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妹悪魔と幼なじみ
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「起きろ~~!」
妹悪魔は朝からついていけないぐらいテンションが高かった。
それもその筈、今日は俺が、高校への初めての登校日だからだ。
言い忘れていたが、俺は始業式にも入学式にも、出席したことは一度もない。新しい学年になった瞬間に、ぼっちが確定するのである。なぜなら学校に大した関係者がいないからだ。
何はともあれ、俺は今日から学校に行く。そう、行くんだが。
「やった、やった、お兄ちゃんが学校に行くぞーー!。イエーイ!。」
イエーイじゃねえよ。あと、正直ここまで喜ばれると、お兄ちゃん逆に悲しくなるよ。というか、近所に聞こえるからマジでやめて。
妹悪魔は嬉しいせいなのか、鼻歌を歌いながら制服に着替え始めた。
妹とは不思議なものだ。絶対に異性として見ることも無ければ、体が当たってドキドキすることもない。たぶん、いっしょに寝ることになってもなんとも思わない。
もしそれが俺の彼女だったなら、触れた瞬間にあの世に行ってしまうと思う。それで死ぬとか、俺どんだけメンタル弱いんだよ。というか、悲しいことに彼女いねぇんだよ。
妹のことから自分の悲しい部分に話がズレ始めた俺に、妹悪魔は制服姿で話しかけてきた。「ねぇねぇお兄ちゃん?聞きづらいんだけどさぁ、お兄ちゃんって学校の友達っているんですか?。」
聞きづらいなら聞くなよ。てか、何で敬語なんだよ。気ーつかってるならやめろ、余計傷付く。
「俺に高校の友達何ているわけないだろ?だって、高校に行ったことねぇし。」
なんとも素っ気ない返事を返すと、妹悪魔は「ああ・・・、うん、そだね。」と、若干引きながら適当に答えてきた。
やめて、そんな哀れみの目で俺を見ないで。マジで消えたくなるから。
朝の支度を終わらせ家を出ると、変に飾られたポストの中に一枚の封筒が入っていた。
「お兄ちゃん、それ誰から?」
「さぁ。」
見た感じどこにでもありそうな封筒だったが、裏にあったマークですぐに分かった。
学校に行く途中、妹悪魔は自転車を漕いでいる俺につかまりながら話かけてきた。
「ねぇねぇ知ってる?もうすぐみことちゃんがここに引っ越してくるんだよ!。イヤー楽しみだなぁ~。」
お前はいちいち思ったことを話さないと、気がすまないのか。危ないから静かにしてろ。
「ねぇねぇ、みことちゃんってお兄ちゃんと同い年だよね?」
「ああ、そうだけど。」
「良かったじゃんお兄ちゃん!!知り合いがいるって、お兄ちゃんにとってはまさに奇跡だよ!!いやー、これで安心できるよ。」
お前俺の評価低すぎるだろ。
友達以前に知り合いがいるだけで奇跡って、俺、そこら辺の石ころといっしょじゃねえか。というか、それで何でお前が安心してんだ。
雪白 未琴。俺と同い年で、四年前にオーストラリアに留学しては、なんと二ヶ月に一回は、自分が楽しんでいる写真と手紙を俺当てに出してくる面倒なやつだ。もうすぐ日本に帰ってくるらしく、仲の良い妹悪魔はとても楽しみにしている。
そもそもみことは、昔いっしょによく遊んだぐらいの中で、比較的誰にでもいる幼なじみというやつだ。アニメとかだと、その幼なじみが自分に片思いしていたりするものだが、現実は甘くない。ただただ、親近感が周りよりも強いだけであって、恋愛対象として見ることはないと思う。なぜか本物のリア充どもはそのままゴールインしていたりするが、そんなのどこが良いのか検討もつかん。だって子どもの時からずっと隣にいるって、守護霊かなんかと一緒じゃん。絶対鬱陶しいじゃん。でも、個人的にはなんか憧れるじゃん。やっぱ良いなあ~。
