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【第15話】 ダンジョン攻略
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巨大なゴーレムがぽっかりと口を開けたようなダンジョンを、四人は隊列を組んで下っていく。
「とりあえず、ロロンが先行。ランタンが次で、僕とディスカさんが後ろという形にしましょう」
「わかった」
「ギリギリまで松明で進みますよ」
「えぇ…暗いのだ…」
一度訪れたことのあるダンジョンなだけあり、落ち着きのあるロロンが先頭を率いる。
まだ数えるほどしかダンジョン攻略をしていないランタンだけが、ソワソワと辺りを見回す。
緊張感はありつつ落ち着いた様子で、序盤は順当に下っていく。
ダンジョンはロロンが修行していたBランクダンジョン『ドラゴンの巣』と比べて道幅が広く、草木が僅かに生い茂っている。
道に迷ったり崖から転落したりする可能性は低いが、ツルツルと滑りやすく蛇系モンスターにとっては移動しやすい地形でもあった。ロロンの足が止まり、手を挙げて後ろに警戒するように伝える。
「…来るぞ、「流血ヘビ」だ。
数は十匹くらいか」
「ランタン、止められますか?」
「うむ、修行の成果を見せてやるのだ」
「毒耐性の魔法をかけますか?」
「いや、まだ大丈夫です」
草をかき分けて地面を這う音が、凄まじいスピードで迫っている。
戦法は単純で、ランタンが足止めをしてロロンがとどめを刺すことを基本に置いたものだ。
コウガとディスカは魔力を温存しつつ、様子を見て遠距離攻撃をする。
初めて戦闘をするとき独特の緊張感と、敵が見えない不安感に全員の鼓動が高鳴っていく。草木に身を隠しながらも、蛇の背中が松明の灯に鈍く反射して輝く。
ロロンからおおよその位置を伝え聞いたランタンは、先制攻撃をしかけた。
「随分と単調な動きをするのだ。『火壁』」
「…キィイ!?」
地面に軽く触れた杖の先端から、猩々緋を思わせる赤色の絨毯が現れる。
草を伝って燃え進む火が、蛇たちの身体を吹き抜けた。笛を吹いたときのようなか細い音を上げて、高温に身を焼かれた蛇が死んでいく。
見晴らしがよくなった道の先に、熱波から逃れるように身体をもたげた流血ヘビが数十匹いた。
ランタンが目配せをすると、ロロンが駆けだす。
「ロロン、任せたのだ」
「『神速』」
五歩で射程距離まで距離を詰めて、ロロンが飛び上がって魔法を発動する。
斬撃が、一直線に蛇の頭を刎ね飛ばした。
同時にロロンは周囲を確認して、攻撃を免れた蛇がいないことを確かめてから着地する。
その背中に、ランタンが突進した。
「さすがロロンなのだ!」
「おう!
連携がうまくいったな。この調子で行こうぜ」
「なのだ!」
「はいはい、先に行きますよ。
ロロン、しばらくは流血ヘビが出る道が続くのですよね?」
「あぁ、だが途中から空飛ぶヘビも出てくるから両方相手にする必要がある。
その時はどうする?」
「上のモンスターは僕がどうにかしますから、ロロンとランタンは先に雑魚の方を倒してください」
「雑魚って空飛ぶヘビのことか…?
言っとくが、これでも毒蛇だからな?」
「なのだ」
ハイタッチをして喜びあうランタンとロロンに、コウガが気を引き締める。
軽々とモンスターを倒した二人に、ディスカは驚きを隠せなかった。同時に、危機感を覚える。
このままこのギルドを活かして置けば、サファリングを食らうほどのギルドのなるのではないかと。
そして自分がここに送られた意味を、瞳を通してこの光景を見ているリョナークの望みを考える。
「…さて、お手並み拝見と行きますか」
サファリングの邸宅、その最上階の一室にギルドマスターの部屋がある。
古文書と魔導書が詰まった書架を背に、水晶を前にリョナークは扇で顔を隠した。
獲物を弄ぶような残虐な笑みを浮かべて見つめる水晶には、コウガ・ロロン・ランタンが流血ヘビを倒す映像が映っていた。
隣に立つ燕尾服を来た初老の男は、リョナークの側近にして野伏隊長を務めるリリックだ。
一度の傾きもないホワイトタイとジャケットの金ボタンの輝き、そこに一本の芯があるかのような垂直に伸びる背筋と光沢のないストレートチップの革靴をピタリと揃えた美しい立ち姿は、彼の正確無比な働きを証明している。
「……しかし、ディスカでよろしかったのですか?」
「ん?
