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二話 幼なじみは異常だった

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俺は自分のステータスを確認した後、瑞希のステータスが気になったので聞いてみることにした。

「瑞希のステータスどんなのだった?」

「どうって言われても、どうやって言ったらいいの?」

「数値書いてるだろ?スキルとかも。それ言ってくれよ」

「えー、面倒くさいよ」

「いや、そこまで面倒じゃないだろ」

俺がそんなに面倒な事じゃないだろと思っていると国王様が簡単にステータスを見せる方法を教えてくれた。

「このステータスを見るスキルはステータス鑑定というやつなのだが、このスキルはなかなか優秀で『ステータス提示』と言うと周りに見せられるようになっておる」

すると早速瑞希がステータス提示と言ってこちらに見せてきた。

俺はそのステータスを見て目を見開いた。なぜなら俺と違いすぎていたからだ。
取り敢えず、瑞希のステータスを見てほしい。

新川 瑞希

Lv.1

HP 12000
MP 2500
STR 3000
DEF 1800
AGI 2000

スキル

言語理解 Lv.1(0/1)
ステータス鑑定 Lv.1(0/10)
身体強化 Lv.3(0/30)
アイテムボックス Lv.3(0/30)
火属性魔法  Lv.3(0/30) 
  ファイアボール ファイアウォール 
  ファイアバレット
水属性魔法  Lv.3(0/30) 
  ウォーターボール ウォーターウォール
  ウォーターバレット
木属性魔法 Lv.3(0/30) 
  ウッドボール ウッドウォール
  ウッドバレット
風属性魔法 Lv.3(0/30) 
  ウィンドボール ウィンドウォール
  ウィンドバレット
土属性魔法 Lv.3(0/30) 
  サンドボール サンドウォール
  サンドバレット
闇属性魔法 Lv.1(0/10) ダークボール
光属性魔法 Lv.1(0/10)  ライトボール
空間魔法 Lv.1(0/10) 短距離転移

その他

戦闘時ステータス上昇
(召喚時)
戦闘時に全ステータスがランダム倍上昇する。(2~5倍)

空間把握 Lv.1
(召喚時)
自分がいる場所から半径10m以内の全ての建造物、生物の場所を把握する。

勇者の特権
(召喚時)
レベルアップに必要な経験値が半分になる。

幸運
(0歳の時に入手)
とにかく幸運になる。

これを見てどう思うだろうか?
まずステータスの桁が違う。
俺が低いのか瑞希が高いのか分からないが、俺と桁が違う。

この差は何なのだろうか。
一緒に召喚されて1桁分違うのは、理不尽だろ!

そして次に、魔法のレベルがいきなりLv.3になっている。俺Lv.1だぞ!
しかも、勇者の特権てなんだよ!俺は勇者じゃないのか!

それと最後に幸運ってなに!入手時0歳てなんだよ!

俺の扱い酷すぎないか...。
そんなことを考えていると、レイアがいきなり叫び始める。

「す、すごいです!ミ、ミズキさんのステータスの値、おかしいですよ!Lv.1ならば普通はMP4桁なんか行きませんよ!それに空間魔法なんて、持っている人は殆どいませんよ!レアなスキルです。ミズキさん、すごいです!」

