【完結】零れる水の策略

文字の大きさ
上 下
11 / 18
第1章

11

しおりを挟む
 鷹野の言った「一緒にたっぷり味わう」はまさしく「一緒にたっぷり」だった。鷹野がグラスから口にした酒を柴原に口移しで与え、そのまま舌を絡め合う。キスに紛れて酒が柴原の喉を通りすぎ、鷹野の舌と酒の香りに酔いしれた。喉に感じる熱さは、アルコールのせいかそれともキスをしているからなのか。夢中になって繰り返しアルコールの混じる口づけを交わし合った。

「今度は柴原くんが僕に飲ませて」

 そう強請られて、鷹野のグラスから一口を口に含む。鷹野の膝に乗り上げるようにして深くくちづけ、少しずつ酒を流し込んでいくと、鷹野の手が柴原の感じやすい背中を辿った。その動きにぞくりとしたものが走り抜け、思わず顎をそらすとこぼれたアルコールが鷹野の口の端から喉へと伝っていく。鷹野に背中を撫でられ小さく震えながら、流れ落ちたアルコールをくちびるで追って鷹野の顎を、喉を舐めた。そのままシャツのボタンを外し、キスを鎖骨、胸へと移していくと、鷹野がくすぐったそうに笑った。

「君は、僕を煽るのが上手だね。ベッドへ行く? それとももう少し飲む?」

 背中への愛撫で火をつけられすっかりその気になっていた柴原は、ソファから降りて彼の足の間に座り込み、スラックスの上から股間に触れた。

「ここで、もう少ししてもいい?」

 柴原の意図を察した鷹野が、柔らかく目元を和ませる。

「……いいよ。君の好きにしていい」

 お許しをもらったので、ベルトを外してジッパーを下し、鷹野のものをそこから取りだした。前回も見たし、触れたし、なにより長い時間これに体内を貫かれて狂わされたが、こうして間近でまじまじと見るのは初めてだ。ほんのり兆したそれはすでに存在感があり、そんなところまで鷹野同様、品があるように見えた。

 根元を手で支えるようにしながら、くちびるを寄せる。竿から先端に向けていくつもキスをし、くちびるで皮膚の感触を確かめた。そうしていると、次第に硬さと大きさを増していく。彼が感じてくれていることがうれしくて、上目に見上げながら舌を出して先端のまるい部分を舐めた。こちらを見下ろす彼の目が細められ、大きな手で頭を撫でられる。それが気持ちよくて、彼と視線を合わせたまま張り出した部分へと舌を滑らせた。輪郭を辿るように舌先で愛撫し、裏筋をくすぐる。すると彼がくちびるを引き結んだ。

 あなたの声も、聞きたい。

 そう心の中で呼びかけながら裏筋にくちびるを当てて強く吸う。そこに痕は残せないことは知っていたけれど、残ればいいと思いながら。

「……っ」

 息を詰めた彼が柴原の髪に指を差し入れるようにして一瞬だけ頭を強く掴んだ。けれどその力はすぐに抜けて、髪を梳き下ろし、耳を、うなじを撫でる。

 まるで猫になったような気持ちで目を伏せると、先端の小さな穴から先走りが滲んでいた。舌を伸ばして舐め取ってもすぐにまた滲んでくる。今度はそこにくちびるを当ててちゅうっと吸った。

「それっ……」

 頭上から低くなめらかな声が聞こえて、先端にくちびるを当てたまま目線だけを上げると、目元を染めた鷹野が目を眇めた。

「……これ、好き?」

 そう問いかけながら、根本を握り扱く。その刺激に押し出されるように、また先端に雫が滲むから、柴原は舌先を伸ばしてぺろりと舐めた。

「……とてもいいよ、上手だ。悔しくなるくらい、気持ちいい」

 褒められて気を良くし、今度は大きく口を開けて鷹野のものを含んだ。くちびるをすぼめて頭を上下しつつ、できるだけ舌を絡める。顔の角度を変えると、鷹野の先端が頬の内側や上顎に擦れ、それが気持ちいい。夢中になってくちびるで竿を扱きながら吸い上げれば、口の中の鷹野のものがまた一段と大きくなった。

 すごい、大きい。これが、俺の中に入るんだ……。

 そう思うと胸が高鳴る。もっと感じてほしくて先端だけを残して引き抜き、舌先で鈴口をくすぐった。「もう、ダメ」と声がして、大きな手が優しく頭を左右から支えて顔を上げるよう促された。