何故そう思うのかな?」
「確かに、彼女の魔法は多様でサポートには適しています。
ギルドに対する忠誠心も高い。
ですが、少々協調性に欠けるところがありますので」
「これはね、彼女への試験でもあるんだ」
「…試験、ですか」
「試練といってもいいかもしれない。
近頃彼女のスコアが落ちているのは知っているかい?」
「…確かに、チームの統率を任せてから団員の不満の声が増えたように感じます」
サファリングは実力至上主義だ。
毎月の依頼達成数と報酬によって一人一人に明確なスコアが算出され、それによって昇格も降格もする。
結果さえ出れば、どんな新人でもベテランより高い給料が得られるし、どこで生まれてどう育ったのかは全く考慮されない。
そしてスコアごとに一軍二軍と振り分けられ、そのチームで最もスコアが高いものがリーダーとして統率を行っている。
ディスカは数年前に前線を退き、二軍のリーダーを任せられていた。
「そう、だから今回の共同作戦で彼女が役に立つのかを見極めようと思ってね。
二軍で誰かの下につけてもいいけど、プライドの高さが翻って裏切りに繋がることもあるから」
「なるほど、他ギルドに貢献し生きて帰れば献身さありとして対応を保留。
揉め事を起こして失敗した場合は責任を押し付けてクビ、
もし全滅してもライバルが一ついなくなって一石二鳥と」
「そう、リリックは頭の回転が速くて助かるよ」
「ありがとうございます。
彼女も、昔は勉強熱心な求道者だったのですが」
「だとしてもだよ。
私のギルドに、過去の栄光に縋りつくものはいらない」
リョナークのアクアマリンのような瞳は、ただただ眼前の映像を見つめていた。
そこには仲間に対する友情も部下に対する思いやりもなく、勝利への渇望だけが彼女を動かしていた。
蛇の胴体に羽を持った流血ヘビが、天井の間からスルリと身を滑らせて落下する。
未発達な羽は鳥のように羽ばたいて飛ぶのには適していないが、高所から落ちることで自由に滑空することができる。
ロロンの背中に着地して首元に牙を立てようと、空中から飛びつく空飛ぶヘビ。
変温動物独特の冷たく滑らかな肌が肌に触れ、ロロンの全身に鳥肌が立つ。
「天井に空飛ぶヘビがいるぞ!
…うぉ!?キメぇ!」
「『一光の矢』」
「『火壁』!」
だが、開いたばかりの口を閉じるように上下を貫く形で、光の矢が突き刺さった。
その隙にランタンが『火壁』で地面から攻撃をしかける蛇を焼き尽くす。ファーストペンギンならぬファーストスネークを皮切りにして次々と天井から落ちる蛇は、まるで通り雨のようだ。
コウガが振り返って声をかけた。
「何をぼうっとしているのですか、ディスカさん!
ロロンに毒魔法の無効化を!」
「あ、はい…!『毒耐性』!」
「ランタン!
一人で行けますか?」
「え!?
うむ、なのだ!
『火球』!」
火球が蛇の雨に風穴を開け、ロロンは一度後退する。
入れ替わるように杖をランタンが前に出て、ボールを高く打ち上げるように杖を振る。
杖に飛び乗った蛇が杖伝いにランタンの顔へ這いあがってくる。
「ランタン!」
「なのだ!『火球烈弾』!」
が、それより早く杖からランタンの魔力が蛇へと流れ込む。
棒のように長い身体が風船のように膨らんで、内側から血液を伴って破裂する。
ランタンが一歩踏み出して、返り血を顔に浴びながら笑顔で追撃する。
「あの狼よりずっと遅くて弱いのだ!