瑞希は凄いそうだ。
と言うことは、俺は普通ぐらいなのだろう。俺この場にいなくても良くないか...。

異世界召喚されたから喜んでたのに、テンション下がってきた。
すると、瑞希が落ち込んでいる俺にさらに追い打ちをかけてくる。

「涼太!私すごいんだって!」

俺は自分のステータスの低さに対しての悲しみを堪えながら、なんとか返事を返す。

「そうか...よかったな」

「ミズキさんがこのステータスなので、リョウタさんにも期待できますね!」

「涼太のステータスはどうだったの?」

遂に俺のステータスを聞かれてしまった。正直期待されても困る。

だって低いんですもん。
仕方がなくないですか?勝手に決まったんですから。

さて、ステータスを見せるか見せないかどうしようか。
ここで、俺のステータスを見せたら笑われてしまうのだろうか。
それとも、扱いがひどくなるのだろうか。

どちらにせよ嫌な未来だ。
取り敢えず、ステータスは見せないでおこう。

「俺は瑞希よりだいぶ低かったよ...。MPは3桁、そのほかのステータスもだいぶ低い。使えるスキルも瑞希より少ない。それにレベルも低い。俺、必要ないよな...」

「そ、そんなこと、ありませんよ。リョウタさんも訓練したり、ダンジョンに行くことで強くなれますよ!」

超ネガティブな奴みたいに言ったからか、レイアが慌てて慰めてくれる。だが、その慰めもあまり効かない。

所詮俺はすべて平均的だからな。もう、諦めたよ。

「それなら、いいんですけど...」

ポジティブに返事を返そうとしたけど、全くポジティブじゃなかったです。

まあ、レイアも少しは安心したのか、さっきまでアタフタしていたが、今は落ち着いたのでよかった。

すると瑞希が最後の一撃と言わんばかりの発言をする。

「大丈夫だよ!涼太はわたしが守るから!」

「俺は瑞希に守られなければ生きていけないのか...」

あれ、俺好きな人すら守れないのか?あ、なんか目から汗が...。

「そう意味じゃないよ!もしピンチの時は私が守るって意味だよ!だから大丈夫!」

瑞希はそういうが、男の無駄なプライドが、それすらも許さない。

やっぱり俺は所詮平均的か...。
異世界なら平均的を脱出できるかと思ったんだけどな...。
期待した俺が馬鹿だったか。
俺、しばらく立ち直れそうにないわ。

だって、さっきも言ったけど、俺と一緒に召喚された瑞希が、俺とは比べ物にならないぐらい強いんだぜ?ほんと泣きたいわ。

それにこれだけ弱いと、魔王討伐に行ったら完璧に足でまといだ。俺はこれからどうしたらいいのだろうか?

「このステータスだと、俺が瑞希と一緒に魔王討伐に参加した場合完璧足でまといだと思うんだけど、...俺どうしたらいい?」

俺がそう言うと、レイアと国王様が悲しそうな顔をしたあと困ったような顔になる。

「とりあえず、ステータスを見せてもらえないか?低くすぎない限り魔王討伐には参加できるかもしれん」

「そうですか...」

俺は返事を返し、仕方なく、『ステータス提示』と呟いて、国王様にステータスを見せる。

やはりと言うべきか、国王様は俺のステータスを見てから、少し残念そうな顔になった。

なぜそんな顔になっているかはステータスが低いからしかない。

「すまないが、これは低すぎるな。たしかにこれでは足でまといになる。リョウタ殿は...魔王討伐には参加できないな」

予想通り、低いらしいですね。
あー、また目から汗がでそう。

「やはり低いですか...」

俺が返事をするとすぐに瑞希が驚いたような顔で俺の方を見てくる。

どうしたのだろう?と思っていると、瑞希が叫ぶように話し始めた。

「え、涼太参加しないの!?じゃ、じゃあ私も参加しない!涼太と一緒にいる!」

「じゃあ、魔王討伐はどうするんだ?」

「そ、それは...」

確かに、俺も瑞希と一緒にいたい。だが、俺は魔王討伐に参加出来ないし、瑞希はステータスが高いので、逆に魔王討伐に参加しなければいけない。
なので、瑞希に頼むしかないのだ。

「頼めないか?」

「で、でも...」

瑞希はそう呟いて下を向いた。
その直後、顔を勢いよくあげて、手をぽんと叩いた。

「もう一度召喚するのはどう!?」

そう来たか。確かにそれもありだろう。俺は国王様の方を見る。
だが、国王様は首を左右に振った。

「勇者召喚には制限があって、一度召喚すれば、1年は召喚できないのだ」

「そうなんですか...」

これはもう本格的に瑞希に行ってもらうしかなくなった。
それに、瑞希だと問題なく魔王を討伐できるはずだ。

「瑞希、討伐に行ってくれないか?」

「で、でも、涼太と一緒がいい」

うーん、なんとか説得できないだろうか。

「何か、この条件があればやってもいいとかないか?」

その言葉を聞いた瑞希は、待ってましたとばかりの笑顔になる。

「じゃあ条件ね、魔王討伐が終わったら、私の言うことを何でも聞くこと」

俺は内心、そんなことでいいのか?と思った。正直、俺に出来ることなんて少ない。それなのに、そんな条件でいいのだろうか?

