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7.フロンティア開発編
10.愛国心という建前でこきつかうことのススメ
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いよいよ、実家の子爵領のアーチャー家から、守役だったシンバと乳母のエリカを新しい拠点、エクス・ゲファルナート魔法王国首都エクスへ案内した。もちろんシルフェさんも婚約者として一緒だ。
エリカは、はじめてシルフェさんをみたとき、婚約者だと紹介していたので、涙ながらに、俺のことをよろしく頼むとシルフェさんの手を握り頼んでいた。乳母という第二の母の気持ちはありがたい。
シンバはアーチャー家を、シンバの従弟に相続してきたらしいが、シンバとエリカ兄弟を慕って、18名の部下が付いてきた。アーチャー家とプライセン子爵家には暇乞いをしてきたということだ。さすがは俺の守役と乳母だ。人望があるなと感心した。
『それにしても、主殿は、人望がないのう。主殿には、町の住民に誘える部下などおるまい』
う、うるさいよ。人望がないことは気にしているので、結構本気で傷付く。
泣きそうだ。
王都のノーフェースのオーファ達に指示をして、エクス・ゲファルナート魔法王国へ移住希望者を、特に仕事にあぶれているスラム街から募り、孤児院関連とは別に、子供を中心に250名ほど移民として連れてきた。これで合計約300名。彼らが、首都エクスの第一期の住民となる。
俺は心配性なので、シンバとエリカ以外には、全能草をつかって、俺とエクス・ゲファルナート魔法王国への忠誠と勤労の義務を果たすことを住民全員に誓わせた。
町の機能について住民達に説明を行う。
上下水道完備、暖もとれる快適な住居も全員分用意しているので、シンバが後ほど振り分けを行うことにしている。子供たちは大人の誰かが世話役となり、共同生活を送れるよう指示を出しておいた。
今はまだ、住民よりも建物の方が多いため、空き物件が多い。
首都と呼べるほどのではないけど、数年で10数倍の規模にするつもりだ。
エクス・ゲファルナート魔法王国の政治機構は、俺を君主とした「絶対君主制」。
「絶対君主制」の印象は、国民を搾取するという、あまりよい響きではないけど、フランド王国を含めた周辺国とほぼ同じ政治機構だ。もう少し国が成熟したら、憲法を発布して君主の権限を制限する立憲君主制への移行も視野にいれる。
しかし、いまはまだ、未成熟で小国だからこそ、迅速な判断のため、権力の集中が必要だ。そのため、俺の権限を強く大きくしておかないといけないんだよな。
エクス・ゲファルナート魔法王国の方針は、2つ。
一つ:魔法技術を核とした産業化による技術立国
一つ:周辺国のおける貿易の中心地となる貿易立国
これを目指す。
もちろん、コアとなる魔法技術とは、ブラックストーン技術のことだ。ブラックストーンをつかって魔法師でない国民に、魔法の恩恵を与え、労働を通じて国を富ませる。
人口が300名と少ないため、生産性を最大限に高める計画だ。そのため、国の機関(今のところすべて国の機関しかないけど)では、(俺がつくるため、ほぼ原価無料の)ブラックストーンを豊富に提供し、どんどん価値のあるモノを生み出すようにしていく。
人口不足、労働力不足を補うため、ゴーレム駆動用の新しいブラックストーンを考案した。
名付けて、「ゴーレムリソース」。
これは鉱石に土魔法、陰系統の使役魔法、風魔法の3系統の魔法を刷り込まぜ、鉱石をブラックストーン化している。土魔法で、ゴーレムの形状を作り、使役魔法で簡単な命令を与えることができる。最後が風魔法で、ゴーレムの動力補助をし、重たいものを運搬できるようにしたり、比較的細かい作業をできるようにしたりしている。これを住民の5倍以上作り上げれば、単純計算で、国民一人あたり、5人分以上の仕事ができるようになる。
俺の理想としては、考えることや価値の高い仕事を国民(人間)が担当し、ゴーレムがその実行支援する。効率性や法規遵守の有無、それから進捗確認などは、国の機関(官僚組織)が監査する。そんな体制を組むことを目指したい。
当面は、国を発展させるための資金を稼がないとならない。
絶対俺に服従の低賃金で従順な労働力となる国民、そして、ブラックストーンを核とした低コストなゴーレムを大量に投入し、これらを使って、資金を稼ぎ、その資金を再投資して、国を豊かにしていく。
国の豊かさとは、「1年間などの単位時間あたりどのくらいの価値のあるモノを生み出すことができたのか?」で測る。
この額を拡大していくことで、どんどん国が豊かになっていく。
『小難しいことを考えておるのう。主殿は。とにかく、ブラックストーンと魔法具を安く大量につくり、周辺国に売りまって、その資金でさらに大規模にブラックストーンと魔法具を作ると、我のエクス・ゲファルナート魔法王国が発展するということじゃな?』
そうなんだけど、まったくエクスは単純でいいなー。