俺が自分の世界で噛み合わない議論を勝手にしていると、初めて見た感じがしてならない学校の校舎が見えてきた。
俺の通っている(と言えたらすごい)この学校は学力は普通でもスポーツ特待などの制度があり、個人の長所を尊重する学校である。ちなみに俺は、ゲームが得意と言えば学校で絶対絡まれると思ったので、プログラミング技術にものすごく特化しているという設定で入学を希望した。そしたら、なぜか合格通知が届いていたという自分でもよくわからん結果になっていた。行き先をテキトーに決めた学校に、ゲームを極めて入るってどうなんだ?そして、俺の評価決めたやつ誰だよ。はっきり言ってアホだろ!悲しいことに自分の長所を尊重してずっと引きこもってましたよ!。
学校に入ると、やはり初めて見た人感がすごいらしく、一気に注目の的になってしまった。そう、嫌な意味で。 そして妹悪魔がなぜかものすごく赤い顔で、俺の背中に隠れるようにして座ってるのはなぜだ?どっかに好きなやつでもいるのか?なら、お兄ちゃんそいつに十時間ぐらい説教してやろう。二度と家の妹に近づくな!ってな。校門の横にある駐輪場に自転車を停めていると、妹悪魔が何か言いたげな顔をしながら俺の背中をどついてきた。
「イテーーな、なんなんだよ。」
「お兄ちゃんに一つ約束して欲しいことがあります!私とお兄ちゃんが兄妹だってことを絶対秘密にして下さい!」
「は?」
「さっき校門通った時友達がいてさ、スッゴい恥ずかしかったんだ。だからできるだけ離れといてくれた方がありがたいんだけど。いい?」
ああなるほど、さっきこいつがトマトみたいな赤面になってたのはこういうことか。良かった~。お兄ちゃん怒りが爆発するかもしれなかったよ。ん?待て待て。
「おいコラ、回りくどく俺と一緒にいたらダメみたいに言うんじゃねえよ。あと、それを言おうとする友達と言えるやつがここにはいねぇよ。」
「自分で分かってるくせに
妹悪魔は朝からついていけないぐらいテンションが高かった。
それもその筈、今日は俺が、高校への初めての登校日だからだ。
言い忘れていたが、俺は始業式にも入学式にも、出席したことは一度もない。新しい学年になった瞬間に、ぼっちが確定するのである。なぜなら学校に大した関係者がいないからだ。
何はともあれ、俺は今日から学校に行く。そう、行くんだが。
「やった、やった、お兄ちゃんが学校に行くぞーー!。イエーイ!。」
イエーイじゃねえよ。あと、正直ここまで喜ばれると、お兄ちゃん逆に悲しくなるよ。というか、近所に聞こえるからマジでやめて。
妹悪魔は嬉しいせいなのか、鼻歌を歌いながら制服に着替え始めた。
妹とは不思議なものだ。絶対に異性として見ることも無ければ、体が当たってドキドキすることもない。たぶん、いっしょに寝ることになってもなんとも思わない。
もしそれが俺の彼女だったなら、触れた瞬間にあの世に行ってしまうと思う。それで死ぬとか、俺どんだけメンタル弱いんだよ。というか、悲しいことに彼女いねぇんだよ。
妹のことから自分の悲しい部分に話がズレ始めた俺に、妹悪魔は制服姿で話しかけてきた。「ねぇねぇお兄ちゃん?聞きづらいんだけどさぁ、お兄ちゃんって学校の友達っているんですか?。」
聞きづらいなら聞くなよ。てか、何で敬語なんだよ。気ーつかってるならやめろ、余計傷付く。
「俺に高校の友達何ているわけないだろ?だって、高校に行ったことねぇし。」
なんとも素っ気ない返事を返すと、妹悪魔は「ああ・・・、うん、そだね。」と、若干引きながら適当に答えてきた。
やめて、そんな哀れみの目で俺を見ないで。マジで消えたくなるから。
朝の支度を終わらせ家を出ると、変に飾られたポストの中に一枚の封筒が入っていた。