「本当にそれだけでいいのか?」

「うん!」

「そっか、その条件を飲もう。だから、魔王討伐を頼んでもいいか?」

「任せて!」

瑞希はとてもいい笑顔でそう言った。
魔王討伐をしたら何を願われるのだろうか?お金だろうか?

あ、お金で思い出したけど1つ聞き忘れてたことがあった。

「そういえばなんですけど、俺達って元の世界に戻れるんですか?」

「あ、そういえば聞いてなかったね」

普通の人にとってはこれが1番重要なことだが、俺達は異世界に興奮しすぎていた。
だから戻るなんてことが頭になかったのだ。

「そういえばまだ言ってなかったな。元の世界に戻る手段はある。転移門というものがあって、そこから元の世界に戻ることが出来る。実際過去の勇者達はそこから戻ったと、文献に記されていた。だが戻るためには魔王を倒さなければいけない。魔王を倒すことによって、転移門を使えるようになるという仕組みらしい。すまないが、それ以外は方法が無いそうだ」

「そうなんですか、でも良かったです。元の世界に戻れると分かっているだけで充分です」

俺からしてみれば帰る方法があるだけ充分だ。
帰れなかったらどうしようかと思ったが、これで一安心だな。

あとは他人任せだが瑞希に頑張ってもらうだけだ。
俺は頑張れという意味をこめて、瑞希の方を見つめる。

すると瑞希は俺に気づいた瞬間ニヤニヤし始めた。
正直、引くぐらいニヤニヤしていた。少し気持ち悪い。

そんな、俺達を見ていた国王様がもう一度口を開いた。

「もう1つ言うことがあってな、今回の魔王は以前の魔王とは比べ物にならないぐらい強いそうだ。過去に魔王が現れた時から生きているエルフがいてな、そのエルフが出現した魔王を見に行ったらしい。そしたら、今回の魔王の纏っている魔力が尋常ではないぐらい多かったそうだ。だから、今回は苦しい戦いになるかもしれん」