『火球烈弾』!『火壁』!」
ハイになったランタンの頭に蛇がボトリと落ちる。
だが、すぐに杖で叩き落とされ仲間を下敷きにして爆発する。天井を伝うようにして火の壁が天井を燃やし尽くし、光の届かないはずの洞窟内が明るくなる。
岩々の隙間や影に隠れた蛇が問答無用で焼き落され、黒い焦げカスとなって落ちていく。
モンスターを倒せたことに興奮したのか火を見て興奮したのか、ランタンは魔法を乱発する。
「『火壁』!『火壁』!『火壁』!」
「ランタン、おいランタン!おい!!」
「なのっ!?」
ロロンが後退していなければ、仲間を巻き添えにしかねない攻撃だ。
以前、その攻撃を暗いそうになったロロンの鉄拳がランタンの頭に命中する。
涙を浮かべて振り向いたランタンに、ロロンは言い聞かせるように言う。
「やりすぎだ、魔力を無駄遣いするな」
「あぅ…すまないのだ」
「お前の魔法はすげぇんだから、一発撃ったら様子を見て判断しろよ」
「わ、わかったのだ…」
「というか、ソロの時もこういう戦い方をしてたのか?」
「なのだ…師匠にも魔力に頼りすぎと言われたのだ…」
しょぼんと落ち込んだランタンをフォローするロロンと、その様子を微笑ましく見つめるコウガは後ろで某立ちしているディスカに密かに警戒をする。
コウガは、あくまでディスカはリョナークの部下であると理解していた。
妨害をしてくるならすぐにしかるべき対処を行い、最悪はモンスターの仕業に見せかけて殺すのもやぶさかではなかったが、彼女は未だ行動を起こさない。
何を考えているのかわからないと様子を伺っていると、ロロンがディスカに向き直った。
「なぁ、あんたは何してんだ?」
「わ、私ですか…?」
まさか自分に矛先が向くとは思っていなかったディスカは、うろたえる。
リョナークの話では、「キレやすく礼儀知らずな三流冒険者」という男だ。
理不尽な暴力を受けるかもしれないと、ローブの下の身体から硬くなる。だが、ロロンはディスカが身構えたのを見て言葉を付け足す。
「あぁ、いや、何か参加しにくかったらよ。言ってくれ」
「え?」
「だからその…
何か言いたかったらよ、遠慮すんなよ」
「えっと、わ、わかりました」
「おう」
世間話をするかのように、極めて冷静に話をして再び先頭に戻るロロン。
ディスカは今日何度目かの感想として「聞いていた話と違う」と思う。
優秀な魔法使いだと聞いていたランタンは魔法使いにも関わらず前線に立つだけではなく、仲間を差し置いて暴走する。頭脳明晰だというコウガは後方で動かず、何の指示も出さない。
そして、三流冒険者のロロンが指揮を執って子供をあやすように自分を機にかけている。
足を引っ張ろうにも、彼らの動きについていくことすらできない。
リョナークといえど人を見間違えることもあるという考えを、ディスカはすぐに否定する。
「いや、そんなこと、あるはずないんだ……」
『私のギルドに来ない?』
ディスカは魔法学院の卒業式が終わった昼下がり、リョナークに誘われた日を思う。
あの頃は、魔法もほとんど扱えないただの小娘だった。彼女の期待に応えたい。在りし日の彼女は毎日夜遅くまで図書館にこもって書物を読み、空き地で魔法の練習をした。
幸い結果はすぐについてきて、リョナークと一緒に戦えるようになった。だが、最近はどうもうまく行かない。
「鶏なのだ!」
「違う!蛇の王だ!」
人間種の子供よりも大きな鶏の身体に悪魔の翼を生やし、鋭いくちばしと爪を携えて蛇の尾を垂らした一匹の蛇の王が現れる。
松明の光に反応して顔を上げた黒毛の蛇の王は、丁度食事をしていたところだったようだ。
足で押さえつけた獲物を啄み細かく切り裂いた肉を宙に放り投げて、一気に丸のみにする。
よく見ればその獲物は、てらてらとした鱗を持ち小さな翼を生やしている。流血ヘビだ。
蛇の王、すなわちありとあらゆる蛇種の頂点に立つモンスターがそこに鎮座している。
「気をつけろ、あいつの呼吸を吸うだけで毒にやられる」
「ワシが前に出た方がよいのだ?」
「いや、あいつは足が速い。コウガ!」
「初撃は止めます、ランタンとロロンは奴の心臓を狙ってください」
ちらりとロロンがコウガとディスカを見てから、蛇の王の動向に注目する。
