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22話

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宗史side


なんなんだぁ?


なんか今日は朝からおかしかった。


おかしい原因は、書記の三浦先輩。


普段俺らと別行動するくせにぃ、今日は朝から一緒にいる。

総会があるからぁ?


違和感を感じながらも、別に何も言わなかった。
まぁ、唯ちゃんが三浦先輩に話しかけている姿を見るのはムカついたけどぉ。
他は、どうでも良かったし。


そして、総会開始の時間が近づいた。
俺達生徒会は舞台に上がらなきゃいけないからぁ、一旦唯ちゃんとはお別れだ。
離れたくないから、本当は舞台にも上がりたくないんだけどぉ、しょうがない。

俺達は唯ちゃんと共に控え室にしている部屋を出て、舞台へ―……

「…あれぇ?」


扉が開かない。ガチャガチャとドアノブを動かしてみるが、開かない。

「宗史?」

「葉桜、どうしました?」

扉の前で止まっている俺に、唯ちゃんと大河内先輩が話しかけてきた。


「や、開かないんだけどぉ?誰かロックしたぁ?」


誰かが間違ってロックをかけたのかと思って、ロック解除をするためにカードキーを差し込む。


が、


「開かない」


何これ何これ。
どぉゆう事―?


そして大河内先輩が気づいた。


「……三浦。あなたですか?」


その場にいる全員の視線が、三浦先輩に注がれた。


大河内先輩も、三浦先輩の何かに違和感を感じていたんだろう。
だけど、

「?。何のことだ」


素知らぬ顔で返された。

その何も知らぬと言わんばかりの様子が、この時は何故か引っかかって―…俺は携帯用のPCを取り出してロックしている機械と繋ぎ、ハッキングしてロック解除をしようとした。
何故か何枚もブロックがかかっていて、思っていたよりも解除に手こずったが、扉を開けることが出来た。


そして、飛び出すように講堂内にある控え室から出て、舞台へ向かう。
その時、後ろで三浦先輩が電話していたのを誰も気づかなかった。


講堂に出れば、なぜか暗かった。
何でぇ?
まだ俺達が来てないんだから、始まるのはおかしいだろ?


俺達生徒会と唯ちゃんで舞台へと駆け寄った。



次の瞬間。
舞台にだけパッと明かりがつき、そこには見慣れた生徒達がズラッと並んで居た。


え、何であいつ等が??



目の前のことに混乱する。俺だけじゃない、唯ちゃんも大河内先輩も双子も、思わず動きを止めて舞台を見つめている。


なんで、なんでぇ―…


「ど――も皆さん!風紀委員会で―す」



風紀なんかがそこに居るわけぇ?!!




宗史side end









哀留side



暗闇の中。

ザッと、舞台に風紀委員(幹部)が並ぶ。


そしてパッと舞台にだけ明かりがつき、俺達の姿が生徒達に明らかになった。


暗いから後ろの方は分からないけど、前にいる生徒達の顔を見ると、皆驚いた表情をしていた。

よしよし。



「ど――も皆さん!風紀委員会で―す」




マイクを使い呼びかける。すると、

『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
『わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』


大歓声が湧き上がった。生徒会と同等の立場でイケメン揃いの風紀は、大人気なんです!!


『きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』


…………きゃぁぁって、どっから声出してんだよ。
鳴り止まない悲鳴と歓声の中、俺は耳を押さえつつ生徒会の連中を探した。


………あ、居た。


舞台に来ようとしていたから案外近くにいたが、今の状況に混乱しているのか……全員立ち止まって、こちらを凝視していた。

勿論小猿くんも居たが、あまり状況がわかっていないんだろう。
役員達と驚くポイントが違うようだ。

役員達は「風紀委員達」を、小猿くんは「俺」を凝視しているからな(笑)


そんな小猿くんと、パチって目が合った。


おっと危ない危ない。

あんまちんたらしてると、口出しされて邪魔される。歓声が少し残っているが、さっさと終わらせよう。

「あ―、てすてす。さて、今日ここで皆さんにご報告があります」

俺がマイク越しにそう言うと、生徒達はやっと俺の存在に気づいてくれたのか、

「え―、誰あいつ?」

「何で、風紀の皆様と一緒に居るわけ!?」

「平凡引っ込め!!」

「お前の報告なんて知るかよ!」


ぎゃあぎゃあと、ヤジを飛ばしてきた。
ふははは。そんなヤジ、痛くも痒くもないわ!
俺がこうして表に出て来たら批判を買うのは、予想出来てたからな!


