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season2
88話:黒ずくめの男
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ワタクシが苦笑していると、ギィ……と店の扉が開く音がして、サングラスに黒ずくめの見るからに怪しい雰囲気の男性が入ってきてアレクの向かいに静かに座りました。
男性はテーブルに置かれたアタッシュケースの中身をちらりと確認すると、アレクとなにやら小声で話しています。
何を話しているのか聞き取れませんが、頷くアレクの表情は真剣そのものです。
「アレク……何をしてるんでしょうか。この角度からだとアタッシュケースの中身が見えませんねぇ――」
「何か良くない取引だったりして」
ワタクシの耳元で、酒臭い匂いと共にシロの声がしました。どうやら姿を消したまますぐ隣に立っているようです。
「良くない取引って?」
「あの黒ずくめの男はマフィアで、麻薬の取引とかしてたりするんじゃ……」
――そんなまさか。あの普段はロボットアニメに夢中で、子どもみたいな無邪気な性格のアレクが犯罪に手を染めるだなんて。いくらなんでも似合わないにもほどがあります。
「でもアンティークの買い付けで世界中を旅行してるって、麻薬の売人をするには良い隠れ蓑(みの)だよね」
「それはそうですけど……」
もしそうだとすれば、旅行の度にブランド食器や宝飾品など高価なお土産をたくさんプレゼントしてくれたのも、日々の贅沢な暮らしができたのもすべて彼が麻薬で稼いでいたからだったというのでしょうか。
「そういえば兄ちゃん、なんかさっき深刻そうな顔でお酒飲んでたよねぇ」
「えっ、あ。確かに……」
もしかして先ほどの大人びた彼の瞳は、自身が闇社会に身を落としたことに対する憂いだったのですか……⁉
あまりの衝撃に、ワタクシは思わず両手で顔を覆いました。
「――アレク。あなたがそんな思いを抱えているのに、ワタクシは……何も知らずに暮らしていました、許してください!」
「あ、アレク兄ちゃんがお金もらってる。間違いない、あれは闇取引だよ!」
顔を上げてアレクの方を見ると、男性が彼にお金を渡しているところでした。アレクは慣れた手つきでお札を数えています。
「あぁ、いけません!」
ワタクシは思わず、自分の席を立って慌てて彼の席に近づきました。
「アレク、あなたはバカです! 犯罪に手を染めてまでお金を稼ぐなんて……!」
「……へ?」
アレクはきょとんとしています。そればかりか、マフィアと思われる男性まで一緒にきょとんとしているではありませんか。これはどういうことでしょう。
「えーっと。お嬢さん、誰だっけ?」
――あ。そういえば変装したままでした。ワタクシはウィッグとサングラスを外して改めて彼らの顔を見据えます。
「ジェル! 何でここにいるんだよ⁉」
「アレク兄ちゃん!」
シロも姿を現して、ほろ酔い顔でアレクに詰め寄りました。
「シロまで⁉ どういうこった?」
「兄ちゃんがマフィアと闇取引してるから止めに来たんだよ!」
「えっ、マフィアと闇取引ってなんだよ⁉」
アレクも向かいの席の黒ずくめの男性も、その言葉にびっくりしています。
「あの。もしかして、その方はマフィアじゃないんですかね……?」
「――んなわけねぇだろ。パン男ロボファンクラブの仲間だ」
「パン男ロボファンクラブ……⁉」
男性はサングラスを外して、人懐っこい笑顔を見せるとテーブルに置いてあった銀色のアタッシュケースを開きました。
中にあったのは白い粉……ではなく、よく見慣れたアレクの大好きなロボットが透明な緩衝材に包まれて大切そうに仕舞われています。
「これ、アレクさんに代理購入をお願いしていたパン男ロボの限定フィギュアなんスよ。こっちじゃ売ってないんで助かったッス!」
「おう、いいってことよ! ウェーイ!」
