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11話

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はい、到着しました風紀委員室前です。


「廊下を走らないでください」っていうポスターを横目に、走ってきました。


規律を守るはずの風紀委員が、それを破って良いのかって?



………………


いやまぁ、ねぇ……?(ごまかし)


さてさて(スルー)
扉を開けましょう!

ガッチャリ


「やぁ!皆さん揃って居るk「せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!ご無事でなによりですー!!」」


「おや。よく無事でしたね」


「おせぇぞチビ」


……

熱烈な歓迎をありがとう。
それと、せっちゃん。
お前からしたら大抵はチビだぞ。



「んで、何?ご無事って??」

あれ?何で俺がピンチだったって知ってんの??


キョトンとしていると、心配そうに近寄ってきていたひぃりんが説明してくれた。

「…実は、食堂の方から風紀室に連絡があったんです。生徒会と転入生が騒いでて……えっと、先輩が巻き込まれているって」


んん?そんな連絡が?
でも、更に疑問。

「でもだからって、なんで巻き込まれているのが俺だって分かったんだ??」


その連絡した人が俺のことを知っていたのか?



……あれ、まずくね?
知られてたらまずくね??

生徒会役員連中と小猿くんと一緒にいたのが、「桐生哀留」ってバレてるって事で―――…………
まずくね??!!!!
いや!マズいよ!!! 
美味いか不味いかっていったら、吐くほど不味いよ!!!


ちょ、俺の存在感を消してイジメ・制裁回避ってな計画は!??
このままじゃ、下駄箱にゴミコース!??机の上に落書き・お供え物の花・ノートにカッターに呼び出しのフルコース!!??


……………


それは非常にメンドクサイ…!!!!!!!!!


「ちょっちょっ!ひぃりん!その俺を風紀に密告しtげっふん!通報…チクリ…………ぶぇっふぃ!とにかく、風紀に俺の事を教えた人ってのは誰だ?!」

ダラダラ汗が止まらない。

早く、早くその人の記憶を消しに行かねば――……



俺が逝ってしまう!!!!!



テンパっている様子の俺を見て、同じく焦るひぃりん。


「えっ。ど、どうかしたんすか??何かマズかったんすか??まさか―…あのクズ共に何かされて!!???ちょ、今すぐ俺が潰してきます!!!!」

「いやいやいやいや!クズ共は後回しにして、後でじっくりコトコト煮るから大丈夫!今は密告者が先!」

「煮る!!!!そっすね!煮た後は焼きましょう!」

「……いや、先に焼いてから煮た方がダシが出るんじゃね?」

「成る程。絞りとりましょう!」










「馬鹿ばっかだな」

「そうですね」






せっちゃんとカナたんの呟きなんてなんのその、俺とひぃりんはダシについて熱く語り合った。

うむ。ひぃりんも中々やるのぅ!



…………………………



いや!ちげぇ俺!!
現実を見ろ俺!

「いい加減、密告者を吐けよお前らぁぁぁぁ!!!!!!!」

「うるっせぇぞ!!テメェが話反らしてんだろうがドチビ!!!!!」



ガンっ!!!!
「ぶっ!!!」


……はい。
おもっくそ頭殴られました。
暴君せっちゃんに。
辞書で……


「…暴力反対!!!」

「拳じゃないだけマシだと思え」

「それどういう意味…!!でも、辞書も重みがあるじゃないか!背が更に縮んだらどうしてくれる……!」

頭をさすりながら恨みがましく、せっちゃんを睨み見上げる。
すると、一瞬何かを考える素振りをし


「そん時は―…責任とってやるよ」


と、ニヤリとニヒルに笑むせっちゃん。




……くっそう、格好いいでやんの!!!!
男の俺でも、憧れで一瞬ドキッとしたわ!!!

そして、そんな男らしいせっちゃんから吐き出された次の言葉は、



「責任取って、豆粒になるまで背が縮むように押さえつけてやるぜ」




うぉぉぉぉぉぉぉい!!!!!!!なんだその、どや顔は…!!!!!!!!
俺の、「憧れドッキリ」を返せ!!!!!!!!
ついでに、顔面つぶれろっっ!!!………


結果。

せっちゃんはやはり虐めっこドSでした。


********


さて、お遊びは此処までにしましょう。


……………

いや、お遊びにしてしまったのは俺のせいじゃないよ?
ほら、話の流れ的な?


