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第十三話
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パレハが火急の報せをよこした。
俺は、激しい怒りを抑えるのに、多少の時間がかかった。
急ぎ公爵家の中でも精鋭50名を呼び寄せ、戦仕装束で迅速に子爵領へ向かう。
「10年ぶりに鬼になるか」
俺は、自分の初恋の相手で、自分の命を削って俺を救ってくれたイルマーチカの遺言を思い出すにつれて、我を忘れそうになるくらい、怒りがこみあげてくる。
怒りの矛先は、自分の娘に愛情を示さないバカな父親にでもなく、イルマーチカの忘れ形見に嫉妬の情念を燃やすバカな継母にでもなく、エリトーチカにこんなにも長い間、辛い思いをさせてしまった自分自身に、だ。
数万の隣国の兵士を殺した俺は、もう二度と「鬼」にはなるまいと誓っていたが、イルマーチカも愛娘を救うためならば、許してくれるだろう。
◇◇◇◇
子爵領内の最初の関所で、100名ほどの瀕死の兵士どもにとどめをさそうと右手をあげる。
しかし、直前、騎士長のパレハがどこからともなく現れ、俺の右手を下げさせようと飛びかかってきた。
俺は、パレハと気が付き、なぜ「首狩りパレハ」ともあろうものが、エリトーチカを護られなかったのだ、と、怒りに任せてバレハを殴った。
人の身のパレハは、鬼となった俺に殴られ、一発でボロボロになったが、パレハが叫びながら殴り返してきた。
「お嬢ちゃんの望みだったからだ!そんなこともわからねえのか、このバカ主が!」
鬼の姿の俺に、パレハと言えど、傷つけることなどできるわけがない,,,,,,,。しかし、どういう訳か、パレハに殴られ、俺は心が痛かった。パレハは、叫びながら事の次第を語ってきた。
パレハが、離れ屋敷に突撃してきた兵士たちを惨殺しようと剣を構えたところ、エリトーチカがパレハの腰にしがみつき、どうか殺さないでほしいと身を挺して護ろうとした、と聞き、俺はやはりイルマーチカの愛娘だと思った。
エリトーチカの願い通り、子爵領の兵士やバカな父親たちは殺さないでやろう。
その代わり、愚かな者どもに無法と不敬をはたらいた罪について、法の裁きを受けさせることにする。
俺は、激しい怒りを抑えるのに、多少の時間がかかった。
急ぎ公爵家の中でも精鋭50名を呼び寄せ、戦仕装束で迅速に子爵領へ向かう。
「10年ぶりに鬼になるか」
俺は、自分の初恋の相手で、自分の命を削って俺を救ってくれたイルマーチカの遺言を思い出すにつれて、我を忘れそうになるくらい、怒りがこみあげてくる。
怒りの矛先は、自分の娘に愛情を示さないバカな父親にでもなく、イルマーチカの忘れ形見に嫉妬の情念を燃やすバカな継母にでもなく、エリトーチカにこんなにも長い間、辛い思いをさせてしまった自分自身に、だ。
数万の隣国の兵士を殺した俺は、もう二度と「鬼」にはなるまいと誓っていたが、イルマーチカも愛娘を救うためならば、許してくれるだろう。
◇◇◇◇
子爵領内の最初の関所で、100名ほどの瀕死の兵士どもにとどめをさそうと右手をあげる。
しかし、直前、騎士長のパレハがどこからともなく現れ、俺の右手を下げさせようと飛びかかってきた。
俺は、パレハと気が付き、なぜ「首狩りパレハ」ともあろうものが、エリトーチカを護られなかったのだ、と、怒りに任せてバレハを殴った。
人の身のパレハは、鬼となった俺に殴られ、一発でボロボロになったが、パレハが叫びながら殴り返してきた。
「お嬢ちゃんの望みだったからだ!そんなこともわからねえのか、このバカ主が!」
鬼の姿の俺に、パレハと言えど、傷つけることなどできるわけがない,,,,,,,。しかし、どういう訳か、パレハに殴られ、俺は心が痛かった。パレハは、叫びながら事の次第を語ってきた。
パレハが、離れ屋敷に突撃してきた兵士たちを惨殺しようと剣を構えたところ、エリトーチカがパレハの腰にしがみつき、どうか殺さないでほしいと身を挺して護ろうとした、と聞き、俺はやはりイルマーチカの愛娘だと思った。
エリトーチカの願い通り、子爵領の兵士やバカな父親たちは殺さないでやろう。
その代わり、愚かな者どもに無法と不敬をはたらいた罪について、法の裁きを受けさせることにする。
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