ディスカはその瞳が、団員に向けられる視線と重なった。
「ディスカさん、俺にも攻撃の機会をくださいよ」
「攻撃の機会?何を言っているの?」
二軍チームでリーダー役として動くディスカに、一人の団員が声をかけた。
Bランクダンジョン『ドラゴンの巣』のボス討伐に向かう、その道中のことだ。
踏破済みのダンジョンでも、時間が経てばボスは復活する。
復活したばかりのモンスターは未踏破と比べてレベルが低いので報酬は多くない上にダンジョンの人数制限もなくなるが、決して油断できない依頼だ。
そこで「攻撃の機会」が欲しいとヘラヘラ告げてくるだけで、ディスカはもうイライラし始める。
「いや、いつもディスカさんが魔法で引き付けて、俺たちはディスカさんを守りながらアタッカーが斬りつけるじゃないですか」
「えぇ」
お手本のような攻撃の陣形だ。
強行突破してリスクを負うこともなく万が一にも誰かが傷ついても、すぐに魔法で回復をする。
胸を張ったディスカに、団員は人を小馬鹿にしたような表情で続ける。
「でも、それじゃタンクの俺はいつまで経ってもレベルが上がらないわけですよ」
「それは…」
レベルを上げるには、モンスターに攻撃をするか攻撃を受ける必要がある。
大抵は最も敵に与えたダメージが多かったものから順に経験値が付与されるのが決まりだが、一部のダンジョンは一定のダメージ量が与えられなかったものには、経験値が付与されないことがある。
その一つが、まさにこのダンジョンだ。結果、魔法使いを守る陣形ではタンクのレベルが上がりにくい。
「でも、安全に依頼を完了できるのよ?」
「それはそうですけど、ちょっとでも陣形を変えてもらえませんかね?」
「いや、仲間の安全が優先よ。あなた一人の我がままを聞くわけにはいかないわ」
「…そうっすか」
これがリーダーとしての正しい行動であると。ディスカは疑わない。だ
が、仲間の視線はどこかよそよそしく冷ややかだった。次第に、息苦しさを感じ始める。
「あの人、いつまでいんのかね」
「ねぇー?二軍落ちしてきたのに、いばらないで欲しいわぁー」
「……仕方ないじゃない、私はずっとサポートだったのよ」
仲間の陰口は、ある意味的を射ていた。
彼女は長年リョナークと共に行動し、リョナークの指示で動いていた。
だが、いつからか一軍の成長についていけなくなる。加齢による体力の衰えか、それとも成長限界か。
不運に不運が重なる。三軍から順当に二軍に上がってきた団員とは、モチベーションも年齢も違う。
それでも、ディスカはリョナークと共に戦いたかった。
そのリョナークが、一週間前に二年ぶりにディスカを呼び出した。
「ダンジョンの初挑戦に、私がですか…!?」
また、リョナークの背中を守る機会が訪れた。ディスカは浮足立った。
「うん、あるギルドのメンバーとして同行して欲しい」
「あるギルド…?」
久々に出会ったリョナークには、かつての友人を懐かしむ様子はなかった。
彼女は、サファリングのギルドマスター。
そして、ディスカは総勢何百人いる団員の一人でしかなかった。
「そう、潜入して情報を流して欲しい」
出会った時の面影は、少しも残っていなかった。
皮膚から発達した赤い鶏冠を揺らしながら、蛇の王が地面を蹴る。
発達した脚の筋肉を活かして蛇行するように迫り、くちばしをロロンに振り下ろす。
コウガはタイミングを合わせて『光の盾』を発動して、そのくちばしを跳ね返す。即座に盾から回り込んで、蛇の王の側面にたどり着いたロロンが巨大な足元に斬りかかる。
ランタンは遠距離攻撃で頭を攻撃して、蛇の王の視界を塞ぐ。
「『神速』」
「『火球』
「あ…『一光の矢』!」
ディスカも慌てて光魔法で攻撃を仕掛けるが、鋼鉄のように硬い腹毛に阻まれる。
蛇の王の生態は事前に調べていたにも関わらず、無策で魔法を使ってしまったことに気づいて焦る。
さらに丹精な顔を向けてじっとこちらを見ているコウガと目が合い、みるみる顔が赤くなっていく。
これでは、リョナークも失望するだろう。
「失望…?」
既にディスカが前線で一緒に戦えなくなって二年。
そして、前回団員が全滅した初踏破に一人で送り込まれる。
そんな扱いを受けてもなお、ディスカはまだ自分が「リョナークに期待されている」と思い込んでいると気づいた。
