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三人の精霊と帝国事変の書
PM17:00・戦略
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「ーーなるほど、大体話は理解出来た」
老人は目を閉じあご髭を触りながらコクコクと頷いていた。
グリフィンに乗り、アーサー、ミランダ、リリスがアヴァロン城にアヴァロン騎士団の協力要請に来たのだ。
「もちろん私たちアヴァロン魔法騎士団も協力しますわ」
栗毛色の腰までの長い髪、水色の大きな瞳、銀の星が描かれた青いマントと銀色の鎧。
アヴァロン魔法騎士団団長リンスレット・ローエングラムが力強く拳を握る。
「ありがとう、リンスレット。
とても心強いよ」
「ただアヴァロンの私たちの言う事を帝国の人々は素直に聞いてくれるでしょうか?」
「そこはケイトさんにお願いしてるから大丈夫だと思う」
「ケイト・・・あのケイト・ローレントか」
老人はその名前に反応して目を見開いた。
「親父もケイトを知っているの?」
「ああ。帝国にあのサーガに匹敵する騎士がいると言われていたのでよく覚えいる。
当時、勇騎士の称号はサーガ以外に付けれないってことから国家騎士という名の称号を与えられていた。勇騎士と同等の称号だな」
今のケイトの見た目からはとても国家騎士とは想像もつかない。
「あとは避難経路と避難場所の確認ですね」
「それもだが、最悪の事態も想定した方がいい」
リンスレットの発言に対して、シーサーが注意を促す。
「最悪の事態・・・国民が指示に従ってくれない事ですか?」
「違うな」
はうっと、落ち込むリンスレット。
「一番最悪のパターンは、国民の避難が終わってないのに周りを包囲されてしまうことだな。
更に、この情報自体がデマで我々が駆けつけるよりも先に襲撃が開始されてしまっていることも想定しておく必要がある」
シーサーの正解の発言に納得の表情を浮かべるリンスレット。
「早い段階での避難誘導が必要ってことですか」
「早期の避難は無論必要だが、避難は大規模になる事が想定されるので、相手に気付かれてしまう。
それにこれだけの人数を避難させる場所も無い」
「ーーとなると、避難させるのは難しいですね」
「帝国の国民を見捨てろと?」
アーサーは口をへの字に曲げシーサーを睨み付ける。
「そうとは言ってないだろ」
ミランダが二人の間に割って入り、
「避難させるのは難しいけど、何とか被害を最小限に留める方法を考えるしかないわね」
「帝国の国民は二十万人を超えます。
これはアヴァロンの三倍ですね」
リンスレットが指を三本立てた。
「まあ、避難は現実的に無理だろうな」
ランスロットが現れ話に割り込んできた。
ランスロットは金色の夜明け団の団長であり、アヴァロン魔法騎士団の副団長である。
「あの周辺の地図はありますか?」
リリスの問いにミランダが指をパチンと鳴らすと即座に兵士が地図を用意して現れる。
「帝国の領地から一番近い村がここになるわね」
リリスが地図にある小さな村を指差す。
「徒歩だと半日はかかる。
今からでは厳しいな」
「行商を装い子供や女性のみ移動させてはどうだろう?」
「子供や女性だけでも何人いると思ってるんだ?」
「帝国はアヴァロンと違い商人の出入りが活発だから馬車や獣車は沢山出入りしてますので行商を装うのは良い手かもしれません」
「決まりだな!」
「ーーでは、ケイトに連絡して避難準備を呼び掛けてもらうわ」
「馬車や獣車の手配は?」
「アヴァロンにある馬車、獣車を全て集めさせます」
「帝国に一番近い村にアヴァロンからの使者を送り、避難者の受け入れを承諾してもらいましょう」
「よろしく頼むよ」
「ーー残った国民はどうする?」
「いや、その前に十万の兵力を削ろう」
「ーーーー!!」
アーサーの思いもよらぬ発言に皆が驚く。
避難が最優先だっただけに正に意表を突かれた。
「いきなり十万の兵力をぶつけられたら、
それは耐えられない。
けど、それが半分の五万、もっと削れたら更に耐えられるし倒す事も可能だ」
「奇襲される前にこちらから先手を打つって事だな」
ランスロットのは言葉にアーサーが頷く。
「敵の正確な現在地の情報が知りたい。
バンディッツに連絡を取り位置を捜してもらおう」
「分かったわ。国民の避難の件と合わせて連絡するわね」
リリスは通信用水晶を手にし、その場を離れた。
「ーー残るは、敵への奇襲作戦だが」
「その件だけど、小隊を作りそれぞれの地点の敵軍を殲滅する作戦が良いと思う」
「私も同意ね。ケイトの話だと三地点だったわ。円卓の魔導士とアヴァロン騎士団、それに反帝国バンディッツを三地点に分ければ良いわ」
「姉さんのその作戦で行こう」
「時間が無いわ。すぐに動き出しましょう」
ーー PM17:00 ーー
老人は目を閉じあご髭を触りながらコクコクと頷いていた。
グリフィンに乗り、アーサー、ミランダ、リリスがアヴァロン城にアヴァロン騎士団の協力要請に来たのだ。
「もちろん私たちアヴァロン魔法騎士団も協力しますわ」
栗毛色の腰までの長い髪、水色の大きな瞳、銀の星が描かれた青いマントと銀色の鎧。
アヴァロン魔法騎士団団長リンスレット・ローエングラムが力強く拳を握る。
「ありがとう、リンスレット。
とても心強いよ」
「ただアヴァロンの私たちの言う事を帝国の人々は素直に聞いてくれるでしょうか?」
「そこはケイトさんにお願いしてるから大丈夫だと思う」
「ケイト・・・あのケイト・ローレントか」
老人はその名前に反応して目を見開いた。
「親父もケイトを知っているの?」
「ああ。帝国にあのサーガに匹敵する騎士がいると言われていたのでよく覚えいる。
当時、勇騎士の称号はサーガ以外に付けれないってことから国家騎士という名の称号を与えられていた。勇騎士と同等の称号だな」
今のケイトの見た目からはとても国家騎士とは想像もつかない。
「あとは避難経路と避難場所の確認ですね」
「それもだが、最悪の事態も想定した方がいい」
リンスレットの発言に対して、シーサーが注意を促す。
「最悪の事態・・・国民が指示に従ってくれない事ですか?」
「違うな」
はうっと、落ち込むリンスレット。
「一番最悪のパターンは、国民の避難が終わってないのに周りを包囲されてしまうことだな。
更に、この情報自体がデマで我々が駆けつけるよりも先に襲撃が開始されてしまっていることも想定しておく必要がある」
シーサーの正解の発言に納得の表情を浮かべるリンスレット。
「早い段階での避難誘導が必要ってことですか」
「早期の避難は無論必要だが、避難は大規模になる事が想定されるので、相手に気付かれてしまう。
それにこれだけの人数を避難させる場所も無い」
「ーーとなると、避難させるのは難しいですね」
「帝国の国民を見捨てろと?」
アーサーは口をへの字に曲げシーサーを睨み付ける。
「そうとは言ってないだろ」
ミランダが二人の間に割って入り、
「避難させるのは難しいけど、何とか被害を最小限に留める方法を考えるしかないわね」
「帝国の国民は二十万人を超えます。
これはアヴァロンの三倍ですね」
リンスレットが指を三本立てた。
「まあ、避難は現実的に無理だろうな」
ランスロットが現れ話に割り込んできた。
ランスロットは金色の夜明け団の団長であり、アヴァロン魔法騎士団の副団長である。
「あの周辺の地図はありますか?」
リリスの問いにミランダが指をパチンと鳴らすと即座に兵士が地図を用意して現れる。
「帝国の領地から一番近い村がここになるわね」
リリスが地図にある小さな村を指差す。
「徒歩だと半日はかかる。
今からでは厳しいな」
「行商を装い子供や女性のみ移動させてはどうだろう?」
「子供や女性だけでも何人いると思ってるんだ?」
「帝国はアヴァロンと違い商人の出入りが活発だから馬車や獣車は沢山出入りしてますので行商を装うのは良い手かもしれません」
「決まりだな!」
「ーーでは、ケイトに連絡して避難準備を呼び掛けてもらうわ」
「馬車や獣車の手配は?」
「アヴァロンにある馬車、獣車を全て集めさせます」
「帝国に一番近い村にアヴァロンからの使者を送り、避難者の受け入れを承諾してもらいましょう」
「よろしく頼むよ」
「ーー残った国民はどうする?」
「いや、その前に十万の兵力を削ろう」
「ーーーー!!」
アーサーの思いもよらぬ発言に皆が驚く。
避難が最優先だっただけに正に意表を突かれた。
「いきなり十万の兵力をぶつけられたら、
それは耐えられない。
けど、それが半分の五万、もっと削れたら更に耐えられるし倒す事も可能だ」
「奇襲される前にこちらから先手を打つって事だな」
ランスロットのは言葉にアーサーが頷く。
「敵の正確な現在地の情報が知りたい。
バンディッツに連絡を取り位置を捜してもらおう」
「分かったわ。国民の避難の件と合わせて連絡するわね」
リリスは通信用水晶を手にし、その場を離れた。
「ーー残るは、敵への奇襲作戦だが」
「その件だけど、小隊を作りそれぞれの地点の敵軍を殲滅する作戦が良いと思う」
「私も同意ね。ケイトの話だと三地点だったわ。円卓の魔導士とアヴァロン騎士団、それに反帝国バンディッツを三地点に分ければ良いわ」
「姉さんのその作戦で行こう」
「時間が無いわ。すぐに動き出しましょう」
ーー PM17:00 ーー
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