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1章 転生と初めての婚約破棄
11.火龍退治へ全速前進!
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「おはようございます、お嬢様」
「ああ、おはよう」
目覚めたら、そこは天国、あるいは地獄だった、というオチはなかった。
鏡で姿を確認すると、そこにはちゃんと美があった。
今日も私はアリシア=ラインバルトでいて良いらしい。
「では、こちらへ。お支度のお手伝いを致します」
「よろしく頼む」
こうして、再び私のお嬢様としての1日が始まる。
ーー
「結局、どうなされるおつもりなのですか?」
「アルベルトとの約束とのことか?」
「はい、昨晩はご入浴された後、そのままお休みになられたので、考えるお時間がなかったのではないかと愚考しております」
昨晩ーーああ、あの後私はそのまま眠ってしまったのか。
ほとんど記憶がない。
とりあえず、メノウの裸が綺麗だったことと、
甘い言葉を一身に受けて幸せを感じていたことだけは覚えている。
まあ、それだけ覚えていれば十分か。
人間、覚えているべき記憶なんてそうはないからな。
「彼との約束のことか。お父様に状況確認ができず、独断で動くことになるのは多少は不本意だが仕方がない。私の魔法の威力も確認できたし、火龍の一匹や二匹、軽く捻っても問題ないだろう」
「左様ですか。では、アルベルト様との約束は引き受ける、という御結論で?」
「そういうことだ」
「承知しました。では、そのように準備致します」
彼女の『準備』という単語に若干の引っ掛かりはあった。
だが、いざとなれば私の魔法で発生した問題ごと消し炭にすればいいという自信から捨て置いた。
ーー
「一晩振りだな、愛しの婚約者『候補』よ」
候補、の部分を強調しつつ、アルベルトが現れる。
いけ好かない野郎だが、相変わらずその端正な顔つきだけは評価できるな。
「一晩振りですね。愛しい婚約者様」
私は微笑を彼に向けつつ、彼に答える。
「それで、結論は出たのかい?」
「もちろんです。火龍退治、このアリシア=ラインバルトにお任せあれ」
優美に一礼し、承知の返答をする。
それに対して、一瞬アルベルトはむっと怪訝そうな表情をしたが、すぐに外面様と思われる爽やかフェイスに戻る。
「それはありがたい。これで我が領地もさらなる繁栄を迎えることができる」
アルベルトは凶悪な笑みを浮かべると、私の手を取った。
「では、出発といこうか」
そして、そのまま手を引き、彼の従者と共に私を連れ去っていく。
「え?」
その状況に私はきょとんとしていた。
感嘆の声を上げることしかできなかった。
あれよあれよというままに展開が進む。
「それでは、火龍退治の旅へと全速前進だ!」
アルベルトの掛け声とともに、パチンと鞭のしなる音がする。
馬車的な乗り物に乗せられたかと思うと、すぐに出発。
ぱからぱからと、軽快な音とともに進んでいく。
「え?」
客室的な空間には、私とアルベルトと彼の従者が一人(昨日の花びらの人だ)。
メノウの姿はそこにない。着いて来ていると思ったのに、普通にそこにいない。
いきなり、敵陣の真っ只中。
帰りとか、大丈夫なのだろうか。
土地勘とかないし、それ以前にこの世界のことを何も知らない。
ーーまあ、最悪マジカル武力制圧しかないか。
驚きと不安で胸がいっぱいになりながら、馬車的な物は進んでいく。
怒り狂う火龍が棲まう、アルベルトの領地へと。
「ああ、おはよう」
目覚めたら、そこは天国、あるいは地獄だった、というオチはなかった。
鏡で姿を確認すると、そこにはちゃんと美があった。
今日も私はアリシア=ラインバルトでいて良いらしい。
「では、こちらへ。お支度のお手伝いを致します」
「よろしく頼む」
こうして、再び私のお嬢様としての1日が始まる。
ーー
「結局、どうなされるおつもりなのですか?」
「アルベルトとの約束とのことか?」
「はい、昨晩はご入浴された後、そのままお休みになられたので、考えるお時間がなかったのではないかと愚考しております」
昨晩ーーああ、あの後私はそのまま眠ってしまったのか。
ほとんど記憶がない。
とりあえず、メノウの裸が綺麗だったことと、
甘い言葉を一身に受けて幸せを感じていたことだけは覚えている。
まあ、それだけ覚えていれば十分か。
人間、覚えているべき記憶なんてそうはないからな。
「彼との約束のことか。お父様に状況確認ができず、独断で動くことになるのは多少は不本意だが仕方がない。私の魔法の威力も確認できたし、火龍の一匹や二匹、軽く捻っても問題ないだろう」
「左様ですか。では、アルベルト様との約束は引き受ける、という御結論で?」
「そういうことだ」
「承知しました。では、そのように準備致します」
彼女の『準備』という単語に若干の引っ掛かりはあった。
だが、いざとなれば私の魔法で発生した問題ごと消し炭にすればいいという自信から捨て置いた。
ーー
「一晩振りだな、愛しの婚約者『候補』よ」
候補、の部分を強調しつつ、アルベルトが現れる。
いけ好かない野郎だが、相変わらずその端正な顔つきだけは評価できるな。
「一晩振りですね。愛しい婚約者様」
私は微笑を彼に向けつつ、彼に答える。
「それで、結論は出たのかい?」
「もちろんです。火龍退治、このアリシア=ラインバルトにお任せあれ」
優美に一礼し、承知の返答をする。
それに対して、一瞬アルベルトはむっと怪訝そうな表情をしたが、すぐに外面様と思われる爽やかフェイスに戻る。
「それはありがたい。これで我が領地もさらなる繁栄を迎えることができる」
アルベルトは凶悪な笑みを浮かべると、私の手を取った。
「では、出発といこうか」
そして、そのまま手を引き、彼の従者と共に私を連れ去っていく。
「え?」
その状況に私はきょとんとしていた。
感嘆の声を上げることしかできなかった。
あれよあれよというままに展開が進む。
「それでは、火龍退治の旅へと全速前進だ!」
アルベルトの掛け声とともに、パチンと鞭のしなる音がする。
馬車的な乗り物に乗せられたかと思うと、すぐに出発。
ぱからぱからと、軽快な音とともに進んでいく。
「え?」
客室的な空間には、私とアルベルトと彼の従者が一人(昨日の花びらの人だ)。
メノウの姿はそこにない。着いて来ていると思ったのに、普通にそこにいない。
いきなり、敵陣の真っ只中。
帰りとか、大丈夫なのだろうか。
土地勘とかないし、それ以前にこの世界のことを何も知らない。
ーーまあ、最悪マジカル武力制圧しかないか。
驚きと不安で胸がいっぱいになりながら、馬車的な物は進んでいく。
怒り狂う火龍が棲まう、アルベルトの領地へと。
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