「そうなんですか...。余計に俺が参加したら邪魔ですね」

「そうだな...。すまない」

「いえ、大丈夫ですよ」

俺は完璧いらない子になった。なんでだよ!まあ、仕方ないか...。
俺はこれから、どこで何をしていればいいのだろうか。

俺的には城に引きこもっていても暇なので、外に出たいと思っているのだが。

「さっきもした質問なんですけど、俺はどこで何をしていればいいんですか?俺的には城から出て観光したいんですけど...」

「え、なに?私が魔王討伐するために頑張ってる間涼太は観光するの?いい度胸してるじゃない」

「い、いやそういう意味じゃなくて!城でいつまでもお世話になるわけには行かないから、自分で働いて、自分の力で生活しようと思うっていう風に言いたかったの」

俺は瑞希を宥めるために、慌てて言い訳を考えた。
だが俺の考えは瑞希にお見通しなのか、先に瑞希が攻撃を仕掛けてくる。

「ふーん、本当かな?まあ、私が頑張っている間ゆっくり楽しんでね」

といって、俺の足を踏んできた。すごい痛かった、骨折してそうだ。これがステータスの差なのだろうか。こんな事があったが、瑞希は一応納得してくれてそうだ。

そんな様子を見ていた国王様は少し申し訳なさそうに話し始める。

「こちらが召喚したから、帰れるようになるまで城にいてもいいのだが、観光したいのならそれもいいだろう。お金はどうする?」

「そうですね...、1週間分の宿代と食事代をもらってもいいでしょうか?」

「それだけでいいのか?1年分ぐらいなら簡単に渡せるのだが」

「いえ、1週間分で大丈夫です。さっきも言いましたけど自分の力で生活したいので」

俺からしてみれば、この世界の税金からお金をもらうのは避けたい。

地球では俺も税金を納めていた側なので、無駄なことに利用された時の鬱陶しさは分かっているつもりだ。

そんなことは置いておくとして、俺は国王様の方へ意識を向けなおす。すると国王様はさっき俺が言った言葉に感心している様だった。

「そうか、素晴らしい考えだ。頑張ってくれ」

「はい」

「それで、いつ城を出るつもりなのだ?」

何日と聞かれてもな、色々としなければいけない事があるだろうし、それにどのくらいの時間がかかるかわからない。
適当な日数を言っておくか。

「この世界についての知識がついてから出るつもりなので、3日後ぐらいでしょうか」

「そうか、それまでは城でゆっくり過ごしてくれ」

「ありがとうございます」

そこまで話したところで、俺達は解散した。
次の日から俺はこの世界の知識について学ぶ事になった。瑞希は早速魔物を倒しに行くそうだ。



次の日になり俺はまずこの世界の言葉を学んだ。そして、一日使いやっと、平均レベルに達した。
ここでも平均的だった。もうそろそろ平均から脱したい...。

平均レベルに達した時には外は暗くなっていたので、今日はこれで終わることにした。

俺が言葉を覚えて1時間ぐらい経ってから瑞希が城に戻ってくるなり俺のところに来て、魔物の話を聞かされた。


2日目は、この世界について、この世界のお金について、魔物種類、スキルのレベル上げる方法など色々なことを学んだ。

この世界についてと魔物については、いつか必要な時に話すとして、この世界のお金についてと、スキル関係について話そうと思う。まずはお金から。

この世界には上から順に金貨、銀貨、銅貨がるそうだ。銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨10枚=金貨1枚となっているらしい。宿代は安いところで銅貨20枚程度で泊まれるそうなので、銅貨1枚は日本円で100円ぐらいの価値なのだろう。

次はスキルについて話そうと思う。
スキルを入手するには、入手したいスキルに関係することをするのがいいそうだ。練習すると、いつかは入手出来るらしい。

次にスキルのレベルを上げる方法についてだ。

スキルのレベルを上げるには、レベルを上げたいスキルをひたすら使うことによっていつのまにか上がっているそうだ。

これで必要な知識はだいぶついたので、明日城を出ることにする。
俺はしばらく会えなくなるであろう瑞希のところに向かうことにした。

瑞希には昨日、勉強するので俺の部屋に来ないように言っているので、たぶん今は自分の部屋にいるはずだ。

俺は瑞希の部屋の扉をノックする。

「瑞希、俺だけど入っていいか?」

「うん、いいよ」

俺は許可をもらったので中に入る。中に入るとベットに寝転がった瑞希がいた。
俺はベットの近くに座り、瑞希に明日城を出ていくことを告げる。

「瑞希、俺は明日城から出ようと思う。この世界の知識もついたし、そろそろ出てもいい頃かなと思うんだ。だがら瑞希と話をしに来た。しばらく会えないかもしれないからね」

瑞希は体を起こして俺の方を見ながら悲しそうに呟いた。

「そうなんだ...本当に出ていくんだね。自分でお金を稼ぐって言ってたけど稼ぐ手段とか考えてるの?」

「うん、俺、冒険者になろうと思う」

「え!?冒険者って危険じゃないの?涼太ステータス低かったじゃん」

「いや、低いと言っても中級冒険者程度のステータスはあるそうらしいぞ。無茶をしなければあまり危険は無いらしいから大丈夫だろ」

確かに俺のステータスは低いが、それは召喚された割にはと言うだけである。

冒険者はSSS.SS.S.A.B.C.D.E.Fランクの9つのどれかに分けられている。SSSランクが1番上で、Fランクが1番下となっている。

SSSランクは世界中で3人しかいないらしい。Sランクですら、この国に5人しかいないそうだ。

ランクはさらに上級冒険者(SSS.SS.S)、中級冒険者(A.B.C)、下級冒険者(D.E.F)に分けられている。

俺は中級冒険者のBに近い方のCランク相当の力はあるそうだ。
ここでも真ん中平均的のランクで、さらに真ん中平均的の文字に近い強さである。

俺はこの事を瑞希に説明すると瑞希は安心したような表情になった。

「そうなんだ、涼太、冒険者になったからってはしゃぎすぎて死なないでよ」

「分かってるよ」

「ならよし」

「誰目線だよ」

と俺はひとしきり笑ったあと、自分の部屋に戻ろう立ち上がった。
すると、瑞希が俺の服を掴でくる。

「涼太、絶対に一緒に地球に帰ろうね」

瑞希は悲しそうな、寂しそうな、楽しそうな複雑な表情でそう言った。

「ああ、もちろん」

俺はそう返事を返して、部屋を出る。



次の日俺は朝早く起きて、まだ寝ている瑞希の部屋にいき、じゃあなと言って城の門に向かった。門の前にはメイド服を着た人が1人居た。


俺はメイドに1週間分のお金をもらった後、城を出発したのだった───。
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