彼女の瞳には、哀愁も期待も無くなっていたというのに。
「ふふ、もういいや」
ディスカはこの時、長年縋りついてきたサファリングを辞めることを決心した。
「とりあえず、ロロンが先行。ランタンが次で、僕とディスカさんが後ろという形にしましょう」
「わかった」
「ギリギリまで松明で進みますよ」
「えぇ…暗いのだ…」
一度訪れたことのあるダンジョンなだけあり、落ち着きのあるロロンが先頭を率いる。
まだ数えるほどしかダンジョン攻略をしていないランタンだけが、ソワソワと辺りを見回す。
緊張感はありつつ落ち着いた様子で、序盤は順当に下っていく。
ダンジョンはロロンが修行していたBランクダンジョン『ドラゴンの巣』と比べて道幅が広く、草木が僅かに生い茂っている。
道に迷ったり崖から転落したりする可能性は低いが、ツルツルと滑りやすく蛇系モンスターにとっては移動しやすい地形でもあった。ロロンの足が止まり、手を挙げて後ろに警戒するように伝える。
「…来るぞ、「流血ヘビ」だ。
数は十匹くらいか」
「ランタン、止められますか?」
「うむ、修行の成果を見せてやるのだ」
「毒耐性の魔法をかけますか?」
「いや、まだ大丈夫です」
草をかき分けて地面を這う音が、凄まじいスピードで迫っている。
戦法は単純で、ランタンが足止めをしてロロンがとどめを刺すことを基本に置いたものだ。
コウガとディスカは魔力を温存しつつ、様子を見て遠距離攻撃をする。
初めて戦闘をするとき独特の緊張感と、敵が見えない不安感に全員の鼓動が高鳴っていく。草木に身を隠しながらも、蛇の背中が松明の灯に鈍く反射して輝く。
ロロンからおおよその位置を伝え聞いたランタンは、先制攻撃をしかけた。
「随分と単調な動きをするのだ。『火壁』」
「…キィイ!?」
地面に軽く触れた杖の先端から、猩々緋を思わせる赤色の絨毯が現れる。
草を伝って燃え進む火が、蛇たちの身体を吹き抜けた。笛を吹いたときのようなか細い音を上げて、高温に身を焼かれた蛇が死んでいく。
見晴らしがよくなった道の先に、熱波から逃れるように身体をもたげた流血ヘビが数十匹いた。
ランタンが目配せをすると、ロロンが駆けだす。
「ロロン、任せたのだ」
「『神速』」
五歩で射程距離まで距離を詰めて、ロロンが飛び上がって魔法を発動する。
斬撃が、一直線に蛇の頭を刎ね飛ばした。
同時にロロンは周囲を確認して、攻撃を免れた蛇がいないことを確かめてから着地する。
その背中に、ランタンが突進した。
「さすがロロンなのだ!」
「おう!
連携がうまくいったな。この調子で行こうぜ」
「なのだ!」
「はいはい、先に行きますよ。
ロロン、しばらくは流血ヘビが出る道が続くのですよね?」
「あぁ、だが途中から空飛ぶヘビも出てくるから両方相手にする必要がある。
その時はどうする?」
「上のモンスターは僕がどうにかしますから、ロロンとランタンは先に雑魚の方を倒してください」
「雑魚って空飛ぶヘビのことか…?
言っとくが、これでも毒蛇だからな?」
「なのだ」
ハイタッチをして喜びあうランタンとロロンに、コウガが気を引き締める。
軽々とモンスターを倒した二人に、ディスカは驚きを隠せなかった。同時に、危機感を覚える。
このままこのギルドを活かして置けば、サファリングを食らうほどのギルドのなるのではないかと。
そして自分がここに送られた意味を、瞳を通してこの光景を見ているリョナークの望みを考える。
「…さて、お手並み拝見と行きますか」
サファリングの邸宅、その最上階の一室にギルドマスターの部屋がある。
古文書と魔導書が詰まった書架を背に、水晶を前にリョナークは扇で顔を隠した。
獲物を弄ぶような残虐な笑みを浮かべて見つめる水晶には、コウガ・ロロン・ランタンが流血ヘビを倒す映像が映っていた。
隣に立つ燕尾服を来た初老の男は、リョナークの側近にして野伏隊長を務めるリリックだ。
一度の傾きもないホワイトタイとジャケットの金ボタンの輝き、そこに一本の芯があるかのような垂直に伸びる背筋と光沢のないストレートチップの革靴をピタリと揃えた美しい立ち姿は、彼の正確無比な働きを証明している。
「……しかし、ディスカでよろしかったのですか?」
「ん?