それよりも、この国は、いつの間にか、エクスの国になっている。
エクスの思い入れが強くなってくれるのは大歓迎だよ。これで、エクスも「愛国心」という建前でこきつかえると俺はほくそ笑む。
エリカは、はじめてシルフェさんをみたとき、婚約者だと紹介していたので、涙ながらに、俺のことをよろしく頼むとシルフェさんの手を握り頼んでいた。乳母という第二の母の気持ちはありがたい。
シンバはアーチャー家を、シンバの従弟に相続してきたらしいが、シンバとエリカ兄弟を慕って、18名の部下が付いてきた。アーチャー家とプライセン子爵家には暇乞いをしてきたということだ。さすがは俺の守役と乳母だ。人望があるなと感心した。
『それにしても、主殿は、人望がないのう。主殿には、町の住民に誘える部下などおるまい』
う、うるさいよ。人望がないことは気にしているので、結構本気で傷付く。
泣きそうだ。
王都のノーフェースのオーファ達に指示をして、エクス・ゲファルナート魔法王国へ移住希望者を、特に仕事にあぶれているスラム街から募り、孤児院関連とは別に、子供を中心に250名ほど移民として連れてきた。これで合計約300名。彼らが、首都エクスの第一期の住民となる。
俺は心配性なので、シンバとエリカ以外には、全能草をつかって、俺とエクス・ゲファルナート魔法王国への忠誠と勤労の義務を果たすことを住民全員に誓わせた。
町の機能について住民達に説明を行う。
上下水道完備、暖もとれる快適な住居も全員分用意しているので、シンバが後ほど振り分けを行うことにしている。子供たちは大人の誰かが世話役となり、共同生活を送れるよう指示を出しておいた。
今はまだ、住民よりも建物の方が多いため、空き物件が多い。
首都と呼べるほどのではないけど、数年で10数倍の規模にするつもりだ。
エクス・ゲファルナート魔法王国の政治機構は、俺を君主とした「絶対君主制」。
「絶対君主制」の印象は、国民を搾取するという、あまりよい響きではないけど、フランド王国を含めた周辺国とほぼ同じ政治機構だ。もう少し国が成熟したら、憲法を発布して君主の権限を制限する立憲君主制への移行も視野にいれる。
しかし、いまはまだ、未成熟で小国だからこそ、迅速な判断のため、権力の集中が必要だ。そのため、俺の権限を強く大きくしておかないといけないんだよな。
エクス・ゲファルナート魔法王国の方針は、2つ。
一つ:魔法技術を核とした産業化による技術立国
一つ:周辺国のおける貿易の中心地となる貿易立国
これを目指す。
もちろん、コアとなる魔法技術とは、ブラックストーン技術のことだ。ブラックストーンをつかって魔法師でない国民に、魔法の恩恵を与え、労働を通じて国を富ませる。
人口が300名と少ないため、生産性を最大限に高める計画だ。そのため、国の機関(今のところすべて国の機関しかないけど)では、(俺がつくるため、ほぼ原価無料の)ブラックストーンを豊富に提供し、どんどん価値のあるモノを生み出すようにしていく。
人口不足、労働力不足を補うため、ゴーレム駆動用の新しいブラックストーンを考案した。
名付けて、「ゴーレムリソース」。
これは鉱石に土魔法、陰系統の使役魔法、風魔法の3系統の魔法を刷り込まぜ、鉱石をブラックストーン化している。土魔法で、ゴーレムの形状を作り、使役魔法で簡単な命令を与えることができる。最後が風魔法で、ゴーレムの動力補助をし、重たいものを運搬できるようにしたり、比較的細かい作業をできるようにしたりしている。これを住民の5倍以上作り上げれば、単純計算で、国民一人あたり、5人分以上の仕事ができるようになる。
俺の理想としては、考えることや価値の高い仕事を国民(人間)が担当し、ゴーレムがその実行支援する。効率性や法規遵守の有無、それから進捗確認などは、国の機関(官僚組織)が監査する。そんな体制を組むことを目指したい。
当面は、国を発展させるための資金を稼がないとならない。
絶対俺に服従の低賃金で従順な労働力となる国民、そして、ブラックストーンを核とした低コストなゴーレムを大量に投入し、これらを使って、資金を稼ぎ、その資金を再投資して、国を豊かにしていく。
国の豊かさとは、「1年間などの単位時間あたりどのくらいの価値のあるモノを生み出すことができたのか?」で測る。
この額を拡大していくことで、どんどん国が豊かになっていく。
『小難しいことを考えておるのう。主殿は。とにかく、ブラックストーンと魔法具を安く大量につくり、周辺国に売りまって、その資金でさらに大規模にブラックストーンと魔法具を作ると、我のエクス・ゲファルナート魔法王国が発展するということじゃな?』
そうなんだけど、まったくエクスは単純でいいなー。
それよりも、この国は、いつの間にか、エクスの国になっている。
エクスの思い入れが強くなってくれるのは大歓迎だよ。これで、エクスも「愛国心」という建前でこきつかえると俺はほくそ笑む。
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