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恋の矢印

いつから独りが嫌になったのだろう

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「てワケで!ウチに私の友達とかが来ても、いないって言っといてねぇ~。」


「‥‥?
うん、イイけど。」



凪が今まで家に友達を呼んだことが、あっただろうか?

そんなことを考えながら、私はトボトボと帰路に着いた。



「あ‥‥。」



マンションを目の前にして、とあることに気付く。


ここしばらくは、家に独りでいることが無かったのだ。

最近は賑やかなもので、凪がいなくても葵くんや千鶴が出入りして‥‥。


その時、ふいに傷がえぐられたような痛みが走った。




千鶴‥‥もう、来ないかもな。


あんなに哀しそうにしている千鶴は、初めてだった。

胸が、どうしようもなく痛かった。




―まるで、

自分を見ているようだったから。



そう胸を焦がした途端、
玄関のドアがとてつもなく大きな鉄の塊に思えた。


重たい鉄。


私はこのドアを、開けることが出来るのだろうか‥‥?

きっと、開けたくないのだ。

色々と、考えたくないことが
山積みで。

だから無意識にドアノブを、
ギュッと握り締めた。


私は自嘲するようにボソリと呟いた。





「‥‥いつからこんなに独りが嫌になったんだろ。」



―ガチャ‥‥



―‥‥?





「あーもー!!オッサンさっきからその手ばっか!マジせこい!」


「煩いですね。
口よりも手を動かしたらどうですか?」



ああ‥‥きっと、
常にコイツらが家にいるからだ。
 
 
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