何故そう思うのかな?」
「確かに、彼女の魔法は多様でサポートには適しています。
ギルドに対する忠誠心も高い。
ですが、少々協調性に欠けるところがありますので」
「これはね、彼女への試験でもあるんだ」
「…試験、ですか」
「試練といってもいいかもしれない。
近頃彼女のスコアが落ちているのは知っているかい?」
「…確かに、チームの統率を任せてから団員の不満の声が増えたように感じます」
サファリングは実力至上主義だ。
毎月の依頼達成数と報酬によって一人一人に明確なスコアが算出され、それによって昇格も降格もする。
結果さえ出れば、どんな新人でもベテランより高い給料が得られるし、どこで生まれてどう育ったのかは全く考慮されない。
そしてスコアごとに一軍二軍と振り分けられ、そのチームで最もスコアが高いものがリーダーとして統率を行っている。
ディスカは数年前に前線を退き、二軍のリーダーを任せられていた。
「そう、だから今回の共同作戦で彼女が役に立つのかを見極めようと思ってね。
二軍で誰かの下につけてもいいけど、プライドの高さが翻って裏切りに繋がることもあるから」
「なるほど、他ギルドに貢献し生きて帰れば献身さありとして対応を保留。
揉め事を起こして失敗した場合は責任を押し付けてクビ、
もし全滅してもライバルが一ついなくなって一石二鳥と」
「そう、リリックは頭の回転が速くて助かるよ」
「ありがとうございます。
彼女も、昔は勉強熱心な求道者だったのですが」
「だとしてもだよ。
私のギルドに、過去の栄光に縋りつくものはいらない」
リョナークのアクアマリンのような瞳は、ただただ眼前の映像を見つめていた。
そこには仲間に対する友情も部下に対する思いやりもなく、勝利への渇望だけが彼女を動かしていた。
蛇の胴体に羽を持った流血ヘビが、天井の間からスルリと身を滑らせて落下する。
未発達な羽は鳥のように羽ばたいて飛ぶのには適していないが、高所から落ちることで自由に滑空することができる。
ロロンの背中に着地して首元に牙を立てようと、空中から飛びつく空飛ぶヘビ。
変温動物独特の冷たく滑らかな肌が肌に触れ、ロロンの全身に鳥肌が立つ。
「天井に空飛ぶヘビがいるぞ!
…うぉ!?キメぇ!」
「『一光の矢』」
「『火壁』!」
だが、開いたばかりの口を閉じるように上下を貫く形で、光の矢が突き刺さった。
その隙にランタンが『火壁』で地面から攻撃をしかける蛇を焼き尽くす。ファーストペンギンならぬファーストスネークを皮切りにして次々と天井から落ちる蛇は、まるで通り雨のようだ。
コウガが振り返って声をかけた。
「何をぼうっとしているのですか、ディスカさん!
ロロンに毒魔法の無効化を!」
「あ、はい…!『毒耐性』!」
「ランタン!
一人で行けますか?」
「え!?
うむ、なのだ!
『火球』!」
火球が蛇の雨に風穴を開け、ロロンは一度後退する。
入れ替わるように杖をランタンが前に出て、ボールを高く打ち上げるように杖を振る。
杖に飛び乗った蛇が杖伝いにランタンの顔へ這いあがってくる。
「ランタン!」
「なのだ!『火球烈弾』!」
が、それより早く杖からランタンの魔力が蛇へと流れ込む。
棒のように長い身体が風船のように膨らんで、内側から血液を伴って破裂する。
ランタンが一歩踏み出して、返り血を顔に浴びながら笑顔で追撃する。
「あの狼よりずっと遅くて弱いのだ!
