67 / 115
魔王とベロチュー
しおりを挟む
バハムートは息を潜めていた。
前回、ココに来た時よりも俺は何十倍も強くなっている。知能が高い魔物は俺の気配を感じ取って逃げてしまう。
バハムートも俺と会いたくないのだろう。
「ココに座るのじゃ」
と魔王が言った。
ココ、と指定された場所は雑草が生えた地面の上だった。
俺は言われた通りに座った。
幼女姿のイライアが俺の真正面に立った。
「いいか? これからすることは、ただの魔力の供給じゃ」
「わかってる。早くしないと赤ちゃんの命が」
と俺が言った。
「わかっておるわ」
とイライアが言う。
魔王は俺の膝の上に座った。子どもを抱っこするような形である。すぐ近くにイライアの顔があった。
「別にお主のことが好きって訳じゃないからな」
と彼女が言った。
小さな手が俺の後頭部を掴んだ。
そして小さな唇が俺の唇に吸い付いて来た。
もしかしたら魔力供給は口でするんじゃないかな、とは思っていた。だけど幼児に対して俺は萌えない。
だけど唇と唇を重ねてすぐに、彼女の体が大きくなっていく。
やべぇー、もう成人女性に戻っている。
「もういいだろう?」
唇を離して俺が言った。
「まだじゃ。元の姿に戻っただけで、全然、魔力不足じゃ」
と魔王が言った。
成人の姿になった魔王。
抱っこする形で彼女が俺の膝の上に座っていた。逃げられないように俺を捕まえているみたいである。
「舌を出すのじゃ?」
「ちょっと待って。それは……エッチな気持ちになるから無理」
「今は壺から魔力を吸っているようなものじゃ。舌を出してくれたら壺にストローを刺したような状態になるのじゃ」
「でも……」
「子どもが死んでもいいのか?」
と魔王が脅してくる。
申し訳程度に俺は少しだけ舌をベロっと出した。
「もっと出すんじゃ」
とイライアが言った。
イライアが俺の舌を指で摘んだ。
そして引っ張る。
痛い。
「妾の言う通りにするのじゃ」
と魔王が言った。
最大出力まで舌を引っ張られた。
これは魔力供給です。俺がエロい気持ちになっても関係ありません。繰り返します。これは魔力供給です。決して浮気ではございません。これは魔力供給です。そして俺の舌はただのストローです。
彼女はパクッとストローをくわえた。
そして吸ったのだ。
魔力がゴクゴクゴクと吸われているのがわかった。
「プハッ」
とイライアが俺の舌から口を離した。
「美味しいのじゃ」
と彼女は言って、口を腕で拭いた。
魔力に美味しいも不味いもあるのかよ。
さすがにバカみたいに魔力を吸われて、ちょっと貧血だった。
彼女を抱っこしたまま後ろにゴロン、と俺は転がった。
「魔力を吸いすぎたか?」
と魔王が俺の耳元で尋ねた。
「大丈夫」と俺が言う。
「急に魔力が減ったから頭がクラっとしただけ」
「そうか」と魔王が言った。
「お主の魔力は底なしじゃな」
「聞いていいか?」と俺が言う。
「なんじゃ?」
「どうして勇者に襲われたんだ? イライアの結界は条件が揃わないと入れないんじゃないのか? 勇者に条件を揃えられたのか?」
「違うわい」
と魔王が俺のお腹の上で否定した。
「妾の魔力が弱っていたのじゃ」
「どうして?」
と俺は尋ねた。
「母体が死んでから赤子を引き取ったせいで赤子が弱っておるのじゃ。だから妾の魔力を赤子に使って生命を維持しておる。そのせいで結界が弱ってしまったのじゃ。そうじゃないと妾の結界を勇者達には破壊できん」
とイライアが言った。
結界は破壊されたのか。
それに勇者達、と彼女は言った。
パーティーを組んで複数人いたんだろう。
「勇者は女だったか?」
と俺は尋ねた。
「そうじゃ」とイライアは答えた。
勇者として召喚されたカヨの顔が浮かんだ。
「イライア」と俺は言う。
「なんじゃ?」
「生きていてくれて、ありがとう」
と俺は言った。
魔力が枯渇した状態で彼女は逃げ切ったのだ。
「別にお主に礼を言われることはしていない」
と彼女が言った。
そして魔王は俺の胸に顔を押し付けた。
「たまたま生きて逃げることができただけじゃ」
と彼女が言った。
「ワープホールで遠くまで逃げて、そこで妾の魔力が枯渇したから勇者達は追跡できなかったんじゃろう」
俺は彼女の頭を撫でた。
イライアの恐怖が伝わって来た。
お腹の中に子どもがいるのだ。必死になって逃げてくれたんだろう。
「赤ちゃんを守ってくれてありがとう」
と俺が言った。
「お主のためじゃない。赤子のためじゃ」
と魔王が言った。
「勇者に見つかるでな、もう妾は自分の魔力を封印する」
「そうしてくれると有難い」
「これからは魔力の供給を頼んだぞ」
とイライアが言った。
前回、ココに来た時よりも俺は何十倍も強くなっている。知能が高い魔物は俺の気配を感じ取って逃げてしまう。
