6 / 100
1章 一夜限りの相手
一夜限りの相手 3-2
しおりを挟む「細いね、力入れたら折れそう」
「ガラス細工じゃないんだから……。それに、標準だよ」
バスローブの下は何も身に付けていない。
今からヤるんだし、必要ないだろうと思ったからだ。
暗めの照明とはいえ、目視出来るくらいだからそんなに見ないで欲しい。
「脱がせて?」
甘えるような言い方に、少し笑ってしまう。酒を飲んでいたから、成人していることはわかっている。
彼のバスローブに手を伸ばして、その結び目を解き、はだけさせた。
……俺とは違い、しっかりと筋肉のついている良い躰だった。
こりゃあ男女共にモテるだろうな、とぼんやり考えていたら、俺の着ていたバスローブがぱさりと乾いた音を立てて床に落ちた。
「……っ」
すりすりと背中を撫でられて、くすぐったくなった。壊れ物に触れるかのように優しい触り方。
「くすぐったい?」
こくりとうなずく。
「じゃあ、これから感度が増すかもね」
「え? んっ」
ちゅう、と彼が俺の首元に吸い付いて来た。
ころん、と彼が俺ともども寝転ぶ。そして、覆いかぶさって来た。ぎらり、と欲望の炎が見える瞳。ごくり、と思わず唾を飲む。……今までの相手は、こんな風に俺を見たことなんて、一度もなかった。
「いっぱい触って、気持ち良くしてあげる」
そう言うと、彼は言葉通りに俺の躰の様々なところに触れてきた。ゾクゾクとした快感が走り、それと同時に申し訳なくなった。
俺があんなことを言ったから、丁寧に触れてくれるんだろうな、と。
首筋から鎖骨へ、鎖骨から胸の突起へと唇が移動していく。唇が胸の頂に触れたとき、ピクンと躰が跳ねた。
「……ねえ、もしかして、今までの恋人にあまり触られていなかった?」
「慣らして、突っ込んで、終わり」
「……そう。……なら、たっぷり可愛がってあげる」
今までのことを思い出して、そう言うと、彼の眼光が鋭くなった……気がした。そして、何か気に喰わないのか、そんなことを言う。
「……え?」
「セックスの概念、変えてあげる。たくさん、気持ち良いことを知って?」
ちゅ、ちゅっと軽く躰に口付けていく彼。
――どういう意味だ?
胸の突起に指が触れた。カリカリと指先で愛撫される。確かにAVでは男のソコを愛撫しているけれど、実際にされるとなんだか不思議な気分だった。
くすぐったいような、変な気分。じわじわ、じわじわとくすぐったさが気持ち良さに変化していく。
「……ァッ」
ぎゅっと親指と人さし指で摘まれて、声が出た。
「やっぱり、感度良いよ。勿体ないな、こんなに感じやすい躰なのに、今まで触れられたことがないなんて……」
独り言のように呟く彼に、俺は自分でもびっくりしていた。まさかそんなところで気持ち良くなるなんて思わなかったからだ。
15
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
彼氏持ち大学生がストーカー犯に遭遇して人生終わる話
むぎ
BL
ストーカー被害にあってるけどまあいっか〜心配させたくないから彼氏にも黙っとこ〜とナメかかってた少年がストーカー犯に押しかけられてぶち犯されて果てには誘拐される話です。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
デコボコな僕ら
天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。
そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
コンサル上手なΩの伴侶が有能過ぎて尻に敷かれそうです
天汐香弓
BL
βだと思っていた優は検査でΩだと告げられてしまう。病院の帰り道助けてくれた男と触れた瞬間雷に打たれたような衝撃が走り逃げ出すが、数日後、鷹臣財閥の子息が優を迎えにやってくる。運命の番である優を手にいれた鷹臣は優をふさわしい立場にするため手を焼く。ただαに依存するだけではない優は鷹臣の気遣いを逆手に社交界だけでなく……
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる