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33-2 初めて繋がる心と身体

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 ディークは一番奥まで挿入したまま、ふぅぅっと大きく息を吐き、セルヴィの首筋に顔を埋めた。

「ディ、ディーク……嬉しい……」
「殿下……殿下……愛してる……愛してる……」
「ディ、ディーク!!」

 首筋に顔を埋めたまま、耳元で囁かれた愛の言葉。セルヴィはぞわりと震え、ディークのモノをキュウッと絞め付けた。

「くっ、キツッ……」
「名前……」
「え?」
「今だけで良いから……名前で呼んでくれ」

 ガバッと顔を上げたディークは涙目になりながら微笑むセルヴィの顔を見た。

「……セルヴィ」

 鼻先を合わせ、お互いしか映らない瞳。そして、ディークは初めて王子としてではなく、一人の愛する者として名を呼んだ。

 セルヴィはボロボロと涙を流し、ディークの首筋に腕を回し抱き締めた。

「ディーク……ディーク……愛してる」
「セルヴィ……俺も愛してる……」

 ディークは唇を軽く合わせると、再び首筋に噛み付くかのように吸い付き、そして、ヌルッと自身のモノ引き抜き、抜けてしまう寸前で勢い良く突き上げる。
 バチンッ!! という音と、セルヴィの嬌声が響き、そして、ディークは激しく抽送を開始する。

 バチンッバチンッと激しく肌がぶつかり合う音が響き、お互いの息はハッハッと浅く繰り返される。大きなセルヴィのベッドはディークの抽送と合わせるように、ギシッギシッと軋む音が響く。

 ディークの額は汗が滲み、髪が貼り付く。セルヴィはディークの熱い吐息と色っぽく低い声が耳を擽り、自身のモノは二人の身体にゴリゴリと刺激され、さらに後孔はディークのモノに攻められ突き上げられていることで、もう目の前が真っ白になり何も考えられなかった。

「あっ、あっ、あっ、ディーク!! ディーク!!」
「ハッハッ、くっ、セルヴィ!! セルヴィ!! 好きだ!! 愛してる!!」

 ズチュッズチュッと水音を響かせ、ディークはギュウッとセルヴィを抱き締めた。

「いく!! 出る!! ディーク!! あぁぁあ!!」
「俺も……もうっ……くぅっ!!」

 セルヴィが欲を吐き出した瞬間、ディークもずるんとセルヴィの中から引き抜いた。その瞬間ドピュッとディークの欲が吐き出され、セルヴィの腹の上でセルヴィの欲と混ざり合った。

 お互いハァハァと激しい息遣いのまま、ぐったりと項垂れる。しがみついたままだった身体はお互いの欲でグチョグチョに。
 しかし、そんなことは構わないかのようにディークはセルヴィを抱き締めたまま、横に転がった。

「ハァハァ……ディ、ディークは……その、服は脱がなくて良かったのか?」
「え?」

 ディークは結局、服は脱がないまま抱いたため、お互いの吐き出したもので、服までグチョグチョだ。

「あー、ハハ、脱いだらきっともっと理性が吹っ飛んで殿下を壊しそうだったから良いんですよ」

 言われた言葉にセルヴィは顔を赤くする。

「名前……」
「え?」
「今だけは名前で……」

 顔を赤らめながらそう呟くセルヴィにディークは微笑み、抱き締め額に口付けた。

「セルヴィ……愛してる」
「ディーク……私も愛している」

 セルヴィはディークの背に手を回し抱き締め返した。


 ガクガクと脚が震えているセルヴィを見兼ねて、ディークはいつものように風呂へ連れて行くのではなく、濡れタオルで身体を綺麗にさせた。セルヴィはあちこち念入りに拭かれるたびに敏感になった身体が反応してしまい、拭かれるたびに声が漏れ、顔を赤らめた。
 そんな姿が愛おしく、ディークはチュッチュッとセルヴィの額や頬に口付けた。

 ディークは風呂場でセルヴィから借りた服に着替え、そしてセルヴィの横でベッドに潜り込む。お互い抱き締め合い、ディークはセルヴィの頭にキスを落とす。

「疲れたでしょう? 寝てください」
「もう少しだけ話していたい」

(明日になれば、お互い王子と騎士に戻ってしまう。今夜だけ、今夜だけなのだ)

 セルヴィはギュウッとディークにしがみつき訴えた。

「フフ、分かりました。貴方が眠くなるまで話しましょう」

 そうやってお互い他愛もない話を続けた。子供の頃の話や、やってみたいことや、行ってみたい場所や。
 国王となればセルヴィは自由には行動出来なくなるだろう、それが分かったディークはセルヴィに聞いた。

「もし今どこか好きな場所に行けるとしたらどこに行ってみたいですか?」
「行ってみたい場所……私は……」

 なにかを言いかけてセルヴィは止まった。どこに行きたいと言っても、国王とならなければ良かった、とディークを責めた言い方になりそうで怖かったのだ。

「わ、私のことより、ディークは行きたい場所や夢はないのか?」
「うーん、夢……老後は海が見えるところでのんびり過ごすのが昔からの夢ですね」

 そう言ってディークは笑う。

 お互い共に過ごすことは叶わない。老後を共にすることなどないことも分かっている。
 ありもしない想像をし、お互い視線を絡ませるが、しかし、その視線は外され、その代わりお互いキツく抱き締め合った……。

 セルヴィがディークの首筋に顔を埋め、匂いに安心し次第に瞼が重くなる。このまま眠ってしまうと、目覚めたときには元の王子と騎士に戻ってしまうと分かっているのに、しかし、疲れ切った身体が瞼を閉じさせてしまう。

「ディー……」
「おやすみ……セルヴィ」


 スヤスヤと眠るセルヴィの顔を覗き込み、ディークは微笑み頬を撫でる。頬に口付け、そして身体を起こした。
 抱き締められていたセルヴィの腕はスルリとディークの身体から滑り落ち、ディークはその手を握ると、スリッと撫で、布団のなかへと入れた。
 頬を撫で、セルヴィの柔らかい髪を撫でる。そしてもう一度、セルヴィの頬に口付ける。

「セルヴィ……俺を受け入れてくれてありがとう……愛してる……どうか幸せに……」

 ディークはベッドから降り、眠るセルヴィの顔をチラリと眺め、そして、想いを断ち切るように踵を返すと部屋を後にした。


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