26 / 99
2.王都書生編
16. 〇〇は文化だ!と理解することのススメ
しおりを挟む
事件が無事解決してから2週間が経過した。
俺は、今、目の下にクマをはりながら、エクリン家の差配している町パルスキーの税収回復問題に取り組んでいる。
全体の計画のうち、対策立案のステージにはいっている状況だ。
【全体スケジュール】
1週間で実情調査完了
2週間で復興計画の立案 ←今はここだ!
1.5か月で計画実行
残り、4.5か月で、計画の進捗、計画の効果の判定と計画の微調整を行う。
事件解決直後からこれまでの間のことを簡単に振り返ると、まずチャールズさんと急ぎ、王都に戻り、事の顛末をジャームスさんへ報告した。そして、元代官のゴットン、元御用商人のレングを王都の審問官へ引き渡した。
ジャームスさんは、俺たちの報告を聞くと、その日のうちに真っ青な顔をして、至急で財務閥のお偉方へ、穏便に済むよう根回しするため、深夜まで駆けずり回ったようだ。
翌日、少し落ち着いてからジャームさん、チャールズさんから、ゴットンとレングがとても素直に自供を続けているとのことで、事件の全容は迅速に判明することになりそうだ、と俺に教えてくれた。
全能草と「囚人のジレンマ」作戦が功を奏しているようだ。
人間は素直が一番だね。やっぱり。
パルスキーの代官所の掃除も始まっているようで、チャールズさんの指揮のもと、ゴットンに協力していた役人数名を、不正の協力者ということですぐに逮捕・拘束したそうだ。
それと、逮捕後すぐに、ゴットン、レングの不正貯蓄を、本人たちからの自供に従い、ほぼすべて回収できた、とのことだ。今回の俺の働きに報いるために、不正蓄財回収分の3%を受け取ってほしいとジャームスさんが提案してきた。
本当はもっと多くの額を提示したかったが、財務閥への「挨拶回り」という名の「口止め料」が予想以上に高額になってしまい、エクリン家には、あまり残らないので、この程度で申し訳ないが我慢してくれとジャームスさんから謝られた。
まぁ、王都近郊の町で問題を起こし、王族の権威を傷つけたため、本来ならば、お取りつぶしになるところ、財務閥が自派閥の汚点にならないよう一致団結して、エクリン家が自助努力で不正・腐敗を解決したと訴え、お咎めが軽くなるよう、他の権力者と調整してくれているそうだ。
なので、「口止め料」でお取りつぶしが避けられるならば、「袖の下」もやむを得ない。
むしろ、賄賂はフランド王国の偉大な文化だ!、と思った。
内官になったら、俺も賄賂をもらいまくりたいけど、今回は、ジェームスさんの申し出を丁重にお断りをし、その代わりパルスキーの復興計画のすべてを俺に任せてくれるよう頼んだ。結果、2人は了承してくれた。もちろん事前に案について、ジャームスさん、チャールズさんの了解を得ることになったが。
『主殿よ。金銭は受け取らなかったとドヤ顔でするでないぞ。商人の不正貯蓄の半分、つまり、全体回収分の25%をネコババしているでな』
エクスちゃん、覚えていたのね。
もし、復興で必要になったら、ちゃんとそこから払います。
そんなこんなで、俺、シンバ、護衛のパリーとでパルスキーに戻ってきた。代官所の一室を俺専用の執務室にして占領し、今、本格的な復興計画を考えている。
本格的な復興計画の立案前に、緊急対策として、取り急ぎ、3つのお触れを出した。
<一つ、命令権の確保のお触れ>
ジャームスさんに頼んで、俺を「臨時代官代行」に任命してもらった。
やっぱり、見ず知らずの12歳の子供が、町の役人たちへ命令するに、役職パワーがないと動いてくれないからね。臨時代官代行になっても、まだまだ子供の命令だと侮られて、いろいろとやりにくいところがあるのだけど、それは我慢する。
<一つ、町のライフラインの確保のお触れ>
町で唯一の商家である御用商人のレングが逮捕され、不正調査のため、使用人も全員、取り調べのため拘束された。そのため、町唯一の商家は完全停止してしまった。生活必需品の町への物流がとまってしまわないよう、急ぎ、王都から複数の商家を募った。
