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18.こうあるべき、は首を絞める
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草木に付いた朝露に太陽の光が反射してキラキラと光っている。
雲ひとつない晴天。風がさわやかに吹き抜けて、白いレースを揺らしている。
絵になるようなその画をただ、ぼーっとみつめる。
私は昨日、魔術の練習中に倒れたらしい。
夜中に目が覚めた時、サフィール様に手を握られていたのにはちょっとびっくりした。
魔術なんて危ないもの教えるんだもん監督責任的なのあるのかな…悪いことしたなぁ。
まずはゆっくり休んでくれって言われて、組まれていたスケジュールは1度白紙になったらしい。
みんな色々と動いてくれていただけに申し訳なさが募る。
ベッドの上で体育座りになり膝に頭を押し付ける。
あーもーほんと、情けない。しっかりしないと…
「ミヤシロ様。ちょっとだけ外、行きませんか?」
急にかけられた声にはね起きる。
声につられて見てみると、窓枠にいる真っ白な小鳥が首をかしいでいる。
1人きりにしてもらっていたので室内には誰もいない。
でも、この声は…
「さ、サフィール様?」
「はい。そうです。いい天気なので、少し散歩しませんか?」
ふと窓の外に目を向ける。
澄み切った空の青が綺麗。
いいかも、と思い頷く。
「…ミヤシロ様?あ、無理にとは言いませんよ?」
「あ、いや、行きます!つい頷いたんですが、こちらが見えてるわけじゃないんですね」
「あぁ、そうでしたか。すみません。これは声を届けるだけなので。では、半刻程後にお迎えにあがりますね」
「かしこまりました。」
病み上がりだし、準備は簡単でいいだろう。
とりあえず、ペルルにお願いしようかな?
ベッドサイドにあるベルを鳴らすと直ぐにペルルが来てくれる。
「サフィール様がお散歩どうですかって誘ってくれたので、準備がしたくて。半刻後くらいに迎えに来来てくれるらしいんだけどお願いできるかな?」
「はい、もちろんでございます。身体の負担にならないよう軽いワンピースにいたしましょうね。」
流れるように準備を始めてくれるペルルを見守る。
うーん。さすができる女、動きに無駄がない。
いいなーすごいなーと思考を巡らせているうちにあっという間に準備が整う。
「もう少しお時間に余裕がありそうですので、あちらのソファでお茶でもいかがでしょうか。」
「うん。頂こうかな。」
ペルルのお茶は、好き。
温かくて優しい味の紅茶を口に含みほっと息をはく。
カップをテーブルに戻し、自分の手のひらを見つめる。美味しいお茶、私も入れられるかなぁ。
そっと肩に柔らかなストールがかけられた。
「天気はよろしいですが、こちらは羽織ってお出かけくださいませ。ユズキ様の体は今は少し冷えやすくなっていますので。しっかり温かくしておきましょうね。」
そのままそっと手を握られる。
クールなペルルの手はとても温かい。
冷えきっていた指先に熱が移り、何となく握られた手を握り返した。
途端にペルルがあまりにも嬉しそうに笑うので思わずびっくりする。
「え!なにどうしたの?」
「いえ、ちょっと嬉しくて。サフィール様には負けませんよ!まぁ、今は協力した方が良さそうですが!」
「サフィール様となんか戦ってるの?」
「はい。ユズキ様の1番の仲良しの座をかけて。」
「何それ…」
「2人とも出だしに失敗してしまったので。今から巻き返しを頑張ろうと思ってるんです。お散歩から帰ったら今日はスペシャルマッサージの日にしましょう!」
あまりにもにこにこと強引に話を進めてくるので、思わずつられて笑ってしまう。
クールなお姉さんって感じだったんだけどな…
これくらい砕けてくれていると、確かにお友達感は強くなる。
