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1章 転生と初めての婚約破棄
18.主従関係
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リヒーから『ドキッ、火龍様への生贄計画』の全貌を聞いた。
この世界の使用人は、説明スキルが高いのかとても分かりやすく頭に入ってきた。
「なるほどなるほど。つまりはこのクソ次期当主様は私を除く他の婚約者『候補』を全てあのどすけべドラゴンに提出済み。だが、彼女たちはすぐに燃え尽きて、全部消し炭になってしまって困っていた。そんな折、美しく強靭な肉体と人外の力を持つお嬢様である私の噂を耳にして本計画を立案・実行。それで今に至る、ということか」
本当に最悪だな、このクソイケメン。
よくその状況で私に強気に出ていたものだ。
その面の皮の厚さと外見の造形美だけは賞賛に値する。
来世では結婚詐欺にでも邁進するがいい、次もその姿を引き継げれば、の話だがな。
私のように醜いかもしれないし、
人間ではないかもしれないし、
動物ですらないかもしれないし
生物にさえなれないかもしれないし、
そもそも、そんな生まれ変わりなんてものがあるのかさえ、貴様にもわたしにも分かりはしないのだけれど。
「左様でございます。端的なご理解、流石にございます」
「いや、褒めるな。君の説明が優秀なだけだ。誇るべきは君のほうだ。こんなクソの下で働くのはもったいない。是非とも私の下につけたいところだ」
「臣の主人は、アルベルト様なので」
「そうか。では、彼が万が一死んでしまった時にどうするか考えておいてくれ。無論、これは私が彼を殺してしまう、ということではないから誤解しないでくれ」
「はい、アリシア様の御寛大さについては重々理解しております」
深々とリヒーは頭を下げる。
「本来なら、命を奪いさらには貴方様の女性としての尊厳まで奪おうとしていた我々をこうして生かしーー剰え人としての扱いまでして頂いている。こんなに美しく、お優しい方は初めてです」
こいつのことは人間扱いしていないけどな、とげしげしと再度アルベルトを蹴飛ばした。
「アルベルト様をどう扱うか、それはアリシア様の自由意思です。臣如きが口を挟める案件ではありません」
「そう、それを聞いて安心したよ。無意味に嫌われたり、恨まれたりすることは本意ではない。無関心か、あるいは好かれる方がずっといい。まあ、当然だろうがな」
「それならば問題ありません。その容姿、その器量を持つアリシア様を嫌い憎むものなのどこの世にいるはずはないのですから」
「生贄にしようとした奴はいたがな」
皮肉っぽく、私は言う。
リヒーは苦笑しながら「そこは返す言葉がありませんね」と答えた。
ーー
「お嬢様、そろそろお屋敷に到着します」
「ありがとうメノウ。運転お疲れ様」
リヒーと楽しく雑談を交わしている内に、我が家に到着したようだ。
住み慣れた場所でもなく、まだ肌感感覚で2日目の家だけれど、何故か安心する。
実家が一番、というやつなのか。
家というよりは『屋敷』だし、
私のではなく『ラインバルト家』のものではあるが。
「おい、さっさと立て」
げしりと、アルベルトを蹴り起こす。
そして、馬車的なものから外へと蹴り倒す。
我ながら足癖が悪い。お嬢様らしかぬ所作。お父様が見ていたら、どう思うだろうか。
「ここが今日からアルベルト様の第二の家になるんですよ。お気に召しましたか?」
嫌味のように、お嬢様風口調に戻す。
「それはもちろん!あぁ、大きくて凄いな!」
乾いた感想を彼は口にする。
「喜んでいただけているようで、幸いですわ」
私は、口角を吊り上げ、シニカルに笑う。
「二人で、『楽しく』て『幸せ』な家庭と領地を築きましょうね」
この世界の使用人は、説明スキルが高いのかとても分かりやすく頭に入ってきた。
「なるほどなるほど。つまりはこのクソ次期当主様は私を除く他の婚約者『候補』を全てあのどすけべドラゴンに提出済み。だが、彼女たちはすぐに燃え尽きて、全部消し炭になってしまって困っていた。そんな折、美しく強靭な肉体と人外の力を持つお嬢様である私の噂を耳にして本計画を立案・実行。それで今に至る、ということか」
本当に最悪だな、このクソイケメン。
よくその状況で私に強気に出ていたものだ。
その面の皮の厚さと外見の造形美だけは賞賛に値する。
来世では結婚詐欺にでも邁進するがいい、次もその姿を引き継げれば、の話だがな。
私のように醜いかもしれないし、
人間ではないかもしれないし、
動物ですらないかもしれないし
生物にさえなれないかもしれないし、
そもそも、そんな生まれ変わりなんてものがあるのかさえ、貴様にもわたしにも分かりはしないのだけれど。
「左様でございます。端的なご理解、流石にございます」
「いや、褒めるな。君の説明が優秀なだけだ。誇るべきは君のほうだ。こんなクソの下で働くのはもったいない。是非とも私の下につけたいところだ」
「臣の主人は、アルベルト様なので」
「そうか。では、彼が万が一死んでしまった時にどうするか考えておいてくれ。無論、これは私が彼を殺してしまう、ということではないから誤解しないでくれ」
「はい、アリシア様の御寛大さについては重々理解しております」
深々とリヒーは頭を下げる。
「本来なら、命を奪いさらには貴方様の女性としての尊厳まで奪おうとしていた我々をこうして生かしーー剰え人としての扱いまでして頂いている。こんなに美しく、お優しい方は初めてです」
こいつのことは人間扱いしていないけどな、とげしげしと再度アルベルトを蹴飛ばした。
「アルベルト様をどう扱うか、それはアリシア様の自由意思です。臣如きが口を挟める案件ではありません」
「そう、それを聞いて安心したよ。無意味に嫌われたり、恨まれたりすることは本意ではない。無関心か、あるいは好かれる方がずっといい。まあ、当然だろうがな」
「それならば問題ありません。その容姿、その器量を持つアリシア様を嫌い憎むものなのどこの世にいるはずはないのですから」
「生贄にしようとした奴はいたがな」
皮肉っぽく、私は言う。
リヒーは苦笑しながら「そこは返す言葉がありませんね」と答えた。
ーー
「お嬢様、そろそろお屋敷に到着します」
「ありがとうメノウ。運転お疲れ様」
リヒーと楽しく雑談を交わしている内に、我が家に到着したようだ。
住み慣れた場所でもなく、まだ肌感感覚で2日目の家だけれど、何故か安心する。
実家が一番、というやつなのか。
家というよりは『屋敷』だし、
私のではなく『ラインバルト家』のものではあるが。
「おい、さっさと立て」
げしりと、アルベルトを蹴り起こす。
そして、馬車的なものから外へと蹴り倒す。
我ながら足癖が悪い。お嬢様らしかぬ所作。お父様が見ていたら、どう思うだろうか。
「ここが今日からアルベルト様の第二の家になるんですよ。お気に召しましたか?」
嫌味のように、お嬢様風口調に戻す。
「それはもちろん!あぁ、大きくて凄いな!」
乾いた感想を彼は口にする。
「喜んでいただけているようで、幸いですわ」
私は、口角を吊り上げ、シニカルに笑う。
「二人で、『楽しく』て『幸せ』な家庭と領地を築きましょうね」
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