だから、負けn「ちっせぇくせに生意気なんだよ!!!!!!」

「今ちっせぇって言ったヤツァ、舞台に上がって来いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

背が小さい事の何が悪い!!
俺が小さいと罵られるなら、親衛隊に入っているチワワ達はどうなんだよ!!?心外だぞ君!!


ヤジに喧嘩売っていると、痺れを切らした蓮に後頭部を叩かれた。

「あで」

蓮を見ると、「いい加減にしろ」と目で訴えられた。俺が言い終わるまで、蓮達には黙ってもらっているのだ。


しかし。叩かれた時、悲鳴が上がるのがおかしい。
なんだよ「羨ましい」って……………Mか!?
あ―…もういいや、どM共め。
いちいち反応してたら埒があかん。


「君達がどう言おうが、報告させてもらいます。風紀委員長を発表しまs『わぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!』」


………………



また歓声がわいたよ。
何だここは。ライブ会場か?

「風紀委員長ってあの今まで謎だった!?」

「風紀の皆様から絶大なる信頼を受けている、あの委員長様がついに!?」

「誰だ!?」

「や―ん!僕、興奮して来ちゃった!」

「おぉぉ!遂に姿見れるんやな!?風紀委員長ぉぉぉぉぉぉ!!」


凄い、「風紀委員長」への期待と憧れが伝わってきた。

最後のセリフは、舞台袖から聞こえてきたが……振り向いたら負けだ!

ふふふ、俺は今からそんな目をキラッキラさせている期待をぶった斬るぜ!!

すぅと息を吸い込み、マイクを口元にあてる。


「風紀委員長h「待ちなさい君達!!!誰の許可で舞台に上がっている!?」


………うわぁ来やがった」



いつの間にか生徒会連中が舞台に上がったようで、副会長に邪魔された。


「チッ」

「早く言わないお前が悪いんだぞ!」

せっちゃんに舌打ちされ、蓮にはグーで頭を殴られた。
え、俺のせい!?
視線だけで、身の潔白を訴えてたら、

「風紀如きが、俺ら生徒会の邪魔をするわけぇ~?さっさと降りてくんない?」

会計に、手でシッシッと追い払われた。

むっ。

何様なんだこいつらは。
副会長には「誰の許可で」って言われるし、会計には「風紀如き」って言われるし。
こいつらがとことん俺らを―……いや、自分達と小猿くん以外を下に見ていることが分かった。


そして、ぎゃんぎゃん騒ぐ生徒会の後ろから来た、月ちゃんと目があった。

「……」

「……」

頷きあう。
うん、大丈夫。
月ちゃんだって、立ち向かっているんだ。
俺も頑張んなきゃ。


「ほらヘイ!!よく分かんないけど、雅や蓮達の邪魔しちゃだめだろ!?」

すると、ぐっとマイクを横から小猿くんに奪われた。

えぇ―何こいつ…
俺だけが邪魔だと言わんばかりの小猿の言い方に、呆れた。


て、邪魔って言うかさ―…


「俺みたいな平凡が、此処(イケメン達の中)に居るのが気にくわないんだろ?

……小猿くんが。」


「え」


ポソリ小猿くんだけに聞こえるように言うと、小猿くんはピクリと肩を震わせた。
その瞬間、小猿くんが掴んでいたマイクを再び奪い取り、


「お待たせしました!皆さんが憧れ・期待している、風紀委員長2年の桐生哀留でっす!!