『火球烈弾』!『火壁』!」
ハイになったランタンの頭に蛇がボトリと落ちる。
だが、すぐに杖で叩き落とされ仲間を下敷きにして爆発する。天井を伝うようにして火の壁が天井を燃やし尽くし、光の届かないはずの洞窟内が明るくなる。
岩々の隙間や影に隠れた蛇が問答無用で焼き落され、黒い焦げカスとなって落ちていく。
モンスターを倒せたことに興奮したのか火を見て興奮したのか、ランタンは魔法を乱発する。
「『火壁』!『火壁』!『火壁』!」
「ランタン、おいランタン!おい!!」
「なのっ!?」
ロロンが後退していなければ、仲間を巻き添えにしかねない攻撃だ。
以前、その攻撃を暗いそうになったロロンの鉄拳がランタンの頭に命中する。
涙を浮かべて振り向いたランタンに、ロロンは言い聞かせるように言う。
「やりすぎだ、魔力を無駄遣いするな」
「あぅ…すまないのだ」
「お前の魔法はすげぇんだから、一発撃ったら様子を見て判断しろよ」
「わ、わかったのだ…」
「というか、ソロの時もこういう戦い方をしてたのか?」
「なのだ…師匠にも魔力に頼りすぎと言われたのだ…」
しょぼんと落ち込んだランタンをフォローするロロンと、その様子を微笑ましく見つめるコウガは後ろで某立ちしているディスカに密かに警戒をする。
コウガは、あくまでディスカはリョナークの部下であると理解していた。
妨害をしてくるならすぐにしかるべき対処を行い、最悪はモンスターの仕業に見せかけて殺すのもやぶさかではなかったが、彼女は未だ行動を起こさない。
何を考えているのかわからないと様子を伺っていると、ロロンがディスカに向き直った。
「なぁ、あんたは何してんだ?」
「わ、私ですか…?」
まさか自分に矛先が向くとは思っていなかったディスカは、うろたえる。
リョナークの話では、「キレやすく礼儀知らずな三流冒険者」という男だ。
理不尽な暴力を受けるかもしれないと、ローブの下の身体から硬くなる。だが、ロロンはディスカが身構えたのを見て言葉を付け足す。
「あぁ、いや、何か参加しにくかったらよ。言ってくれ」
「え?」
「だからその…
何か言いたかったらよ、遠慮すんなよ」
「えっと、わ、わかりました」
「おう」
世間話をするかのように、極めて冷静に話をして再び先頭に戻るロロン。
ディスカは今日何度目かの感想として「聞いていた話と違う」と思う。
優秀な魔法使いだと聞いていたランタンは魔法使いにも関わらず前線に立つだけではなく、仲間を差し置いて暴走する。頭脳明晰だというコウガは後方で動かず、何の指示も出さない。
そして、三流冒険者のロロンが指揮を執って子供をあやすように自分を機にかけている。
足を引っ張ろうにも、彼らの動きについていくことすらできない。
リョナークといえど人を見間違えることもあるという考えを、ディスカはすぐに否定する。
「いや、そんなこと、あるはずないんだ……」
『私のギルドに来ない?』
ディスカは魔法学院の卒業式が終わった昼下がり、リョナークに誘われた日を思う。
あの頃は、魔法もほとんど扱えないただの小娘だった。彼女の期待に応えたい。在りし日の彼女は毎日夜遅くまで図書館にこもって書物を読み、空き地で魔法の練習をした。
幸い結果はすぐについてきて、リョナークと一緒に戦えるようになった。だが、最近はどうもうまく行かない。
「鶏なのだ!」
「違う!蛇の王だ!」
人間種の子供よりも大きな鶏の身体に悪魔の翼を生やし、鋭いくちばしと爪を携えて蛇の尾を垂らした一匹の蛇の王が現れる。
松明の光に反応して顔を上げた黒毛の蛇の王は、丁度食事をしていたところだったようだ。
足で押さえつけた獲物を啄み細かく切り裂いた肉を宙に放り投げて、一気に丸のみにする。
よく見ればその獲物は、てらてらとした鱗を持ち小さな翼を生やしている。流血ヘビだ。
蛇の王、すなわちありとあらゆる蛇種の頂点に立つモンスターがそこに鎮座している。
「気をつけろ、あいつの呼吸を吸うだけで毒にやられる」
「ワシが前に出た方がよいのだ?」
「いや、あいつは足が速い。コウガ!」
「初撃は止めます、ランタンとロロンは奴の心臓を狙ってください」
ちらりとロロンがコウガとディスカを見てから、蛇の王の動向に注目する。
ディスカはその瞳が、団員に向けられる視線と重なった。
「ディスカさん、俺にも攻撃の機会をくださいよ」
「攻撃の機会?何を言っているの?」