バハムートも俺と会いたくないのだろう。
「ココに座るのじゃ」
と魔王が言った。
ココ、と指定された場所は雑草が生えた地面の上だった。
俺は言われた通りに座った。
幼女姿のイライアが俺の真正面に立った。
「いいか? これからすることは、ただの魔力の供給じゃ」
「わかってる。早くしないと赤ちゃんの命が」
と俺が言った。
「わかっておるわ」
とイライアが言う。
魔王は俺の膝の上に座った。子どもを抱っこするような形である。すぐ近くにイライアの顔があった。
「別にお主のことが好きって訳じゃないからな」
と彼女が言った。
小さな手が俺の後頭部を掴んだ。
そして小さな唇が俺の唇に吸い付いて来た。
もしかしたら魔力供給は口でするんじゃないかな、とは思っていた。だけど幼児に対して俺は萌えない。
だけど唇と唇を重ねてすぐに、彼女の体が大きくなっていく。
やべぇー、もう成人女性に戻っている。
「もういいだろう?」
唇を離して俺が言った。
「まだじゃ。元の姿に戻っただけで、全然、魔力不足じゃ」
と魔王が言った。
成人の姿になった魔王。
抱っこする形で彼女が俺の膝の上に座っていた。逃げられないように俺を捕まえているみたいである。
「舌を出すのじゃ?」
「ちょっと待って。それは……エッチな気持ちになるから無理」
「今は壺から魔力を吸っているようなものじゃ。舌を出してくれたら壺にストローを刺したような状態になるのじゃ」
「でも……」
「子どもが死んでもいいのか?」
と魔王が脅してくる。
申し訳程度に俺は少しだけ舌をベロっと出した。
「もっと出すんじゃ」
とイライアが言った。
イライアが俺の舌を指で摘んだ。
そして引っ張る。
痛い。
「妾の言う通りにするのじゃ」
と魔王が言った。
最大出力まで舌を引っ張られた。
これは魔力供給です。俺がエロい気持ちになっても関係ありません。繰り返します。これは魔力供給です。決して浮気ではございません。これは魔力供給です。そして俺の舌はただのストローです。
彼女はパクッとストローをくわえた。
そして吸ったのだ。
魔力がゴクゴクゴクと吸われているのがわかった。
「プハッ」
とイライアが俺の舌から口を離した。
「美味しいのじゃ」
と彼女は言って、口を腕で拭いた。
魔力に美味しいも不味いもあるのかよ。
さすがにバカみたいに魔力を吸われて、ちょっと貧血だった。
彼女を抱っこしたまま後ろにゴロン、と俺は転がった。
「魔力を吸いすぎたか?」
と魔王が俺の耳元で尋ねた。
「大丈夫」と俺が言う。
「急に魔力が減ったから頭がクラっとしただけ」
「そうか」と魔王が言った。
「お主の魔力は底なしじゃな」
「聞いていいか?」と俺が言う。
「なんじゃ?」
「どうして勇者に襲われたんだ? イライアの結界は条件が揃わないと入れないんじゃないのか? 勇者に条件を揃えられたのか?」
「違うわい」
と魔王が俺のお腹の上で否定した。
「妾の魔力が弱っていたのじゃ」
「どうして?」
と俺は尋ねた。
「母体が死んでから赤子を引き取ったせいで赤子が弱っておるのじゃ。だから妾の魔力を赤子に使って生命を維持しておる。そのせいで結界が弱ってしまったのじゃ。そうじゃないと妾の結界を勇者達には破壊できん」
とイライアが言った。
結界は破壊されたのか。
それに勇者達、と彼女は言った。
パーティーを組んで複数人いたんだろう。
「勇者は女だったか?」
と俺は尋ねた。
「そうじゃ」とイライアは答えた。
勇者として召喚されたカヨの顔が浮かんだ。
「イライア」と俺は言う。
「なんじゃ?」
「生きていてくれて、ありがとう」
と俺は言った。
魔力が枯渇した状態で彼女は逃げ切ったのだ。
「別にお主に礼を言われることはしていない」
と彼女が言った。
そして魔王は俺の胸に顔を押し付けた。
「たまたま生きて逃げることができただけじゃ」
と彼女が言った。
「ワープホールで遠くまで逃げて、そこで妾の魔力が枯渇したから勇者達は追跡できなかったんじゃろう」
俺は彼女の頭を撫でた。
イライアの恐怖が伝わって来た。
お腹の中に子どもがいるのだ。必死になって逃げてくれたんだろう。
「赤ちゃんを守ってくれてありがとう」
と俺が言った。
「お主のためじゃない。赤子のためじゃ」
と魔王が言った。
「勇者に見つかるでな、もう妾は自分の魔力を封印する」
「そうしてくれると有難い」
「これからは魔力の供給を頼んだぞ」
とイライアが言った。
0
お気に入りに追加
1,160
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!


男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる