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三話 平均的はチートだった

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俺は城を出てすぐに、聞き忘れてたことがあるのを思い出した。
でも流石に城を出てすぐに戻るのもかっこ悪いので、図書館などで調べようと思う。

だが、図書館の場所を俺は知らないので、とりあえず冒険者ギルドに行って、どこにあるか聞こう。
ついでに冒険者にもなれるしな。

冒険者ギルドの場所に関しては、メイドに地図をもらっているので地図通りに進めばちゃんとつくはずだ。

城から10分ほど歩いたところに冒険者ギルドらしき建物を見つけた。
建物は石で出来ていて、見た目はアニメでよくある奴にそっくりだ。

俺はすごく興奮していた。
なぜなら憧れの冒険者ギルドだからだ。男なら誰もが1度は夢見たことがあるのではないだろうか。

中に入る前に、興奮を抑えなければ、ということで俺は深呼吸をしてから、冒険者ギルドの中へと入る。

中に入ると左側に酒場があった。これはテンプレだろう。
正面には受付があり、右側には依頼書らしきものが掲示板に貼られている。

俺は冒険者登録に来たので、受付に向かった。受付には綺麗な(瑞希には勝てない)受付嬢達がいた。
俺はその内の1人の受付嬢に話しかける。

「冒険者登録しに来たんですけど」

「冒険者登録ですね、ではこちらにお座り下さい」

俺は椅子に座り受付嬢の話に耳を傾ける。

「冒険者についての説明は必要ですか?」

「いえ、大丈夫です」

「それではまず冒険者登録の手数料として銅貨5枚が必要なのですが、お持ちでしょうか?」

「はい、ありますよ」

俺は城でもらったお金の中から銅貨5枚を受付嬢に手渡した。

「確かに5枚ありますね。それではこちらが登録用紙です。必要事項をお書き下さい」

「わかりました」

俺は返事をして登録用紙に目を向ける。
登録用紙には上から順に名前、年齢、性別、居住地と書かれている。

俺が居住地がかけなくて困っていると、受付嬢が居住地は必須ではないので大丈夫です、と言ったので無視することにした。

その他の記入事項も書き終えたあと、登録用紙を受付嬢に渡す。

「リョウタ ヤマダさんですね。ギルドカードを作ってきますので少々お待ちください。
ギルドカードを作成している間に必要でしたら、ギルドカードの説明をご覧下さい」

そう言って受付嬢から、1枚の紙を渡された。その紙にはさっき受付嬢が言っていた通りギルドカードの説明が書かれていた。

1つ、ギルドカードは身分証明書代わりになるのでなくしてはいけない。

1つ、ギルドカードを紛失した場合、金貨1枚支払うことで再発行可能。

1つ、ギルドカードにはステータスを表示させる機能がある。

など色々なことが書かれていた。金貨1枚で再発行可能にしているのは、値段を高くすることで少しでも紛失する人を減らそうとしているのだろう。
俺が説明に1通り目を通したところで受付嬢が、戻ってきた。

「これがギルドカードです。説明を読んでいただいたらわかりますが、再発行には金貨1枚が必要ですので無くさないように注意してください」

「わかりました」

俺は受付嬢からギルドカードを受け取った。
初期ランクはFで、依頼をこなすことによってランクが上がっていく仕組みになっている。もちろん俺のギルドカードのランクはFだ。

「これで冒険者登録は終了です。他にご要件はありますでしょうか?」

「あ、そういえばこの国に図書館のようなものはありますか?」

「はい、ありますよ。必要でしたら地図を用意しましょうか」

「お願いします」

俺は受付嬢から地図を受け取りギルドを出て、早速図書館に向かう。
ここで俺が何を聞き忘れたかを言っておこうと思う。
それは───スキルの種類だ。
正直言ってどうでもいいかも知れないが、知っておいた方が入手したい時に楽だと思う。