「このままじゃ君の口の中に出してしまう」
「出していいのに」

 当たり前のようにそう答えると、鷹野は困った顔をした。

「僕がもっと若ければそれでもいいけど。まずは、君の中でイキたい。……いい?」

 そう問われて、自然と顔が熱くなる。小さく頷くと、両脇に手を入れられて持ち上げられた。

「じゃあ、次は僕がかわいがる番。君を見せて」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛して、許して、一緒に堕ちて・オメガバース【完結】

華周夏
BL
Ωの身体を持ち、αの力も持っている『奏』生まれた時から研究所が彼の世界。ある『特殊な』能力を持つ。 そんな彼は何より賢く、美しかった。 財閥の御曹司とは名ばかりで、その特異な身体のため『ドクター』の庇護のもと、実験体のように扱われていた。 ある『仕事』のために寮つきの高校に編入する奏を待ち受けるものは?

異世界召喚されたのは、『元』勇者です

ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。 それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。

Bon voyage! ~10億円でスキルを買って楽しい異世界移住~

市々ふた枝
BL
 母子家庭で育った俺は、母と妹から虐げられて育った。搾取子という言葉を知ったのは、中学のときだ。何度も、離れようとしたけど離れられず、虐げられたまま一生を終えるのかと思っていたある日、妹が爆弾発言をした。 「あたしィ、異世界に移住できるのォ!」  剣と魔法の世界ミーヌスラジア。獣人やエルフとか魔人とかいて、魔法の力で同性でも子供ができるから同性婚とか当たり前らしいけど、そんなことは重要じゃない。一親等以内の家族は全員移住が原則だけど、うまくやれば、家族から離れられる!? なら、行くしかないじゃないか!  俺は、魔法で髪と目の色を変えてもらい、名前も変えて、ミーヌスラジアで新しい人生を送る!  そう息巻いた俺に、さらなる幸運が。たまたま買った宝くじが大当たり。当選金はなんと10億!  贅沢をしなければ一生遊んで暮らせそうな金額だけど……え? スキルが買える? ……買います!  これは異世界に移住して、飲食店開業という夢をかなえる俺の話。  夢にも思わなかった、パートナーと出会って幸せになっちゃう俺の話。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

私はあなたの母ではありませんよ

れもんぴーる
恋愛
クラリスの夫アルマンには結婚する前からの愛人がいた。アルマンは、その愛人は恩人の娘であり切り捨てることはできないが、今後は決して関係を持つことなく支援のみすると約束した。クラリスに娘が生まれて幸せに暮らしていたが、アルマンには約束を違えたどころか隠し子がいた。おまけに娘のユマまでが愛人に懐いていることが判明し絶望する。そんなある日、クラリスは殺される。 クラリスがいなくなった屋敷には愛人と隠し子がやってくる。母を失い悲しみに打ちのめされていたユマは、使用人たちの冷ややかな視線に気づきもせず父の愛人をお母さまと縋り、アルマンは子供を任せられると愛人を屋敷に滞在させた。 アルマンと愛人はクラリス殺しを疑われ、人がどんどん離れて行っていた。そんな時、クラリスそっくりの夫人が社交界に現れた。 ユマもアルマンもクラリスの両親も彼女にクラリスを重ねるが、彼女は辺境の地にある次期ルロワ侯爵夫人オフェリーであった。アルマンやクラリスの両親は他人だとあきらめたがユマはあきらめがつかず、オフェリーに執着し続ける。 クラリスの関係者はこの先どのような未来を歩むのか。 *恋愛ジャンルですが親子関係もキーワード……というかそちらの要素が強いかも。 *めずらしく全編通してシリアスです。 *今後ほかのサイトにも投稿する予定です。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。

快楽の牢獄

真鉄
BL
【快楽の牢獄】 触手×細身眼鏡青年学者、巨根剣士×青年学者 冒険者ギルドに属する生真面目な薬師・スヴェンは剣士・テオドアと共に謎の失踪事件を任せられた。探索中、触手に捕らえられたスヴェンは、テオドアに助けられたものの身体に淫靡な変調をきたしてしまう。 触手/媚薬/尿道責め/結腸責め/潮吹き 【闘争か逃走か】 おっさん二人×眼鏡細身学者 媚薬レイプ、筋肉髭剣士×眼鏡細身学者 後遺症が残る中、ギルドマスターと依頼主に呼び出されたスヴェンはサンプルとして所持していたメイテイカズラの媚薬を見つけられてしまう。 媚薬/レイプ/潮吹き/結腸責め

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

処理中です...