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season2
126話:アレクの小説と謎の広告
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「えっと……あぁ、これがタイトルですか」
【最強の光の勇者アレクはすげぇ悪い魔王を倒す為に立ち上がる~最強スキルでなんかすごいからもう遅い~】
――タイトルの後半から語彙力が消失してますが大丈夫ですかね。
何がもう遅いのかさっぱりわかりませんが、とりあえず読み進めてみることにしました。
【アレクは激怒した。】
いきなり有名な文豪の作品をパクってきてますが……そういえば著作権はもう切れてるからセーフですかね。
【俺は勇者アレク! かっこいい戦士だ。】
勇者なのか戦士なのかどっちなんですかね。
【ついでにすごい魔法も使える。】
魔法の扱いが雑すぎませんか。
【今から魔王を倒しに行くのに、王様が100円と銅の剣しかくれなかったから俺は怒っている。】
まぁそれは確かに怒っていい案件ですね。
【おい、金を出せ。もっと持ってるだろ。俺は王様に剣を突きつけた。】
王様、こいつは勇者じゃなくて、ただのならず者です。
【俺は牢屋に入れられた。】
魔王倒しに行ってないじゃないですか!
「――なんですか、これは。こんなくだらない小説の感想をワタクシに言えと。はぁ……」
まだ序盤ですが、あまりにも酷い内容に思わずため息がでてしまいます。
ワタクシ以外にもこれを読まされた人はいるんでしょうかね。だとしたら気の毒でなりません。
「こんなのどこに需要があるんですかねぇ……うん?」
読むのを放棄して画面の端に目をやると、そこには奇妙な広告のバナーがありました。
【魅惑の吸盤・友の会 新規会員募集中】
「みわく? きゅうばん? とものかい……?」
何ひとつ理解できる要素がなくて、好奇心から思わずタップしてみると、そこにはマニアックな世界が広がっていました。
【世界の吸盤マニアが集まる団体にあなたも入会しませんか⁉】
吸盤ってあのフックを引っ掛けるアレですよね。壁にペタッと貼るあの円形の。
実際、リンク先のサイトにはよく見知った吸盤フックの写真がでかでかと掲載されています。
【会報の発行は年4回! 総フルカラーUVシルク印刷高精細箔押しにハードカバーに豪華ケース付き!】
「えぇっ、そこまでするような内容なんですか⁉」
そんな豪華な装丁の会報にいったい何が書かれているのか、ワタクシは気になって続きをタップしてしまいました。
【緊急対談スペシャル! 吸盤についている突起は必要派VS要らない派】
【巻頭特集:くっつかなくなった吸盤はお湯につけると復活するってホント?】
【悲報! 吸盤にカビ発生! ~こんな時どうする~】
「……どうもしませんよ! 買い換えたらいいじゃないですか!」
あまりにもくだらなさすぎて、思わずスマホを投げそうになりました。
「こんなのどこに需要があるんですかね、馬鹿馬鹿しい」
しかし、画面を閉じようとしたワタクシの目に飛び込んできたのは【全世界で会員1000万人突破!】という数字でした。
「えぇっ⁉ 全世界で1000万人⁉」
もしかしたら、ワタクシが知らないだけで世の中のニーズは多様化しているのかもしれません。
そんなことを思いながら、広告ページを閉じてアレクの小説に戻ってみますと、誰かが評価したらしくポイントが入っていました。
「もしかしたら、ワタクシの頭が古いだけだったのかもしれませんねぇ」
吸盤友の会のように、アレクの小説もどこかの誰かのニーズに応えているのかもしれません。
くだらないと馬鹿にせず、最後までちゃんと小説を読み直ししてみよう。そして彼が帰ってきたら感想を伝えよう。
そう思って本文のページをもう一度タップしたワタクシなのでした。
【最強の光の勇者アレクはすげぇ悪い魔王を倒す為に立ち上がる~最強スキルでなんかすごいからもう遅い~】
――タイトルの後半から語彙力が消失してますが大丈夫ですかね。
何がもう遅いのかさっぱりわかりませんが、とりあえず読み進めてみることにしました。
【アレクは激怒した。】
いきなり有名な文豪の作品をパクってきてますが……そういえば著作権はもう切れてるからセーフですかね。
【俺は勇者アレク! かっこいい戦士だ。】
勇者なのか戦士なのかどっちなんですかね。
【ついでにすごい魔法も使える。】
魔法の扱いが雑すぎませんか。
【今から魔王を倒しに行くのに、王様が100円と銅の剣しかくれなかったから俺は怒っている。】
まぁそれは確かに怒っていい案件ですね。
【おい、金を出せ。もっと持ってるだろ。俺は王様に剣を突きつけた。】
王様、こいつは勇者じゃなくて、ただのならず者です。
【俺は牢屋に入れられた。】
魔王倒しに行ってないじゃないですか!
「――なんですか、これは。こんなくだらない小説の感想をワタクシに言えと。はぁ……」
まだ序盤ですが、あまりにも酷い内容に思わずため息がでてしまいます。
ワタクシ以外にもこれを読まされた人はいるんでしょうかね。だとしたら気の毒でなりません。
「こんなのどこに需要があるんですかねぇ……うん?」
読むのを放棄して画面の端に目をやると、そこには奇妙な広告のバナーがありました。
【魅惑の吸盤・友の会 新規会員募集中】
「みわく? きゅうばん? とものかい……?」
何ひとつ理解できる要素がなくて、好奇心から思わずタップしてみると、そこにはマニアックな世界が広がっていました。
【世界の吸盤マニアが集まる団体にあなたも入会しませんか⁉】
吸盤ってあのフックを引っ掛けるアレですよね。壁にペタッと貼るあの円形の。
実際、リンク先のサイトにはよく見知った吸盤フックの写真がでかでかと掲載されています。
【会報の発行は年4回! 総フルカラーUVシルク印刷高精細箔押しにハードカバーに豪華ケース付き!】
「えぇっ、そこまでするような内容なんですか⁉」
そんな豪華な装丁の会報にいったい何が書かれているのか、ワタクシは気になって続きをタップしてしまいました。
【緊急対談スペシャル! 吸盤についている突起は必要派VS要らない派】
【巻頭特集:くっつかなくなった吸盤はお湯につけると復活するってホント?】
【悲報! 吸盤にカビ発生! ~こんな時どうする~】
「……どうもしませんよ! 買い換えたらいいじゃないですか!」
あまりにもくだらなさすぎて、思わずスマホを投げそうになりました。
「こんなのどこに需要があるんですかね、馬鹿馬鹿しい」
しかし、画面を閉じようとしたワタクシの目に飛び込んできたのは【全世界で会員1000万人突破!】という数字でした。
「えぇっ⁉ 全世界で1000万人⁉」
もしかしたら、ワタクシが知らないだけで世の中のニーズは多様化しているのかもしれません。
そんなことを思いながら、広告ページを閉じてアレクの小説に戻ってみますと、誰かが評価したらしくポイントが入っていました。
「もしかしたら、ワタクシの頭が古いだけだったのかもしれませんねぇ」
吸盤友の会のように、アレクの小説もどこかの誰かのニーズに応えているのかもしれません。
くだらないと馬鹿にせず、最後までちゃんと小説を読み直ししてみよう。そして彼が帰ってきたら感想を伝えよう。
そう思って本文のページをもう一度タップしたワタクシなのでした。
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