不器用なおじさん達の恋の歌

LUNA

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プロローグ

僕の家の話

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挽きたてのコーヒーの香ばしい香りと、こんがり焼けたトーストの匂いで目が覚めた。ベッドから飛び出して、キッチンへ向かう。

パパはマルーン5の「サンデイモーニング」を鼻歌で口ずさみながら、上機嫌で朝食を作っていた。アレンがこの家に来てからというもの、パパはずっと浮かれていて、まるで羽が生えたみたいだ。

「おう、アキラ、おはよう」
僕に気づいたパパが、爽やかな笑顔を向けてくる。長い髪を後ろで束ね、ジョン・レノン風の丸メガネをかけたこの人が、僕のパパだ。血はつながっていない。

「おはよう、パパ」

パパは僕の前に焼きたてのトーストとコーヒーを置いてくれた。

「アレンはまだ起きてないか?」
「うん、まだだね」
「しょうがないな~、起こしてくるか」

そう言いつつ、パパの足取りは軽やかで、まるでスキップでもしているみたいだ。

少しすると、もうひとつの寝室から「アレン、朝だよ~」と、優しい声でパパが呼びかけるのが聞こえた。1分もしないうちに、アレンがキッチンにやってきた。

「…オハヨ、アキラ」
「おはよう、アレン」

髪はボサボサで、目をこすりながら、アレンは少し眠そうだ。でも、このアレンは誰もが振り返るほどの美男子だ。黄金色の髪に、宝石みたいな水色の大きな瞳、透き通るような白い肌。パパと同じくらいの年齢だから、40歳近いはずだけど、そんなふうには全然見えない。

パパはアレンの前にもトーストとコーヒーを置き、隣に座って食べ始めた。アレンを見つめるパパの顔は、とても嬉しそうだ。急いで食事を終えると、少し残念そうに「そろそろ仕事に行かなくちゃ」と言った。

僕も学校に行かなきゃ。

パパと僕は支度をして、「行ってきます」とアレンに声をかけ、家を出た。

アレンとパパ、そして僕。これが、僕の家族。
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