図書館は冒険者ギルドから、5分程でつく距離にあった。
大きさは小さめだが、本の量はこの国にある図書館の中で一番多いそうだ。

中に入るとびっしりと本が置かれていた。一面本しかない。

その中から、スキルに関係する本が置かれている場所を探す。
正直多すぎて探すのが面倒くさい。まあ、無事に見つかったが。

その中でも気になる本を手に取って読み始める。
そこで、俺はスキルの入手方法が城で聞いたのとは違う事に気付いた。

俺の読んでいる本によると、スキルの入手方法は、入手したいスキルを一定以上上達すると入手できると書かれていた。

城で聞いた説明と合わせると、才能がないやつは練習をとにかくすると一定以上に達するので、スキルが手に入るということである。

逆に言えば才能のあるやつはすぐに手に入るという事だ。

俺はその文章をみて才能があるやつを羨ましく思いながら、スキルの種類について勉強を始めた。

スキルの種類は結構あったので、必要なものだけ覚えておこうと思う。

スキルの種類を見ていると、そこにはそれぞれのスキルポイントの取得方法についても書かれていた。

この本によると、魔法の場合ひたすら魔法使用することによって取得できると書かれてる。

身体強化は使用時間によって入手できる量が変わるらしい。剣術などはそのスキルに関係する練習をひたすらすることによって取得できるらしい。

俺はひとしきり本を読んだ後図書館を出て、冒険者ギルドに戻ることにした。

なぜ戻るかと言うと依頼を受けるためである。少しでも依頼を受けておかないと、1週間分のお金が無くなったあと野宿することになる。

それは絶対に嫌なので野宿しなくてすむように、早速依頼を受けるのだ。

またまた歩いて5分で冒険者ギルドに戻ってきて、今度は受付嬢の方には行かず、冒険者ギルドの掲示板に貼られた依頼書を見た。

依頼書の右下には適正ランクと書かれていて、その下にB~Fのどれかが書かれている。

適正ランクは、依頼がどの程度の難易度かをあらわしており、依頼は書かれている適正ランク以上の者しか受けられない規則となっている。

ちなみに、なぜA以上が無いかと言うと、Aランク以上は、ギルドから直接依頼が来るからである。

さて、話を戻そう。
俺は今Fランクなので、適正ランクFと書かれている依頼しか受けることが出来ない。

Fランクの依頼は薬草採取や、最も弱いとされているスライム、ゴブリンの討伐と、簡単なものばかりである。

俺はいくつかある依頼の中からスライム討伐を選んだ。
スライムはこの街の外にある草原に沢山いると書かれていた。

この依頼の達成条件はスライムを5体倒すことで、達成報酬は銅貨30枚。証明方法はギルドカードを見せるだけでいいらしい。

なんでも、ギルドカードには倒した魔物を記録する機能があるので、魔物の一部を切り落として持っていく必要は無いらしい。

よかった...。俺は血は大丈夫だが、死んでるやつの一部を切り落とすとか無理だからな...。

さらに記録する機能があることによって、事後報告でも達成報酬をもらうことが出来るそうだ。
だが、今はあまり関係ないだろう。俺にそこまで余裕はない。

「よし、早速討伐に行くか!」

と、俺は冒険者ギルドの前で力強く呟いた。俺は草原に向かいながら、どうやって倒そうかなーと考えながら歩いた。
俺はそこでハッと思い出した。

「武器持ってないじゃん...」

そう、今俺は何も持っていない。
敵の倒し方以前の問題だ。
ということで、武器屋に買いに行くことにした。

1番近くにあった店に入り、武器を見る。そこには日本ではほとんど見ることが出来ない、ファンタジー感溢れる剣がたくさん置かれていた。

俺は思わず叫びそうになったが、店にいる人に迷惑をかけるので、何とかこらえてこの店で1番安い剣を探した。

なぜ1番安いものかと言うとお金が無いからだ。
俺の所持金は銀貨4枚だ。値段の高い剣などかっていられない。
この店で1番安い剣は銀貨1枚らしいので、それを買った。

これで準備万端だ。
やっと、俺は剣を携えてスライム討伐に向かった。

街を出ると一面に草原が広がっていた。
草原を歩いていると、早速スライムに出会えた。この世界のスライムはどちらかというと可愛い系だ。

俺は異世界に行ったら絶対に会いたいと思っていたスライムと出会えたことに興奮をしながら、剣を手に取った。

そして俺はスライムに駆け寄って剣を振り下ろす。するとスライムは真っ二つに割れて死亡した。

意外と呆気なく初めての魔物討伐が終了した。
するとスライムを倒してすぐ、脳内に直接

『スキル 剣術 Lv.0を取得しました』

と機械じみた声が響いた。
俺はなぜスキルを手に入れられたのか、それとなぜLv.0なのかが理解出来ず1人草原で口をぽかんと開け立ち尽くしていた。

数秒後俺はなんとか復活して、1つずつ疑問を解決していくことにした。
1つ目はなぜLv.0なのかだ。最初に俺はスキル欄を確認してみた。

スキル

言語理解 Lv.1(0.03/1)
ステータス鑑定 Lv.1(0.03/10)
身体強化 Lv.1(0.03/10)
火属性魔法 Lv.1(0.03/10) ファイアボール
水属性魔法 Lv.1(0.03/10) ウォーターボール
木属性魔法 Lv.1(0.03/10) ウッドボール
風属性魔法 Lv.1(0.0310) ウィンドボール
土属性魔法 Lv.0(0.03/1)
闇属性魔法 Lv.0(0.03/1)
光属性魔法 Lv.0(0.03/1)
剣術 Lv.0(0.03/1)

俺はこれを見てなぜLv.0なのかを理解した。そして疑問が増えた。それは全てのスキルポイントが0.03ずつ増えていることだ。
だがこれは、少し考えると解決した。多分全てに0.03ずつ入っているのは平均的 2の効果だろう。

さて、最後の疑問だ。なぜ一度スライムと戦っただけで剣術スキルを手に入れることが出来たかだ。スキルは一定以上上達しないと手に入らない。そして俺は剣など一度も使ったことがない。

俺の平均的な頭をフル回転させて、必死に考えた結果このような考えに至った。

「俺は努力しても、しなくても、全て平均的に出来る。そして俺の平均的はスキルを入手することができる一定以上に達している、ということなのかもしれない...」

俺はこれが1番正解に近いと思う。そして俺にはこれ以上の案は出せそうにないので、俺は考えることをやめた。
そして、スライムを倒すことに集中した。

だが、1体目と同じですぐに倒すことが出来た。そして、3体目を倒した辺りでまた脳内に直接

『レベルが2に上がりました』

と響いた。俺はどうせHPだけ無駄に上がってるんだろうなー、と思いながらステータスを確認しすることにした。

山田 涼太

Lv.2

HP 7000.65
MP 4300.65
STR 4800.65
DEF 4700.65
AGI 4300.65

俺はまたしても口をぽかんと開き立ち尽くした。そして今回も数秒後なんとか復活した。

俺はもう一度平均的な頭をフル回転させた。そして、俺は今まで気づかなかったその他のチートさに気づいた。

「まず、抑制的 1でHP以外のステータス上昇率が低下する。そして、それを平均的 1で分配したのが0.65なんだろう。それで異常的 1でHPの上昇量が超上昇してそれを平均的 1で分配したのが、この異常的なまでのステータスの上がり様なんだろう」

そう、俺はその他にある異常的と平均的を組み合わせることで全ステータスが異常なまでに上昇するのだ。

「平均的って、チートじゃね?」


涼太は1人草原でそう呟いたのだった───。
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