので、目的地まで半年ほどかかる。
その間、バットゥータは、アドリーの側を片時も離れない。
一度捨てられたかけた心の傷は大きかったようで、夜尿症まで発症してしまった。
それまで一度もしたことが無かったのに。
手放すと言って不安にさせたのだから、朝一寝具を洗うことが罪滅ぼしになるならいくらでも洗う。
だが、愚痴ぐらいは言わせて欲しい。
「寝る前に水を飲みすぎるなって言っただろうが」
そう言いながら寝返りと打つと、茶色い髪の青年が裸で眠っていて、アドリーは「ん?!」と少し焦る。
よく見ると、毛布にくるまれるようにしてその青年の腕に抱かれていた。
顔立ちからして、バットゥータだ。
随分大きく……。
そこで、はっとする。
「さっきの夢か」
シーツが濡れているのは、寝汗と、唾液とおそらく体液。
多分、それを別のものと勘違いした
目覚めたアドリーは、かすれ声で呟く。
なぜって、尻の下が濡れている。
「バットゥータ。……お前、寝しょんべんたれるの、何回目よ?」
ガジアンテプからイスタンブールまで約九百キロ。
杖を付きながらの旅なので、歩いて移動できる距離はわずかだ。運良く荷馬車に乗れたとしても移動できるのは一日十キロ程度。しかも、休み休み行くので、目的地まで半年ほどかかる。
その間、バットゥータは、アドリーの側を片時も離れない。
一度捨てられたかけた心の傷は大きかったようで、夜尿症まで発症してしまった。
それまで一度もしたことが無かったのに。
手放すと言って不安にさせたのだから、朝一寝具を洗うことが罪滅ぼしになるならいくらでも洗う。
だが、愚痴ぐらいは言わせて欲しい。
「寝る前に水を飲みすぎるなって言っただろうが」
そう言いながら寝返りと打つと、茶色い髪の青年が裸で眠っていて、アドリーは「ん?!」と少し焦る。
よく見ると、毛布にくるまれるようにしてその青年の腕に抱かれていた。
顔立ちからして、バットゥータだ。
随分大きく……。
そこで、はっとする。
「さっきの夢か」
シーツが濡れているのは、寝汗と、唾液とおそらく体液。
多分、それを別のものと勘違いした
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