アレクと男性は元気良く掛け声を上げてハイタッチしました。
「えぇ、フィギュアって……じゃあアレクはどうして黒いコートに着替えてたんですか?」
「え、俺のコート? これはパン男ロボ42話『イースト菌スパイ大作戦』の時のパン男のコスプレだ! ちなみに彼が黒ずくめなのは敵の菌男のコスプレなんだぜ!」
「同志であるアレクさんとのオフ会ッスからね。お互い推しコーデでキメて行こうって約束してたんスよ! ね、アレクさん!」
彼らは得意気にそう言って、再びウェーイと掛け声を上げてハイタッチします。
なんて紛らわしい、心配して損しました。でもアレクが犯罪に手を染めていなかったことにホッとしたのは言うまでもありません。
「――で、ジェルちゃん達、わざわざニューヨークまで追いかけて来てお兄ちゃんに何の用だ?」
アレクはワタクシの手に持っているウィッグとサングラスに、ちらりと目をやりました。
「いやぁ。それはですねぇ……」
タジタジとなって返答に詰まるワタクシに、シロが助け舟を出したのですが。
「ジェルがアレク兄ちゃんと旅行したいって言うから連れてきたんだよ!」
「えっ――」
いや、それはさすがに。観光地の人ゴミは嫌ですし知らない人と話すのも嫌ですし、できればワタクシは家で読書していたいんですけど。
「そもそも今回はシロが言い出したからワタクシは……」
「わーわーわー! アハハハハ、それじゃ僕、そろそろクロの散歩の時間だから神社に帰らないと。じゃあアレク兄ちゃん、ジェルのこと頼んだからね! バイバーイ!」
そう言って、引き止める暇も与えずシロは消えてしまいました。なんと無責任な……!
「マジかよ! そっかぁ、ジェルは俺と旅行したかったのか~。よしよし、お兄ちゃんがどこでも連れて行ってやるぞ! ……なんで変装してたのかは後でじっくり聞くから覚悟しとけ」
――シロの馬鹿! まったく誤魔化せてないじゃないですか!
「いやぁ、同志にも会えたしジェルと旅行までできるなんて良い日だなぁ!」
「良い日ッスね! ウェーイ!」
賑やかなバーの店内では、その後もご機嫌なアレク達の楽しそうな笑い声が響いていたのでした。
男性はテーブルに置かれたアタッシュケースの中身をちらりと確認すると、アレクとなにやら小声で話しています。
何を話しているのか聞き取れませんが、頷くアレクの表情は真剣そのものです。
「アレク……何をしてるんでしょうか。この角度からだとアタッシュケースの中身が見えませんねぇ――」
「何か良くない取引だったりして」
ワタクシの耳元で、酒臭い匂いと共にシロの声がしました。どうやら姿を消したまますぐ隣に立っているようです。
「良くない取引って?」
「あの黒ずくめの男はマフィアで、麻薬の取引とかしてたりするんじゃ……」
――そんなまさか。あの普段はロボットアニメに夢中で、子どもみたいな無邪気な性格のアレクが犯罪に手を染めるだなんて。いくらなんでも似合わないにもほどがあります。
「でもアンティークの買い付けで世界中を旅行してるって、麻薬の売人をするには良い隠れ蓑(みの)だよね」
「それはそうですけど……」
もしそうだとすれば、旅行の度にブランド食器や宝飾品など高価なお土産をたくさんプレゼントしてくれたのも、日々の贅沢な暮らしができたのもすべて彼が麻薬で稼いでいたからだったというのでしょうか。
「そういえば兄ちゃん、なんかさっき深刻そうな顔でお酒飲んでたよねぇ」
「えっ、あ。確かに……」
もしかして先ほどの大人びた彼の瞳は、自身が闇社会に身を落としたことに対する憂いだったのですか……⁉
あまりの衝撃に、ワタクシは思わず両手で顔を覆いました。
「――アレク。あなたがそんな思いを抱えているのに、ワタクシは……何も知らずに暮らしていました、許してください!」
「あ、アレク兄ちゃんがお金もらってる。間違いない、あれは闇取引だよ!」
顔を上げてアレクの方を見ると、男性が彼にお金を渡しているところでした。アレクは慣れた手つきでお札を数えています。
