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14-1 焦りと無自覚とニヤニヤと
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ディークは自身の部屋へと戻ると悶絶した。
(な、なんて約束をしてしまったんだ……。ただ呪いを解く方法を探すのを手伝ったら良いだけだったんじゃ……)
これから毎日セルヴィに触れる、という行為。無意識にキスをしてしまったということが、セルヴィに触れてしまうと今後自分がどうなってしまうのか、それが恐ろしく感じた。
まるで魅入られたかのようにセルヴィに吸い寄せられた自分が、情けなく感じつつ、男に手を出してしまったという背徳感、自分がおかしくなってしまったのか、と悶々と考える。
考えたところで答えは出ないのだが。
「くそっ。明日からどんな顔をして会いに行けば良いんだ……」
ジタバタと悶えてはいるが、どうせこれ以上考えても分からない。ディークは早々に諦め、ベッドへと潜り込む。しかし眠れるはずもないのだが……。
セルヴィはディークが出て行った扉を見詰めつつ、自身の手を見詰めた。
黒ずんだ手、そしてその手で顔を触る。仮面のない顔。ディークは怖がったり気味悪がったり、といった表情は全くなかった。それどころかこの黒ずんだ痣を躊躇なく触った。
それを思い出すと、セルヴィは頬が熱くなる。そしてまるで吸い寄せられるように唇を重ねたことを思い出す。
「ディークは……男が好きなのか?」
ボソッと呟いた言葉は誰の耳にも届かないが、自分で発した言葉に自分で驚く。そして自身の唇にそっと指を這わせた。
柔らかく、そっと優しく触れたディークの唇。それを思い出すとカッと顔が熱くなり、鼓動が早くなる。
ディークのことなど、面倒で邪魔だとしか思っていなかったセルヴィにとって、この心境の変化が自身で理解出来なかった。
(触れられた手が気持ち良かった……呪いが発動してから初めて他人に触れられた……)
そうやって触れられたことで気持ちが安らぎ、心が満たされ、そして痛みが弱まり泣きそうになった。セルヴィはずっと誰かにそうやって寄り添ってもらいたかったのだ、ということに自身で気付く。
父王や弟もセルヴィを怖がったり、気味悪がったりなどはしなかったが、しかし腫れ物に触るような、いつも申し訳なさそうな、そんな態度だった。それが悪いわけではない。ただセルヴィにとってそれは『孤独』でしかなかった。
タイミングが良いのか悪いのか、ただ単に触れてくれた人間がディークだっただけかもしれない。ディークが特別だという訳ではないのかもしれない。しかし、セルヴィにとってはまぎれもなく初めて、自身の孤独に寄り添ってくれた人間だった。
セルヴィに臆することなく、いたって『普通に』接して来たディーク。それがセルヴィにとって、『特別』以外の何ものでもなかった。それが戸惑いつつも、なにやらそわそわと嬉しいような恥ずかしいような、そんな気分になっていることに気付くのだった。
翌朝、ディークはセルヴィの部屋に行くべきか、再び見回りに行くべきかを悩んだ。昨夜のことからセルヴィと顔を合わせることに躊躇いを感じ、しかし、顔を合わせずして、再び夜に向かうということは余計に抵抗を感じそうだと考え込む。
使用人食堂で悶々としていると、イアンがなにか気付いたのか声を掛けてくる。
「ディーク、結局昨日は殿下と話したのか?」
「えっ」
ギクッと心臓が跳ね、明らかに挙動不審となってしまったディークは、イアンに不審な顔をされる。
「どうした?」
「え、いや、なにも?」
「なにもって、殿下と会ったんだろ?」
「え、あー、うん、まあ、会ったけど……」
明らかにいつものディークと違い歯切れが悪い。イアンはじぃっとディークを見詰める。ディークは目が泳ぎ、泳いだついでに周りの視線に気付いた。なにやら全員に見詰められていた。
「い、いや! 特にこれといって! いや、えーっと、これからのこと? とか、話した……かな」
しどろもどろになるディークに、全員が怪しい、といった顔となる。メイドたちはなにやら目を輝かせている。
「昨日、セルヴィ殿下がディーク様を必死に探しておられましたもんねぇ! あんな殿下、初めて見ましたよ!」
メリッサがうきうきしながら話す。
「え、俺を探してたって、もしかしてあちこち行ってたのか?」
全員が頷いた。ダンやザックのところやメイドたちのところにまで行ったのか、とディークは唖然とし、そしてそんな必死に自分のことを探していたのか、となにやらにやけそうになる自分に驚いた。
必死に自分を探し、そして昨夜のセルヴィの気持ちの吐露を思い出し、顔が火照り出す。
「キャァァ」
声を上げようとして口を押えたメリッサと、同じく嬉しそうに顔を見合わせるメイドたち、男たちですら驚きの顔をしてディークを見る。
