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第四章

60:もう我慢できない。入れてくれ。洗ってある

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 ジンの身体の中心に指を潜り込ませながら、空いているほうの手でジンの腰にぎゅっと回して唇にキスをする。
「んあ」と小さく漏れる声は、尻穴の刺激を強くすると、濁音混じりの声が「あ、あ、あっ」と連続で漏れるようになる。
 自分より身体の大きい男を攻めて、こんな声を上げさせるなんて、頭がクラクラしてくる。
「ジン、もっとしていい?」
「何が?ちょ、彼方っ!あああっ」
 ジンの尻穴をいじめた状態で、今まで許して貰えなかった、口淫を勝手に押し進める。
 口の中に入ってきたジンの雄は、デカすぎて、ほおばりきれない。
「ここ、そのうちしよう」とさっきジンが言ったのを思い出す。
 これがそう遠くないうちに、自分の中に入ってくるなんて信じられない。きっと優しく丁寧に彼方の身体を開発していくのだろうが、恐怖はある。
 なのにさっきジンに触られた尻穴がキュンキュンと勝手に動く。
「彼方。駄目だって。彼方っ」
 ジンが彼方を引き剥がしにかかった。
 そして、ベットに転がっている潤滑剤のボトルを取り寄せて、自分の手をたっぷりと濡らし彼方の性器に付けてくる。
 少し乱暴に上下された。
 それだけ、ジンも興奮しているらしい。
「もう我慢できない。入れてくれ。洗ってある」
 ジンがコンドームを付け終え、腰の下に枕を敷きながら言った。
「ずっと食ってなかったから、腹には何も入ってない」
「だから、お腹鳴らしてた?」
「おう。彼方と気持ちよくやるために」
 妊娠を防ぐためではなく、かといって男に尻穴に精液を出さないためでもなく、ただ精液がシーツを濡らさないようにするためだけにするコンドームは彼方の目には超絶いやらしく映った。
「僕、本当にしなくていいの?」
「これ、LLサイズ。彼方がしたら、外れる」
「……」
「怒るなよ。そこは、怒るとこじゃ……ない」
 彼方は、のしのしとジンに跨った。
 ジンの足はさら開かれ、彼方が潤滑剤で濡れた性器の先端を尻穴に当てると、きゅうきゅうと誘い込むように動く。
「僕、今夜、こんなことするなんて思ってもなかった」
「引いた?」
「興奮で鼻血出そう」
「出たら、ティッシュで栓してやる。だから」
 ジンが耳元に唇を寄せてくる。
 両手が重ねられた。
「今は俺に栓しろよ」
 ゆっくりするつもりが煽られて、ずぶりとジンの中に性器を進めてしまった。
 重ねられていた互いの両手の指がきつく絡み合ったと同時に「ぅあっ---っ」とジンが声を上げる。
「ごめん、痛い?」
「受けるの久しぶりすぎて、目がくらむ」
 ジンの手が彼方の首に回った。
「死ぬほど気持ちがいいっ」
 長い足が、彼方の身体に絡みついてきた。
「俺の中どう?」
「入口が狭くて、奥は暖かくて、引きずり込まれる感じ。あっ、ンンッ。そんなきゅうきゅうに絞めつけないでよ。本当にっ、駄目人間にっ、なっちゃう」
「彼方、そこ」
 指示されなくても本能的に性器を抜き差ししていた。
 あの、ジンに。
 大雪の中、怒りながらやってきて、
 あんた、馬鹿だよね。
とか、
 時給七十円だぞ。
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