「あぁ、いけません!」
ワタクシは思わず、自分の席を立って慌てて彼の席に近づきました。
「アレク、あなたはバカです! 犯罪に手を染めてまでお金を稼ぐなんて……!」
「……へ?」
アレクはきょとんとしています。そればかりか、マフィアと思われる男性まで一緒にきょとんとしているではありませんか。これはどういうことでしょう。
「えーっと。お嬢さん、誰だっけ?」
――あ。そういえば変装したままでした。ワタクシはウィッグとサングラスを外して改めて彼らの顔を見据えます。
「ジェル! 何でここにいるんだよ⁉」
「アレク兄ちゃん!」
シロも姿を現して、ほろ酔い顔でアレクに詰め寄りました。
「シロまで⁉ どういうこった?」
「兄ちゃんがマフィアと闇取引してるから止めに来たんだよ!」
「えっ、マフィアと闇取引ってなんだよ⁉」
アレクも向かいの席の黒ずくめの男性も、その言葉にびっくりしています。
「あの。もしかして、その方はマフィアじゃないんですかね……?」
「――んなわけねぇだろ。パン男ロボファンクラブの仲間だ」
「パン男ロボファンクラブ……⁉」
男性はサングラスを外して、人懐っこい笑顔を見せるとテーブルに置いてあった銀色のアタッシュケースを開きました。
中にあったのは白い粉……ではなく、よく見慣れたアレクの大好きなロボットが透明な緩衝材に包まれて大切そうに仕舞われています。
「これ、アレクさんに代理購入をお願いしていたパン男ロボの限定フィギュアなんスよ。こっちじゃ売ってないんで助かったッス!」
「おう、いいってことよ! ウェーイ!」
アレクと男性は元気良く掛け声を上げてハイタッチしました。
「えぇ、フィギュアって……じゃあアレクはどうして黒いコートに着替えてたんですか?」
「え、俺のコート? これはパン男ロボ42話『イースト菌スパイ大作戦』の時のパン男のコスプレだ! ちなみに彼が黒ずくめなのは敵の菌男のコスプレなんだぜ!」
「同志であるアレクさんとのオフ会ッスからね。お互い推しコーデでキメて行こうって約束してたんスよ! ね、アレクさん!」
彼らは得意気にそう言って、再びウェーイと掛け声を上げてハイタッチします。
なんて紛らわしい、心配して損しました。でもアレクが犯罪に手を染めていなかったことにホッとしたのは言うまでもありません。
「――で、ジェルちゃん達、わざわざニューヨークまで追いかけて来てお兄ちゃんに何の用だ?」
アレクはワタクシの手に持っているウィッグとサングラスに、ちらりと目をやりました。
「いやぁ。それはですねぇ……」
タジタジとなって返答に詰まるワタクシに、シロが助け舟を出したのですが。
「ジェルがアレク兄ちゃんと旅行したいって言うから連れてきたんだよ!」
「えっ――」
いや、それはさすがに。観光地の人ゴミは嫌ですし知らない人と話すのも嫌ですし、できればワタクシは家で読書していたいんですけど。
「そもそも今回はシロが言い出したからワタクシは……」
「わーわーわー! アハハハハ、それじゃ僕、そろそろクロの散歩の時間だから神社に帰らないと。じゃあアレク兄ちゃん、ジェルのこと頼んだからね! バイバーイ!」
そう言って、引き止める暇も与えずシロは消えてしまいました。なんと無責任な……!
「マジかよ! そっかぁ、ジェルは俺と旅行したかったのか~。よしよし、お兄ちゃんがどこでも連れて行ってやるぞ! ……なんで変装してたのかは後でじっくり聞くから覚悟しとけ」
――シロの馬鹿! まったく誤魔化せてないじゃないですか!
「いやぁ、同志にも会えたしジェルと旅行までできるなんて良い日だなぁ!」
「良い日ッスね! ウェーイ!」
賑やかなバーの店内では、その後もご機嫌なアレク達の楽しそうな笑い声が響いていたのでした。
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