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season1
41話:シロの見解
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「ジェル。アレク兄ちゃんはどうやら風邪のようだ。日本では昔から風邪にはネギが効くって言われてるんだよ」
「ネギですか……そういえばそんなのを聞いたことがあるような」
「うん、民間療法だけどよく効くんだよ~!」
シロはそう言ってアレクの布団を引っぺがし、パジャマ姿のアレクのお尻を思いっきり叩きました。
「さぁ、アレク兄ちゃん! ネギをブッ刺すからお尻を出して‼」
「ひゃっ……、し、シロぉ⁉」
急にお尻を叩かれたアレクは、目をまん丸に見開いて情けない声を上げました。
「大丈夫だよ! お尻にブスっとネギを刺せばきっとアレク兄ちゃんの風邪も治って元気になるから!」
「なるほど、肛門の粘膜から薬効成分を浸透させるんですか……!」
まさかそのような民間療法があるとは知りませんでした。東洋医学とは奥深いものですね。
「あ……や、やだぁ! シロ……俺……」
「何も恥ずかしがることなんてないよ? だってアレク兄ちゃんは病人なんだから」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
「しょうがないなぁ。ジェル、パンツ脱がすの手伝って!」
「はい!」
「――待ってくれ! 俺もう元気だから! もう治ってるからぁぁぁぁー!!!!!!」
アレクはそう叫んでガバッと起き上がって、ベッドの上でぴょんぴょんジャンプしながら手を振り回し元気であることを必死でアピールしました。
「ちょっとどういうことですか、さっきまであんなに具合が悪そうだったのに!」
ワタクシがあまりの変わりように目を見張ると、シロはネギをプラプラと手でもて遊びながら言いました。
「なんてことないよ。アレク兄ちゃんが仮病を使ってただけだから」
「お、おいシロ……!」
アレクはうろたえています。その表情でどちらが真実を語っているのかは一目瞭然でした。
「アレク……ワタクシを騙していたのですか?」
「いや、最初はホントに風邪ひいてたんだよ。熱もあったしさ……」
アレクは問いに対し、ばつが悪そうな顔で弁解し始めました。
「なんか寝てたらあっさり治ってたんだけど……ほら……アイスクリームもらえたりハンバーグ作ってもらえるし、ジェルが何でも言うこと聞いてくれるから、もうちょっとこのままがいいなぁ~……なんてね?」
だからごめん……と彼はまた甘えるような目でこちらを見ながら小さな声で謝ってきました。
普段ならしょうがないですね、と許してしまうのですが、今回ばかりはそうはいきません。
「どれだけ心配したと思っているんですか! このお馬鹿さん‼」
「す、すまん……」
さて、どう落とし前をつけたものか。――そうだ。同じことをしてもらいましょう。
「罰としてワタクシがアレクにしたことを全部してくれるまで、ワタクシ休ませていただきます!」
「へ?」
「アレクは今すぐアイスクリームを買いに行って、ワタクシの代わりに晩御飯を作って、そうですねぇ……スワロフスキーの限定品を百貨店から取り寄せてもらいましょうか」
「――えぇっ⁉」
ワタクシの提案にアレクはすっとんきょうな声をあげ、目を丸くしました。
「自業自得だね、アレク兄ちゃん」
シロがアレクの表情を見て、にやにや笑っています。
「そんなぁ~……」
「――あ、もちろんアイスクリームはハーゲンダッツでお願いしますよ?」
「アレク兄ちゃん、僕もアイス欲しい! ジェルと同じの!」
「え、シロにまで……」
アレクは、観念してがっくりとうなだれました。この程度で許してもらえるなら安いものだと思いますけどねぇ。
しぶしぶアイスクリームを買いに行くアレクを、ワタクシとシロは笑顔で見送ったのでした。
「ネギですか……そういえばそんなのを聞いたことがあるような」
「うん、民間療法だけどよく効くんだよ~!」
シロはそう言ってアレクの布団を引っぺがし、パジャマ姿のアレクのお尻を思いっきり叩きました。
「さぁ、アレク兄ちゃん! ネギをブッ刺すからお尻を出して‼」
「ひゃっ……、し、シロぉ⁉」
急にお尻を叩かれたアレクは、目をまん丸に見開いて情けない声を上げました。
「大丈夫だよ! お尻にブスっとネギを刺せばきっとアレク兄ちゃんの風邪も治って元気になるから!」
「なるほど、肛門の粘膜から薬効成分を浸透させるんですか……!」
まさかそのような民間療法があるとは知りませんでした。東洋医学とは奥深いものですね。
「あ……や、やだぁ! シロ……俺……」
「何も恥ずかしがることなんてないよ? だってアレク兄ちゃんは病人なんだから」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
「しょうがないなぁ。ジェル、パンツ脱がすの手伝って!」
「はい!」
「――待ってくれ! 俺もう元気だから! もう治ってるからぁぁぁぁー!!!!!!」
アレクはそう叫んでガバッと起き上がって、ベッドの上でぴょんぴょんジャンプしながら手を振り回し元気であることを必死でアピールしました。
「ちょっとどういうことですか、さっきまであんなに具合が悪そうだったのに!」
ワタクシがあまりの変わりように目を見張ると、シロはネギをプラプラと手でもて遊びながら言いました。
「なんてことないよ。アレク兄ちゃんが仮病を使ってただけだから」
「お、おいシロ……!」
アレクはうろたえています。その表情でどちらが真実を語っているのかは一目瞭然でした。
「アレク……ワタクシを騙していたのですか?」
「いや、最初はホントに風邪ひいてたんだよ。熱もあったしさ……」
アレクは問いに対し、ばつが悪そうな顔で弁解し始めました。
「なんか寝てたらあっさり治ってたんだけど……ほら……アイスクリームもらえたりハンバーグ作ってもらえるし、ジェルが何でも言うこと聞いてくれるから、もうちょっとこのままがいいなぁ~……なんてね?」
だからごめん……と彼はまた甘えるような目でこちらを見ながら小さな声で謝ってきました。
普段ならしょうがないですね、と許してしまうのですが、今回ばかりはそうはいきません。
「どれだけ心配したと思っているんですか! このお馬鹿さん‼」
「す、すまん……」
さて、どう落とし前をつけたものか。――そうだ。同じことをしてもらいましょう。
「罰としてワタクシがアレクにしたことを全部してくれるまで、ワタクシ休ませていただきます!」
「へ?」
「アレクは今すぐアイスクリームを買いに行って、ワタクシの代わりに晩御飯を作って、そうですねぇ……スワロフスキーの限定品を百貨店から取り寄せてもらいましょうか」
「――えぇっ⁉」
ワタクシの提案にアレクはすっとんきょうな声をあげ、目を丸くしました。
「自業自得だね、アレク兄ちゃん」
シロがアレクの表情を見て、にやにや笑っています。
「そんなぁ~……」
「――あ、もちろんアイスクリームはハーゲンダッツでお願いしますよ?」
「アレク兄ちゃん、僕もアイス欲しい! ジェルと同じの!」
「え、シロにまで……」
アレクは、観念してがっくりとうなだれました。この程度で許してもらえるなら安いものだと思いますけどねぇ。
しぶしぶアイスクリームを買いに行くアレクを、ワタクシとシロは笑顔で見送ったのでした。
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