二軍チームでリーダー役として動くディスカに、一人の団員が声をかけた。
Bランクダンジョン『ドラゴンの巣』のボス討伐に向かう、その道中のことだ。
踏破済みのダンジョンでも、時間が経てばボスは復活する。
復活したばかりのモンスターは未踏破と比べてレベルが低いので報酬は多くない上にダンジョンの人数制限もなくなるが、決して油断できない依頼だ。
そこで「攻撃の機会」が欲しいとヘラヘラ告げてくるだけで、ディスカはもうイライラし始める。
「いや、いつもディスカさんが魔法で引き付けて、俺たちはディスカさんを守りながらアタッカーが斬りつけるじゃないですか」
「えぇ」
お手本のような攻撃の陣形だ。
強行突破してリスクを負うこともなく万が一にも誰かが傷ついても、すぐに魔法で回復をする。
胸を張ったディスカに、団員は人を小馬鹿にしたような表情で続ける。
「でも、それじゃタンクの俺はいつまで経ってもレベルが上がらないわけですよ」
「それは…」
レベルを上げるには、モンスターに攻撃をするか攻撃を受ける必要がある。
大抵は最も敵に与えたダメージが多かったものから順に経験値が付与されるのが決まりだが、一部のダンジョンは一定のダメージ量が与えられなかったものには、経験値が付与されないことがある。
その一つが、まさにこのダンジョンだ。結果、魔法使いを守る陣形ではタンクのレベルが上がりにくい。
「でも、安全に依頼を完了できるのよ?」
「それはそうですけど、ちょっとでも陣形を変えてもらえませんかね?」
「いや、仲間の安全が優先よ。あなた一人の我がままを聞くわけにはいかないわ」
「…そうっすか」
これがリーダーとしての正しい行動であると。ディスカは疑わない。だ
が、仲間の視線はどこかよそよそしく冷ややかだった。次第に、息苦しさを感じ始める。
「あの人、いつまでいんのかね」
「ねぇー?二軍落ちしてきたのに、いばらないで欲しいわぁー」
「……仕方ないじゃない、私はずっとサポートだったのよ」
仲間の陰口は、ある意味的を射ていた。
彼女は長年リョナークと共に行動し、リョナークの指示で動いていた。
だが、いつからか一軍の成長についていけなくなる。加齢による体力の衰えか、それとも成長限界か。
不運に不運が重なる。三軍から順当に二軍に上がってきた団員とは、モチベーションも年齢も違う。
それでも、ディスカはリョナークと共に戦いたかった。
そのリョナークが、一週間前に二年ぶりにディスカを呼び出した。
「ダンジョンの初挑戦に、私がですか…!?」
また、リョナークの背中を守る機会が訪れた。ディスカは浮足立った。
「うん、あるギルドのメンバーとして同行して欲しい」
「あるギルド…?」
久々に出会ったリョナークには、かつての友人を懐かしむ様子はなかった。
彼女は、サファリングのギルドマスター。
そして、ディスカは総勢何百人いる団員の一人でしかなかった。
「そう、潜入して情報を流して欲しい」
出会った時の面影は、少しも残っていなかった。
皮膚から発達した赤い鶏冠を揺らしながら、蛇の王が地面を蹴る。
発達した脚の筋肉を活かして蛇行するように迫り、くちばしをロロンに振り下ろす。
コウガはタイミングを合わせて『光の盾』を発動して、そのくちばしを跳ね返す。即座に盾から回り込んで、蛇の王の側面にたどり着いたロロンが巨大な足元に斬りかかる。
ランタンは遠距離攻撃で頭を攻撃して、蛇の王の視界を塞ぐ。
「『神速』」
「『火球』
「あ…『一光の矢』!」
ディスカも慌てて光魔法で攻撃を仕掛けるが、鋼鉄のように硬い腹毛に阻まれる。
蛇の王の生態は事前に調べていたにも関わらず、無策で魔法を使ってしまったことに気づいて焦る。
さらに丹精な顔を向けてじっとこちらを見ているコウガと目が合い、みるみる顔が赤くなっていく。
これでは、リョナークも失望するだろう。
「失望…?」
既にディスカが前線で一緒に戦えなくなって二年。
そして、前回団員が全滅した初踏破に一人で送り込まれる。
そんな扱いを受けてもなお、ディスカはまだ自分が「リョナークに期待されている」と思い込んでいると気づいた。
彼女の瞳には、哀愁も期待も無くなっていたというのに。
「ふふ、もういいや」
ディスカはこの時、長年縋りついてきたサファリングを辞めることを決心した。
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