「お兄ちゃん、それ誰から?」
「さぁ。」
見た感じどこにでもありそうな封筒だったが、裏にあったマークですぐに分かった。
学校に行く途中、妹悪魔は自転車を漕いでいる俺につかまりながら話かけてきた。
「ねぇねぇ知ってる?もうすぐみことちゃんがここに引っ越してくるんだよ!。イヤー楽しみだなぁ~。」
お前はいちいち思ったことを話さないと、気がすまないのか。危ないから静かにしてろ。
「ねぇねぇ、みことちゃんってお兄ちゃんと同い年だよね?」
「ああ、そうだけど。」
「良かったじゃんお兄ちゃん!!知り合いがいるって、お兄ちゃんにとってはまさに奇跡だよ!!いやー、これで安心できるよ。」
お前俺の評価低すぎるだろ。
友達以前に知り合いがいるだけで奇跡って、俺、そこら辺の石ころといっしょじゃねえか。というか、それで何でお前が安心してんだ。
雪白 未琴。俺と同い年で、四年前にオーストラリアに留学しては、なんと二ヶ月に一回は、自分が楽しんでいる写真と手紙を俺当てに出してくる面倒なやつだ。もうすぐ日本に帰ってくるらしく、仲の良い妹悪魔はとても楽しみにしている。
そもそもみことは、昔いっしょによく遊んだぐらいの中で、比較的誰にでもいる幼なじみというやつだ。アニメとかだと、その幼なじみが自分に片思いしていたりするものだが、現実は甘くない。ただただ、親近感が周りよりも強いだけであって、恋愛対象として見ることはないと思う。なぜか本物のリア充どもはそのままゴールインしていたりするが、そんなのどこが良いのか検討もつかん。だって子どもの時からずっと隣にいるって、守護霊かなんかと一緒じゃん。絶対鬱陶しいじゃん。でも、個人的にはなんか憧れるじゃん。やっぱ良いなあ~。
俺が自分の世界で噛み合わない議論を勝手にしていると、初めて見た感じがしてならない学校の校舎が見えてきた。
俺の通っている(と言えたらすごい)この学校は学力は普通でもスポーツ特待などの制度があり、個人の長所を尊重する学校である。ちなみに俺は、ゲームが得意と言えば学校で絶対絡まれると思ったので、プログラミング技術にものすごく特化しているという設定で入学を希望した。そしたら、なぜか合格通知が届いていたという自分でもよくわからん結果になっていた。行き先をテキトーに決めた学校に、ゲームを極めて入るってどうなんだ?そして、俺の評価決めたやつ誰だよ。はっきり言ってアホだろ!悲しいことに自分の長所を尊重してずっと引きこもってましたよ!。
学校に入ると、やはり初めて見た人感がすごいらしく、一気に注目の的になってしまった。そう、嫌な意味で。 そして妹悪魔がなぜかものすごく赤い顔で、俺の背中に隠れるようにして座ってるのはなぜだ?どっかに好きなやつでもいるのか?なら、お兄ちゃんそいつに十時間ぐらい説教してやろう。二度と家の妹に近づくな!ってな。校門の横にある駐輪場に自転車を停めていると、妹悪魔が何か言いたげな顔をしながら俺の背中をどついてきた。
「イテーーな、なんなんだよ。」
「お兄ちゃんに一つ約束して欲しいことがあります!私とお兄ちゃんが兄妹だってことを絶対秘密にして下さい!」
「は?」
「さっき校門通った時友達がいてさ、スッゴい恥ずかしかったんだ。だからできるだけ離れといてくれた方がありがたいんだけど。いい?」
ああなるほど、さっきこいつがトマトみたいな赤面になってたのはこういうことか。良かった~。お兄ちゃん怒りが爆発するかもしれなかったよ。ん?待て待て。
「おいコラ、回りくどく俺と一緒にいたらダメみたいに言うんじゃねえよ。あと、それを言おうとする友達と言えるやつがここにはいねぇよ。」
「自分で分かってるくせに
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