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第二章

24 夏至の夜 1

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 夏至の夜。花束とワインを買って帰ると、ごちそうを用意したテーブルの前でヒスイが振り向いた。俺の好きな冷たい野菜のスープと黒パン。それからマヨネーズたっぷりのサラダと肉の串焼き、チーズ。でも一番に目に入ったのは、コットンのシャツから伸びるすんなりした腕となめらかな頬、きらめく明るい色の瞳だった。

「サーシャ」

 花とワインをテーブルの端に置いて手を伸ばす。ヒスイの体を抱きしめ、貪るようにくちびるを吸った。

 まだ窓の外は昼間の明るさだ。アパートの下の中庭では子どもたちが歓声を上げて遊んでいる。

 全然ロマンチックじゃないそのシチュエーションで、ヒスイのシャツのボタンを引きちぎるように外し白く薄い胸にくちびるを這わせた。

 ヒスイの指が俺の頭を抱きかかえて髪をかき混ぜる。小さな粒を舐めると息を詰めるのがわかった。

 どこもかしこも全部を一気に愛したくて、薄く筋肉のついた体を撫でさすりながら乳首を吸って、歯を立てる。

 つんと硬くしこるそれがかわいくて、歯で挟んだまま舌先で潰すと、小さな声が漏れた。

 蕩けるような声を聞きながら腰を撫でて下着ごとボトムを引き下ろすと、そのままヒスイを抱き上げて寝室へ運び、ベッドに下ろした。

 両足を大きく開かせ、秘められた部分を指先で探る。そこはしっとり濡れて柔らかくほぐれていた。

 思わず胸元から顔を上げてヒスイを見上げると、ヒスイは目を逸らして小さい声で呟いた。

「……早く、サーシャと繋がりたかったから」

 なんてかわいいんだろう。

 ヒスイ、ヒスイ。世界で唯一の、俺の愛しい人。

「大好きだよ、愛してる、ヒスイ」

 少しずつ指を埋め込みながら囁いてキスをする。ヒスイはくちびるを開いて俺を受け入れ、同じ言葉を返すように耳たぶを摘まんで優しくこねた。

「……ん、っ……は、ぁ……」

 熱く滾るヒスイの中を、そっとかき混ぜて引き抜き、また奥まで差し込む。くるりと指を回して記憶にあるあたりを探ると、小さなしこりを指先に感じた。

 ちょっと触れただけなのにヒスイの狭い肉筒がきゅうっと締まり、腰が僅かに動く。待ちきれないその反応が愛おしくて、焦らさず快感のるつぼを指先でくすぐった。

「あっ、あ、あぁ……っ」

 高い声を上げてのけぞるヒスイの股間で、先端から涙を流す性器が揺れる。もっと泣かせたくて今度はくるくると指先で押し込むようにすると、涙の浮いた目をきゅっと瞑り俺の肩にしがみ付いてきた。

「やっ、あんまりしたら、俺……っ」

 こんな切羽詰まった声を聞くのは初めてで、思わず手を止める。

 汗でじんわりと肌を湿らせたヒスイが、涙の膜を浮かべた目で俺を見た。

「な、なんか変、俺、今日……。今までは、こんなに」

 確かに、前にしたときよりも感じやすくなっているような気はした。

 できるだけ手を動かさないようにして、戸惑っているヒスイに口づける。その間にも後孔は、埋め込んだままの俺の指を食むようひくひくと収縮した。

 酷く感じやすくなって泣きそうになっているヒスイを困らせたくなくて、でも俺の手で乱して泣かせたいという欲望がじわじわ湧き上がる。

 相反する感情にどちらを向けばいいか迷いながらも、ヒスイのくちびるを何度も吸った。

「どんな反応をしても君が好きだよ。絶対に呆れたり嫌いになったりしない。約束する。だから怖がらないで」

 キスの合間に囁いて、ヒスイが小さく頷いたのを確かめてからそっと指で中を掻き混ぜた。

 その途端、ヒスイが嬌声を上げて腰を反らす。

 と太腿まで細かく痙攣していて、半開きのくちびるから引きつった呼吸が漏れた。
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