以後お見知りおきを!!('ω^*)☆」



可愛くバチコーンと、ウィンクしてみた。






しばしの静寂…………………………の後、





『ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!』



講堂が揺れる位の悲痛な悲鳴が響き渡った。

うっわ、耳痛ぇ!
しかも、さっきの歓声に勝った!!←虚しい

悲鳴が沸き上がる中、話を進める。またいちいち収まるのを待ってたら、ややこしくなりそうだし。

「あ――どうどうどう。てな訳で、今日から風紀はビッシビッシと取締りやら業務を行っていくので、ご協力とご理解を宜しくお願いします!」


俺に対するヤジが飛ぶ中構わず喋る。一体何人の生徒が聞いているやら?
が、言ったもん勝ちだ。聞いてない方が悪い!


そして、ビシリと生徒会連中と小猿くんを指差す。


あっは。
すっげぇ驚いた顔してる(笑)
ただの、風紀の平凡だと思っていた相手が、実は委員長だった―……って事実に思考がついていってないんだろう。
小猿くんは―…ぶっ!口ぱっか―と開けて、あほ面晒してる(笑)

さて、そんな連中に先制布告と行きまひょか!


「俺達風紀と生徒会の間に、どっちが上とか下とか権利は存在しません。なので、役員達であろうが容赦はしませんから、悪しからず!
ついでに、あなた方が甘やかしている転入生くんにも容赦しないんで!
あ、守ろうとかして手回ししない方が良いですよ!!俺らが、全力で全部ぶった斬るから宜しく!!!」

指差ししていた指を、ピースに変えてかざす。


今まであんたらがしてきた権力での圧力とか、贔屓とか、見て見ぬ振りとか。
これからは、一切俺らには効かない。

生徒会連中も、俺が言っている事が正論で言い返せないようだ。
そりゃそうだろう、今まで委員長が姿を現さないって所を突いて、風紀を下に見て好き勝手やってたんだ。逆に今は、生徒会のトップが居ないけどな!

お、

「い、今まで姿を現さなかったくせに今更登場ですか!?随分と図太いんですね」


副会長が一歩前に出て、睨んできた。


「はい、図太いんです」


「……」

「……」


はい、会話終了!
図太いですが、何か?
彼らのプライドにより、俺達に何か言って一泡吹かせたいんだろうが―……よし、どんと来いや。

だって、俺達に落ち度はない。だから、言い負ける事はない。

「……どうでもいいからさぁ、お前ら降りろよぉ。総会は俺達生徒会が取り仕切るんだけどぉ?てか、風紀のくせに行事である総会を邪魔して、どう責任とんの?」

次は会計か。

「あぁ、そうでした?今回の総会に関して、生徒会からの書類やら指示が来てないって、各委員会とか部活から聞いていたんで……てっきり今回は生徒会の皆さんは、傍観する立場なのかと思ってました」

あ、因みに俺達風紀で準備はしてましたから、滞りなく進められますよ!

と。にっこりと笑みつきで、奴らが仕事を怠っていた事を言ってやる。
あ、この会話は全部マイク通してるから講堂内に響いてるよ。わざと皆に聞こえるようにしてんだけどな(笑)

俺のこの言葉に、会計や副会長や補佐双子は月ちゃんを見た。

あれだな。月ちゃんが準備をしていると思っていたから、俺の「風紀が準備した」って所に引っかかっんだろう。
てかさ、何月ちゃんに怒りを向けてるんだよ。

さも「お前がきちんと仕事をしなかったせいで、こんな風紀にバカにされる羽目になっている…」って感じに。

うん。腹立つわ。


すると、俺の言葉と生徒会役員達の態度を見ていた生徒達の間で、ざわざわとざわめきが起きていた。よし、いい感じかな?
まぁ、まだ俺に対しての罵倒が多いがそれはしょうがない。諦めた。

ため息ひとつ。そろそろ良いかな―……と思ったら、


「ねぇ」
「何で」
「「君はそんなに偉そうなの?」」


不機嫌気味に双子に言われた。


何でって…


「俺が偉いから」


「「……」」


うん。他になんて言いようがある?

俺のきっぱりとした発言に、思わず他の生徒会役員達と風紀役員達も黙り込んだようだ。


え、何さ。
きょとんとしていたら、

「「「「どこのナルシストだよ/ぉ?/ですか」」」」

蓮・せっちゃん・円・カナたんに呆れられた。

「流石先輩っす!!」

ひぃりんには尊敬の眼差しを頂きました。



え、普通そこは謙遜する?知りません。



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