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2章:いろんな人の、いろんな事情。
体力付けたはずなのになぁ。 ――2
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優しく髪を梳かれるような、そんな感覚がして目を覚ました。辺りを見るともうすでにとっぷりと日が暮れていて、そんなに長時間意識を失っていたのか!? と衝撃を受けたのと同時に、カイルの顔がドアップに見えてびっくりした。
「え、なに、これどういう状況!?」
「お目覚めになったのですね、エリスさま。良かった。泥のように眠られていたので、このまま目覚めないのではないのかと……」
「それはマジでごめん――で、なんでオレ、カイルの膝枕で寝てたの……?」
ソファの背もたれに寄りかかっていた記憶はあるけれど、カイルの膝に頭を乗せた記憶はないぞ!? 混乱していたら、カイルがクスクスと笑い、そっとオレの頭を撫でる。
「寝苦しそうでしたので……」
カイルが移動させたのか。見られる範囲で辺りを確認する。他の人たちはいないみたいだ。でも、寝ている間にカイルの膝枕で爆睡しているオレを見られていた可能性が! うわぁ、穴があったら入りたい! オレが急いで起き上がろうとしたら、カイルが制した。急激に動こうとしたからだろうか。
そして、ゆっくりとオレの身体を支えながら起こしてくれた。
「パーティーは?」
「無事に終わりました。あと数時間もすれば夜の部が始まりますよ。そこに参加できるのは大人たちだけですが……」
「大人たちって、正式には?」
「社交界デビュー後ですので、十六歳以上です」
ここでひとつツッコミを入れたい。十六歳以上なら、アレン殿下はパーティー参加できないということを! それとも王族は別枠?
カイルがソファから立ち上がり、そっと手を差し出す。その手を取って、静かに立ち上がった。眩暈梨、足もしっかり動きそう。良かったぁ。
「大丈夫そうですか?」
「ん、平気みたい。ありがと」
カイルの手を離して歩き出す。うん、ちゃんとスムーズに動く。これなら大丈夫そうだ。そう思ってカイルを見ると、安心したような、ちょっと残念そうな複雑な表情を浮かべていた。……たぶん、おんぶか抱っこでしたかったんだろうなぁ。でも、イヤだぞ、オレ。十二歳にもなって、そんな風に移動するの。
休憩室から出て行こうとすると、ガチャっと扉が開いた。父さんと母さんが迎えに来てくれたみたいだ。オレの顔を見て母さんが駆け寄ってぺたぺたと頬に触れてきた。その手が震えているのに気付いて、そっと母さんの手に自分の手を重ねる。父さんも、眉を下げてオレを見ていた。
「心配をかけてごめんなさい」
「……良いのよ、あなたが無事なら」
「そうだよ。エリスが無事なら良いんだ」
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