「と、とにかく。最初から説明宜しく」

俺とひぃりん。カナたんとせっちゃん、というふうに向かい合わせのソファーに座り、話の体制を取る。


「……『とにかく』ってのがどこからの『とにかく』か分かりませんが、まぁ話を進めましょう。」

クィッとメガネを押し上げるカナたん。
はい、スルーして話進めたってください。


「…先ほども話しましたが、食堂から風紀室に連絡がありました」

「うん。食堂で生徒会と小猿くんが騒いで俺が巻き込まれてるって連絡だろ?…で、誰が連絡してきたん?」

俺はその人を殴って、俺の記憶を飛ばさなければならない。


「小猿くん?」

隣でひぃりんが小首を傾げているが、ごめん。説明は後で!


俺には大事な使命が…


「連絡してきたのは、食堂のウエイターですよ」














…うん。
あれ?今ウエイターと聞いて、ある方の姿が浮かんだんだけど気のせいかな??

いやいやいやいや。
気のせいだって!
だって、あの方とは今日が初対面だったし俺の名前知るはずないし。


うん、違うって。
いや―今日の俺は早とちりし過ぎだな。あはは☆


俺の動揺を余所に、カナたんは話を続ける。


「そのウエイターは篠塚さんと言って、風紀委員が仲裁に入るべきイザコザが起きた時に、此方に連絡を下さるようにお願いをしているんですよ。我々は混乱を避けるために食堂にはあまり行かないようにしているので、篠塚さんのように食堂関係者の方達に協力をお願いしているんです」


…………………


おぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
サラッと言っちゃったよこの子!!!

やっぱ俺の勘外れてなかったよ!
外れろよコンチクショウ!

風紀に連絡をしたウエイターさんは、篠塚さん……

あの女神だよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!


え、ちょ。
あれ?さっきまで俺何言ってた?

密告者を殴って、俺の記憶を飛ばさなければ―……?


いやいやいやいや!無理だよね☆
そんな事出来るわk……………………………………………………………


あれ?
ってか、そんなんする必要ないじゃんか。


女神様だよ?
後光が見えたんだよ?生徒会やらに絡まれていたのが俺って………親衛隊とかに俺の名前言い触らすわけないじゃん?

ほら、女神もなんかキャーキャー言われてたの良く思ってなかったっぽいし?


なぁ―んだ。
焦って損した!

まぁ、後で一応口止めはしにいこう。


「オッケ、カナたん。俺は女神を殴らずにすんだ」

「…頭おかしくなったんですか?」


3人から可哀想な者を見る目で見られたが、今の俺は気にしないぜ(テヘペロ)


「まぁまぁ。そんで?」


話はまだ続くだろう。無理やり促すと、一足早く立ち直ったひぃりんが続きを話し出した。

「…えっと。そこで、生徒会と転入生が騒ぎを起こして、一般生徒が巻き込まれているって連絡だったんすが……」

「えっと…」

と、ちらちらっと俺の顔を見て戸惑うひぃりん。

んん?
どした?


「んな事で躊躇してどうすんだ。隠すもんでもねぇだろが」

そんなひぃりんに、せっちゃんが呆れたように声をかけた。
が、それに噛みつくひぃりん。

「うっせーっすよ!俺は先輩の威厳を守るために―…」

「チビに元々威厳なんぞ無いだろが」


そりゃ、威厳もなんもないがどうしたよ。君達。


1人傍観中のカナたんに視線を向ける。

「え、何?」 

2人を指指すと、カナたんは察してくれた。


「あぁ――…あれでしょうか。元々、その連絡を副委員長が受けたんですが………………



(此処から『』は蓮と篠塚さんの電話での会話です)



