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ティータイム

s・BBQ

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「今日はBBQをするわよ!!」

何の突拍子もなくミーナが言い始める。

「びーびーきゅーなの?」

「違うわよ、バーヴェキューよ」

ヴェの発音が大事だと強くエルザに主張するリサ。
なのなのと、メモを取るエルザ。

「どっちでも良いわよ。
 お外で網や鉄板でお肉を焼いて食べるのですわ」

シルフィーはアホ草と二人を無視する。

「お外でご飯たべるの!!」

「そうよ。お外でみんなでワイワイしながら食べるのよ」

ミーナとエルザはすでに大はしゃぎだ。

アーサーは想像しただけで準備と片付けが大変で気が重くなっている。

「アーサーさん、何かノリ悪くない?」

「えっ!そ、そんな事ないですよ。
 ははは、タノシミダナ」

「カタコトになってるわよ」

最近のミーナは怖いです。


☆ ☆ ☆

頭に手ぬぐいを巻いて、エプロン姿の気合いの入った男性が腕組みをして仁王立ちをして待っている。

BBQをするのに必要な物が既に用意されていている。

「遅かったな!さあ、始めようか」

「に、兄さん・・・」

気合いの入った男性の正体はフレディだった。

「ミーナに招待されてな、BBQの肉の焼き方には私は少々こだわりがあるだ」

トングを持ちカチカチと音を鳴らしている。

「お兄様カッコイイの」

エルザがフレディを煽る。
フレディも白い歯を見せ格好つける。

「おーいミーナ食材を持って来たぞ」

ミーナのお兄さんが大量の食材を木箱に入れて持って来てくれた。

「こんなにたくさん?僕らだけでは食べきれないよ」

「いやいや、まだまだあるわよ!」


ええーーーっ!!!


そう思った矢先、

「ハアーイ。ミーナ頼まれた物持って来たわよ。あらー、ずいぶん沢山の食材ね」

ミランダは焼肉のタレと書かれたビンを数本持って現れた。

「はい、まだまだ食材は届きますよ。
ミランダ様ありがとうございます」

「まあ、あの人数を集めればこの位は必要かしらね。お代はウチが出すから後で請求してね。ウチの弟がいつも世話になっている御礼よ」

「じゃあ素直にありがとうございます」

ミーナはペロッと舌を出した。


☆ ☆ ☆

フレディはまさに鬼神だったーー。


BBQで一番大切な事は何か・・・

それは、「如何に食材を焦がさずに焼くか」だ。

彼はその一点が、これからのBBQの全てが決まることが分かっていた。


彼のこだわりは火の調節だ。

火おこしからこだわっている。
何と言っても炭火は欠かせない。

炭を丁寧に煙突状に重ねていく。
着火剤の代わりになるのは、天然の着火剤と言われている松ぼっくりを使用する。

途中でエルザに欲しいとねだられたが、完全に拒否してやった!

煙突状にする事で筒の中で上昇気流が起こり常に筒の中に空気が入り込むため、炭に火が行き渡りやすくなのだ。

フレディは団扇でパタパタと扇ぎながら火加減を調節する。

やはり途中でエルザに団扇を奪われそうになるが死守した!

うん、完璧な炎だ。
後は、網のセッティングだ。

高温と低温の二種類の焼き方が出来るようにセッティングするのがポイントだ。

常に同じ高温だと火加減の調整が難しく食材を焦がすリスクが上がる。

低温ゾーンは焼き上がった食材を置いておく場所として使ったり、高温ゾーンで「ヤバい食材が焦げそう!」という問題が発生した時にも慌てず隣の低温ゾーンに退避する事で焦げを防ぐ事が可能となるのだ。

この辺を踏まえておくと、焦がさず美味しいお肉を焼く事が出来るのだ!!

フレディは汗を拭いながら自信満々の笑みを浮かべていた。


気付いた時には彼の周りには誰もいなかったーー。


☆ ☆ ☆

ミーナは城下町のみんなに声をかけた。

今日はキャメロットの城下町を挙げてのBBQ祭りだ。

沢山の人たちが街の中央広場に集まってくる。

リサとミランダが炎の魔法を使い次々に肉を焼いていく。

エルザ、シルフィーが街の人たちに焼いたお肉などを配っている。

みんな笑顔で喜んでくれている。

三人の精霊はすっかり街の子供たちの人気者だ。

ひと通り街のみんなに配り終えると、三人の精霊たちは子供たちと遊んでいた。

ふとチラッと、フレディを見ると、

BBQマニアのような人たちと炎をじっと眺めては肉を少し焼いてを繰り返していた。

あそこには行かないようにしようと心に決めるアーサーだったーー。


「アーサーさん、本当は最初はいつも通りにアーサーさんと精霊ちゃんたちだけでBBQをするつもりだったんです」

ミーナがポツリと打ち明ける。

「ここ最近、楽しい話題がなくて暗くなるような出来事しかなかったからせめてこんな時位はみんなに笑顔になってほしかったんです」

ミーナの顔をじっと見つめる。
この子は本当に人の気遣いが出来る素晴らしい子だと改めて思った。
職業柄なのか常に相手の目線で物事が見えている。
普通の人ではまずそこまで考えられない。
アーサーは伝説の英雄でもミーナには勝てないなと彼女に脱帽していた。

「すいません完敗です」

と、アーサーは頭を下げた。

「えっ?えっ?」

ミーナは何事と慌てていたのは言うまでもない。





ミーナには誰も勝てないという、暖かい春の日のお話です。
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