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5.王権政争救出編
4.悪意のカラクリの仮説をたてることのススメ
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俺は、シルフェさんと第三王女に自分の力を隠すのをやめることに決めた。
すぐに汚物まみれのシルフェさんを魔法で元の状態に戻す。彼女の全身の汚れをすべて別の空間へ転移させ、合わせて、牢獄内の汚れも同様に別空間へ転移させた。
そして、彼女の右腕と右足の骨折を、回復魔法を発動し、完治させる。
俺はそのまま牢獄の分厚い扉を転移魔法ですり抜けて、シルフェさんの目の前に立つ。彼女の魔法を封じている封魔の首輪が気になり、俺の高濃度の魔素を思いっきり込めて、その忌々しい魔法具を粉々に壊す。
彼女を見上げてから、強く抱きしめ、クンクンする。
この一年で身長が少しは伸びたと言え、まだまだ身長差があるから、自分の頭を肩に押し付ける形になってしまうな。
それでも、いつもの幸(さち)を運んできてくれる匂いがして落ち着く。
「こ、こ、怖かった。看守たちに穢されて、そのまま殺されるかと思った。怖かったよ。アルフ君」
と俺に抱きしめられて緊張が緩んだのか、シルフェさんも俺のことを強く抱きしめ返してきて、いったん泣き止んだとおもったら、また大泣きしてきた。
15分くらい泣き叫んで大分落ち着いたのか、シルフェさんが俺の身体から離れた。
「アルフ君。いつも助けてくれてありがとう。私の情けないところも全部見られてしまって今更恥ずかしいもないのだけど、それでもやっぱりこれだけ顔が近いと恥ずかしいよ。でも、私、投獄されてから、なぜかわからないけど、アルフ君が、絶対、助けにきてくれると思っていたの」
それを聞き、俺は両手でシルフェさんの両側の頬を押さえて、背伸びをしながら、シルフェさんの口へキスをした。
シルフェさんは、はじめ驚き目を見開いたあと、すぐに目を閉じ、身体の余計な力を抜き、身体を俺に預けてきた。
「助けに来るのが遅くなってごめん。もう大丈夫。俺にすべてを任せてくれ」
と言い、大量の魔素を投入し、牢獄内に円柱状の対物理、対魔法の絶対結界を張った。
王女に張った結界の20倍は強力なやつだ。
中に入った対象者が自分から出てこない限り、俺やエクスと同等くらいの術者でないと、結界内の空間に干渉はできないはずだ。つまり、アモンくらいではないとビクともしないだろう。
「なにがあってもこの結界からは出ずに、あと2日間だけここで辛抱してくれ。床もきれいに柔らかくしておいたし、飲み物、食べ物もここに準備しておくから」
「うん。安心してアルフ君が迎えに来てくれるのを信じて待っている」
素直な返事でよいことだ。
さて、本気でシルフェさんと第三王女の身柄を自由にしないとな、と気合を入れた。
一旦、第三王女のところに転移魔法で戻り、状況を説明する。
シルフェさんは、ぎりぎり間に合い、結界内に保護したので数日は問題ない事など説明した。
安心した顔の第三王女から、俺は今回のカラクリを聞き出す。
「王位継承権の上位の第一王子と言えど、第三王女を暗殺しようとするほど強引な手を打てたのはなぜですか?いったい誰がかかわったのですか?」
「今回の魔獣狩りで、お父様の権威に傷がついたわ。お父様、いえ、国王陛下は門閥派の貴族・軍官からの圧力に押し切られる形で、参加者の中で、王位継承権が最も高かった姉様に、今回の責を負わし謹慎させたわ。その後、兄さまからの意向を受け、法務大臣が、すぐにシルフェが専属魔術師の責務放棄をしたという罪状をでっち上げ、投獄したの!!」
第三王女は説明しながら、徐々に怒りで興奮していることに自分で気が付き、いったん水をのみ、気を静めて続ける。
「私も、部隊の指揮でミスがあり、被害を拡大したのではないか、という嫌疑をかけられ、事情聴取するという名目でここに監禁させられたわ。謹慎中の姉様には情報が遮断されてしまっていて、国王陛下にも、私の監禁様子の詳細は報告されていないはずよ。この後、もしシルフェが看守たちに嬲り殺されたら、それにショックを受けた私が衰弱し、そのまま毒殺されて、きっと病死と報告されたでしょうね。その次は姉様が、私が心を病んで死んだ咎で、標的になったはずよ」