『…それで、一般生徒が一緒に連れて行かれたんだが……』

『すぐに向かいます―…が、どうしました?』

『その生徒が普通じゃないというか、肝が座っていると言うか……生徒会や例の子を前にしても、反応が良い意味で不貞不貞しい子でね。…あんな生徒いたか?』

『…………………………………………………黒髪黒目のどこにでもいるようなド平凡で、特別特徴もなく。下手をすれば存在すら「あれ?居たっけ?」ってなほど存在感が薄いうえ、見た目は人畜無害そうだが、頭のネジが吹っ飛んでそうな発言をする超ど阿呆……でしたか?』

『あぁ、まさしくそんな感じだったかな』

『あぁ分かりました。ソイツは桐生哀留と言って、ウチのど阿呆委員長です。暫く奴らの中に野放しにしててもピンピンしてる神経の持ち主なので、放置で構いません。とりあえず今から行くので、2階には誰も上がらせずにいてください。むしろ、ど阿呆を逃がさないようにしていてください。』


………………………ってな会話が2人の間であったらしく、巻き込まれていた生徒が委員長だとすぐにわかったんですよ。それで騒ぎ鎮圧と委員長救出に、副委員長と岸沼が2人で食堂へ―……その後は、貴方がよく知っていますでしょう?」



…………………………





うん。わかった。
蓮の中での俺がどんなだか、メッッッチャわかった。
そして、救出に来てくれたのか。
俺はてっきり、「テメェ何やらかしてんだ、ゴルァ」的にシバかれるもんだと……。

………


救出に来てくれた2人を、生け贄にして逃げてきた俺って…………もしかして小悪魔?きゃはっ☆




うんっ!!!!
キモイって知ってる!!!!!!!
現実逃避くらいさせてっ!!




そして、蓮の言葉に賛同した女神………アナタの目には俺がそんな風に見られていたんですね。少し悲しいです。
てか、初対面でそう認識される俺ってどんだけだよ!!

あっれ?おっかし―な―。
俺はただの平凡なんだけどな??


んでおそらく。
その蓮の言い方を聞いていたひぃりんが、それを俺が聞いたらショックを受けると思って隠してたって事か?


……何この子!!!!!
超健気!!!
俺は感動したぞ!!!!


「ひぃりん!!!!」

「っだから―……っぅえ?はい?!」

いまだせっちゃんと言い争っていたひぃりんを呼ぶと、ひぃりんはビクンと一瞬跳ねて首を傾げながら俺を見た。 


キュンッ


「っなんて健気な良い子なんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!よしわかった!ご褒美にボール買ってやるから、それで一緒に遊ぼうな☆」

「わ、わん?」


ちょ!!!可愛くて健気な上に、ノリもいい だ と…!?


俺は素敵なワンk…後輩を手に入れた!


ナデナデナデナデ


「ひぃりんは良い子だなぁ」

「きょ、恐縮っす!/////」

ひぃりんの頭を撫でて癒される俺。
アニマルセラピー?
緊張するように…でも嬉しそうに、はにかみながら頭を撫でられているひぃりん、かわゆい。


「んで。俺らを呼び出した理由は?くだらない事だったら―……テメェ分かってんだろうな」

それをぶち破り、グッシャリトと踏み潰すせっちゃん。流石です。

が!
ふふふふ。
オモロいネタ持ってまっせ―!てか、それを語りに呼び出したんだからなっ。


「聞いて驚け!とっておきの、さっき仕入れたばかりのピッチぴちのネタだぞ!」

「寿司かよ」

手の関節をボキボキ鳴らしつつ、呆れながら定番的な突っ込みをしてくるせっちゃん。


待て待て待て!!!!
話は最後まで聞こうか!表情は呆れ顔だが、動作が怖いよ!

ふぃーっと深呼吸。
仕切り直して、



「……実は蓮と円は―バッタァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!



…………………





いや、扉壊れるべ。
どんだけ勢いあって開けたんだよ。


盛大に開けられた扉の向こうからは、俺の寿司ネt…あ、間違った。
例の2人が現れました。
タイミング良すぎだよね!


脳内で軽く遊んでいると、





「よぅ、元気か?――………





…平凡君」





地を這うようなドスの利いた声で問いかける、蓮様。お顔が素敵に怖いです。




あ――――――――………………





に・げ・た・い★





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