別にサフィール様が仲良しの座を狙ってるとは思わないが、今日はお散歩VSスペシャルマッサージのつもりで過ごしてみようかな。
雲ひとつない晴天。風がさわやかに吹き抜けて、白いレースを揺らしている。
絵になるようなその画をただ、ぼーっとみつめる。
私は昨日、魔術の練習中に倒れたらしい。
夜中に目が覚めた時、サフィール様に手を握られていたのにはちょっとびっくりした。
魔術なんて危ないもの教えるんだもん監督責任的なのあるのかな…悪いことしたなぁ。
まずはゆっくり休んでくれって言われて、組まれていたスケジュールは1度白紙になったらしい。
みんな色々と動いてくれていただけに申し訳なさが募る。
ベッドの上で体育座りになり膝に頭を押し付ける。
あーもーほんと、情けない。しっかりしないと…
「ミヤシロ様。ちょっとだけ外、行きませんか?」
急にかけられた声にはね起きる。
声につられて見てみると、窓枠にいる真っ白な小鳥が首をかしいでいる。
1人きりにしてもらっていたので室内には誰もいない。
でも、この声は…
「さ、サフィール様?」
「はい。そうです。いい天気なので、少し散歩しませんか?」
ふと窓の外に目を向ける。
澄み切った空の青が綺麗。
いいかも、と思い頷く。
「…ミヤシロ様?あ、無理にとは言いませんよ?」
「あ、いや、行きます!つい頷いたんですが、こちらが見えてるわけじゃないんですね」
「あぁ、そうでしたか。すみません。これは声を届けるだけなので。では、半刻程後にお迎えにあがりますね」
「かしこまりました。」
病み上がりだし、準備は簡単でいいだろう。
とりあえず、ペルルにお願いしようかな?
ベッドサイドにあるベルを鳴らすと直ぐにペルルが来てくれる。
「サフィール様がお散歩どうですかって誘ってくれたので、準備がしたくて。半刻後くらいに迎えに来来てくれるらしいんだけどお願いできるかな?」
「はい、もちろんでございます。身体の負担にならないよう軽いワンピースにいたしましょうね。」
流れるように準備を始めてくれるペルルを見守る。
うーん。さすができる女、動きに無駄がない。
いいなーすごいなーと思考を巡らせているうちにあっという間に準備が整う。
「もう少しお時間に余裕がありそうですので、あちらのソファでお茶でもいかがでしょうか。」
「うん。頂こうかな。」
ペルルのお茶は、好き。
温かくて優しい味の紅茶を口に含みほっと息をはく。
カップをテーブルに戻し、自分の手のひらを見つめる。美味しいお茶、私も入れられるかなぁ。
そっと肩に柔らかなストールがかけられた。
「天気はよろしいですが、こちらは羽織ってお出かけくださいませ。ユズキ様の体は今は少し冷えやすくなっていますので。しっかり温かくしておきましょうね。」
そのままそっと手を握られる。
クールなペルルの手はとても温かい。
冷えきっていた指先に熱が移り、何となく握られた手を握り返した。
途端にペルルがあまりにも嬉しそうに笑うので思わずびっくりする。
「え!なにどうしたの?」
「いえ、ちょっと嬉しくて。サフィール様には負けませんよ!まぁ、今は協力した方が良さそうですが!」
「サフィール様となんか戦ってるの?」
「はい。ユズキ様の1番の仲良しの座をかけて。」
「何それ…」
「2人とも出だしに失敗してしまったので。今から巻き返しを頑張ろうと思ってるんです。お散歩から帰ったら今日はスペシャルマッサージの日にしましょう!」
あまりにもにこにこと強引に話を進めてくるので、思わずつられて笑ってしまう。
クールなお姉さんって感じだったんだけどな…
これくらい砕けてくれていると、確かにお友達感は強くなる。
別にサフィール様が仲良しの座を狙ってるとは思わないが、今日はお散歩VSスペシャルマッサージのつもりで過ごしてみようかな。
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