「なるほど。でも、法務大臣が第一王子派だというのは聞いたことがあるのですが、なぜ皇族に手をかけるという危険な橋を渡ろうとするのですか?一つ間違ったら、第三王女を死なせた咎を受ける危険もあるのに」
俺は、話を聞いて疑問に思ったことをぶつけてみることにした。
「それは,,,,,, 詳細はわからない」
第三王女は言葉に詰まる。しばらく頭の中で考えをまとめてから自分の予想を述べた。
「でも、きっと、陰でウルフォン公爵が法務大臣になにかしらの圧力をかけたのではないか、と疑っています」
なるほど。おぼろげに今回の悪意の全体像が見えてきた。
実のところ、俺は、ウルフォン公爵家の領地の位置も、魔獣狩りの時から気になっていたんだよな。
「第一王子とウルフォン公爵はどんな関係ですか?」
「まだ表には出ていない話だけど、昨年来、急にウルフォン公爵の長女を兄さまの第一夫人に、という話が門閥派の貴族たちから国王陛下へ上奏されだしたの。その後、どこまで具体的に話が進んでいるかはわからないけど」
つまり、ウルフォン公爵が、将来の婿候補である第一王子を一気に皇太子に擁立するために門閥派と法務大臣を使って政敵の第二王女、第三王女を追い詰めたということか。
ここまであからさまにやるということは、自分の娘と第一王子との婚姻の話が形になりつつあるのだろう。
一応は、つじつまが全て合う。
「殿下。2日ほど、この部屋の結界内にいてもらえませんか。水や食料もおいておきます」
「わかったわ。それと、私のことはアリアでいいわ。私もシルフェも、あなたがいなければ、命はないのだし。あなたに従うわ」
「では、人がいるときはアリア様、二人の時はアリアさんと呼ばせていただきます。シルフェさんとの盟約に従い、しばらくアリアさんをお手伝いさせていただきます」
ということで、俺は、アリアさんの幕下(ばっか)に入り、二人の安全が確保できるまでの間、護衛兼作戦参謀として王位継承権争いに参戦することになった。
すぐに汚物まみれのシルフェさんを魔法で元の状態に戻す。彼女の全身の汚れをすべて別の空間へ転移させ、合わせて、牢獄内の汚れも同様に別空間へ転移させた。
そして、彼女の右腕と右足の骨折を、回復魔法を発動し、完治させる。
俺はそのまま牢獄の分厚い扉を転移魔法ですり抜けて、シルフェさんの目の前に立つ。彼女の魔法を封じている封魔の首輪が気になり、俺の高濃度の魔素を思いっきり込めて、その忌々しい魔法具を粉々に壊す。
彼女を見上げてから、強く抱きしめ、クンクンする。
この一年で身長が少しは伸びたと言え、まだまだ身長差があるから、自分の頭を肩に押し付ける形になってしまうな。
それでも、いつもの幸(さち)を運んできてくれる匂いがして落ち着く。
「こ、こ、怖かった。看守たちに穢されて、そのまま殺されるかと思った。怖かったよ。アルフ君」
と俺に抱きしめられて緊張が緩んだのか、シルフェさんも俺のことを強く抱きしめ返してきて、いったん泣き止んだとおもったら、また大泣きしてきた。
15分くらい泣き叫んで大分落ち着いたのか、シルフェさんが俺の身体から離れた。
「アルフ君。いつも助けてくれてありがとう。私の情けないところも全部見られてしまって今更恥ずかしいもないのだけど、それでもやっぱりこれだけ顔が近いと恥ずかしいよ。でも、私、投獄されてから、なぜかわからないけど、アルフ君が、絶対、助けにきてくれると思っていたの」
それを聞き、俺は両手でシルフェさんの両側の頬を押さえて、背伸びをしながら、シルフェさんの口へキスをした。
シルフェさんは、はじめ驚き目を見開いたあと、すぐに目を閉じ、身体の余計な力を抜き、身体を俺に預けてきた。
「助けに来るのが遅くなってごめん。もう大丈夫。俺にすべてを任せてくれ」
と言い、大量の魔素を投入し、牢獄内に円柱状の対物理、対魔法の絶対結界を張った。
王女に張った結界の20倍は強力なやつだ。