「お、おぉ? 本当になにかあったのか?」
イアンがニヤニヤとしながら聞いてくる。
(な、なんて約束をしてしまったんだ……。ただ呪いを解く方法を探すのを手伝ったら良いだけだったんじゃ……)
これから毎日セルヴィに触れる、という行為。無意識にキスをしてしまったということが、セルヴィに触れてしまうと今後自分がどうなってしまうのか、それが恐ろしく感じた。
まるで魅入られたかのようにセルヴィに吸い寄せられた自分が、情けなく感じつつ、男に手を出してしまったという背徳感、自分がおかしくなってしまったのか、と悶々と考える。
考えたところで答えは出ないのだが。
「くそっ。明日からどんな顔をして会いに行けば良いんだ……」
ジタバタと悶えてはいるが、どうせこれ以上考えても分からない。ディークは早々に諦め、ベッドへと潜り込む。しかし眠れるはずもないのだが……。
セルヴィはディークが出て行った扉を見詰めつつ、自身の手を見詰めた。
黒ずんだ手、そしてその手で顔を触る。仮面のない顔。ディークは怖がったり気味悪がったり、といった表情は全くなかった。それどころかこの黒ずんだ痣を躊躇なく触った。
それを思い出すと、セルヴィは頬が熱くなる。そしてまるで吸い寄せられるように唇を重ねたことを思い出す。
「ディークは……男が好きなのか?」
ボソッと呟いた言葉は誰の耳にも届かないが、自分で発した言葉に自分で驚く。そして自身の唇にそっと指を這わせた。
柔らかく、そっと優しく触れたディークの唇。それを思い出すとカッと顔が熱くなり、鼓動が早くなる。
ディークのことなど、面倒で邪魔だとしか思っていなかったセルヴィにとって、この心境の変化が自身で理解出来なかった。
(触れられた手が気持ち良かった……呪いが発動してから初めて他人に触れられた……)
そうやって触れられたことで気持ちが安らぎ、心が満たされ、そして痛みが弱まり泣きそうになった。セルヴィはずっと誰かにそうやって寄り添ってもらいたかったのだ、ということに自身で気付く。
父王や弟もセルヴィを怖がったり、気味悪がったりなどはしなかったが、しかし腫れ物に触るような、いつも申し訳なさそうな、そんな態度だった。それが悪いわけではない。ただセルヴィにとってそれは『孤独』でしかなかった。
タイミングが良いのか悪いのか、ただ単に触れてくれた人間がディークだっただけかもしれない。ディークが特別だという訳ではないのかもしれない。しかし、セルヴィにとってはまぎれもなく初めて、自身の孤独に寄り添ってくれた人間だった。
セルヴィに臆することなく、いたって『普通に』接して来たディーク。それがセルヴィにとって、『特別』以外の何ものでもなかった。それが戸惑いつつも、なにやらそわそわと嬉しいような恥ずかしいような、そんな気分になっていることに気付くのだった。
翌朝、ディークはセルヴィの部屋に行くべきか、再び見回りに行くべきかを悩んだ。昨夜のことからセルヴィと顔を合わせることに躊躇いを感じ、しかし、顔を合わせずして、再び夜に向かうということは余計に抵抗を感じそうだと考え込む。
使用人食堂で悶々としていると、イアンがなにか気付いたのか声を掛けてくる。
「ディーク、結局昨日は殿下と話したのか?」
「えっ」
ギクッと心臓が跳ね、明らかに挙動不審となってしまったディークは、イアンに不審な顔をされる。
「どうした?」
「え、いや、なにも?」
「なにもって、殿下と会ったんだろ?」
「え、あー、うん、まあ、会ったけど……」
明らかにいつものディークと違い歯切れが悪い。イアンはじぃっとディークを見詰める。ディークは目が泳ぎ、泳いだついでに周りの視線に気付いた。なにやら全員に見詰められていた。
「い、いや! 特にこれといって! いや、えーっと、これからのこと? とか、話した……かな」
しどろもどろになるディークに、全員が怪しい、といった顔となる。メイドたちはなにやら目を輝かせている。
「昨日、セルヴィ殿下がディーク様を必死に探しておられましたもんねぇ! あんな殿下、初めて見ましたよ!」
メリッサがうきうきしながら話す。
「え、俺を探してたって、もしかしてあちこち行ってたのか?」
全員が頷いた。ダンやザックのところやメイドたちのところにまで行ったのか、とディークは唖然とし、そしてそんな必死に自分のことを探していたのか、となにやらにやけそうになる自分に驚いた。
必死に自分を探し、そして昨夜のセルヴィの気持ちの吐露を思い出し、顔が火照り出す。
「キャァァ」
声を上げようとして口を押えたメリッサと、同じく嬉しそうに顔を見合わせるメイドたち、男たちですら驚きの顔をしてディークを見る。
「お、おぉ? 本当になにかあったのか?」
イアンがニヤニヤとしながら聞いてくる。
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