中に入った対象者が自分から出てこない限り、俺やエクスと同等くらいの術者でないと、結界内の空間に干渉はできないはずだ。つまり、アモンくらいではないとビクともしないだろう。
「なにがあってもこの結界からは出ずに、あと2日間だけここで辛抱してくれ。床もきれいに柔らかくしておいたし、飲み物、食べ物もここに準備しておくから」
「うん。安心してアルフ君が迎えに来てくれるのを信じて待っている」
素直な返事でよいことだ。
さて、本気でシルフェさんと第三王女の身柄を自由にしないとな、と気合を入れた。
一旦、第三王女のところに転移魔法で戻り、状況を説明する。
シルフェさんは、ぎりぎり間に合い、結界内に保護したので数日は問題ない事など説明した。
安心した顔の第三王女から、俺は今回のカラクリを聞き出す。
「王位継承権の上位の第一王子と言えど、第三王女を暗殺しようとするほど強引な手を打てたのはなぜですか?いったい誰がかかわったのですか?」
「今回の魔獣狩りで、お父様の権威に傷がついたわ。お父様、いえ、国王陛下は門閥派の貴族・軍官からの圧力に押し切られる形で、参加者の中で、王位継承権が最も高かった姉様に、今回の責を負わし謹慎させたわ。その後、兄さまからの意向を受け、法務大臣が、すぐにシルフェが専属魔術師の責務放棄をしたという罪状をでっち上げ、投獄したの!!」
第三王女は説明しながら、徐々に怒りで興奮していることに自分で気が付き、いったん水をのみ、気を静めて続ける。
「私も、部隊の指揮でミスがあり、被害を拡大したのではないか、という嫌疑をかけられ、事情聴取するという名目でここに監禁させられたわ。謹慎中の姉様には情報が遮断されてしまっていて、国王陛下にも、私の監禁様子の詳細は報告されていないはずよ。この後、もしシルフェが看守たちに嬲り殺されたら、それにショックを受けた私が衰弱し、そのまま毒殺されて、きっと病死と報告されたでしょうね。その次は姉様が、私が心を病んで死んだ咎で、標的になったはずよ」
「なるほど。でも、法務大臣が第一王子派だというのは聞いたことがあるのですが、なぜ皇族に手をかけるという危険な橋を渡ろうとするのですか?一つ間違ったら、第三王女を死なせた咎を受ける危険もあるのに」
俺は、話を聞いて疑問に思ったことをぶつけてみることにした。
「それは,,,,,, 詳細はわからない」
第三王女は言葉に詰まる。しばらく頭の中で考えをまとめてから自分の予想を述べた。
「でも、きっと、陰でウルフォン公爵が法務大臣になにかしらの圧力をかけたのではないか、と疑っています」
なるほど。おぼろげに今回の悪意の全体像が見えてきた。
実のところ、俺は、ウルフォン公爵家の領地の位置も、魔獣狩りの時から気になっていたんだよな。
「第一王子とウルフォン公爵はどんな関係ですか?」
「まだ表には出ていない話だけど、昨年来、急にウルフォン公爵の長女を兄さまの第一夫人に、という話が門閥派の貴族たちから国王陛下へ上奏されだしたの。その後、どこまで具体的に話が進んでいるかはわからないけど」
つまり、ウルフォン公爵が、将来の婿候補である第一王子を一気に皇太子に擁立するために門閥派と法務大臣を使って政敵の第二王女、第三王女を追い詰めたということか。
ここまであからさまにやるということは、自分の娘と第一王子との婚姻の話が形になりつつあるのだろう。
一応は、つじつまが全て合う。
「殿下。2日ほど、この部屋の結界内にいてもらえませんか。水や食料もおいておきます」
「わかったわ。それと、私のことはアリアでいいわ。私もシルフェも、あなたがいなければ、命はないのだし。あなたに従うわ」
「では、人がいるときはアリア様、二人の時はアリアさんと呼ばせていただきます。シルフェさんとの盟約に従い、しばらくアリアさんをお手伝いさせていただきます」
ということで、俺は、アリアさんの幕下(ばっか)に入り、二人の安全が確保できるまでの間、護衛兼作戦参謀として王位継承権争いに参戦することになった。
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