新規参入に当たっては入札を行い、町としても参入権の付与の対価として利益を得ることにした。父上に恩を売るため、と王都の商家が談合で結託しないよう、当て馬として、プライセン子爵家とつながりのある商家にも声をかけた。
こんな王都近くの町にも拘わらず、現在、ライバルの商家がいない、というブルーオーシャンに食い込むチャンスなんてめったにないからね。
そのかいあって、レングが町の物価を高値で固定していたが、競争原理が働くようになり、1週間もたつと物の値段が少し下がり、早くも住民からは感謝されはじめている。
<一つ、兵士駐在所新設のお触れ>
犯罪が発生した際は、住民が、速やかに通報できるよう、兵士駐在所を町中に10か所ほど確保した。代官所の兵士たちに、通報があり次第、急行させることにした。
これまでは、レングが獅子の牙をつかって、町のいたるところで、恐喝、強盗、殺人、誘拐、強姦などがおきていた。そんな状況にもかかわらず、代官ゴットンの方針で、代官所は見て見ぬふりをしていたため、獅子の牙の悪行を他のアウトローたちも真似をし始めたため、犯罪がありえないほど多発していた。
まぁ、そのせいで、第三王女にも目を付けられるようになってしまったぐらいだからね。
この兵士駐在所を設けることでまずは住民たちの代官所への不信を取り除きたいとう狙いがある。ただ、兵士駐在所を確保したのはいいのだけど、そもそも、王都近くの町で、こんなに治安が悪くなることは想定していないから、代官所の兵士も、町の規模からしたら足りない。エクリン家に余裕がないから、予算も少ないので、兵士を増員できず、すべての犯罪を取り締まれないのがつらい。
緊急の対策として、3つのお触れを出したが、町の復興についてもっと「小役人のススメ」の知恵に活躍してもらわないとならない。
まだまだ道のりは半ばだ。
俺は、今、目の下にクマをはりながら、エクリン家の差配している町パルスキーの税収回復問題に取り組んでいる。
全体の計画のうち、対策立案のステージにはいっている状況だ。
【全体スケジュール】
1週間で実情調査完了
2週間で復興計画の立案 ←今はここだ!
1.5か月で計画実行
残り、4.5か月で、計画の進捗、計画の効果の判定と計画の微調整を行う。
事件解決直後からこれまでの間のことを簡単に振り返ると、まずチャールズさんと急ぎ、王都に戻り、事の顛末をジャームスさんへ報告した。そして、元代官のゴットン、元御用商人のレングを王都の審問官へ引き渡した。
ジャームスさんは、俺たちの報告を聞くと、その日のうちに真っ青な顔をして、至急で財務閥のお偉方へ、穏便に済むよう根回しするため、深夜まで駆けずり回ったようだ。
翌日、少し落ち着いてからジャームさん、チャールズさんから、ゴットンとレングがとても素直に自供を続けているとのことで、事件の全容は迅速に判明することになりそうだ、と俺に教えてくれた。
全能草と「囚人のジレンマ」作戦が功を奏しているようだ。
人間は素直が一番だね。やっぱり。
パルスキーの代官所の掃除も始まっているようで、チャールズさんの指揮のもと、ゴットンに協力していた役人数名を、不正の協力者ということですぐに逮捕・拘束したそうだ。
それと、逮捕後すぐに、ゴットン、レングの不正貯蓄を、本人たちからの自供に従い、ほぼすべて回収できた、とのことだ。今回の俺の働きに報いるために、不正蓄財回収分の3%を受け取ってほしいとジャームスさんが提案してきた。
本当はもっと多くの額を提示したかったが、財務閥への「挨拶回り」という名の「口止め料」が予想以上に高額になってしまい、エクリン家には、あまり残らないので、この程度で申し訳ないが我慢してくれとジャームスさんから謝られた。
まぁ、王都近郊の町で問題を起こし、王族の権威を傷つけたため、本来ならば、お取りつぶしになるところ、財務閥が自派閥の汚点にならないよう一致団結して、エクリン家が自助努力で不正・腐敗を解決したと訴え、お咎めが軽くなるよう、他の権力者と調整してくれているそうだ。
なので、「口止め料」でお取りつぶしが避けられるならば、「袖の下」もやむを得ない。
むしろ、賄賂はフランド王国の偉大な文化だ!、と思った。
内官になったら、俺も賄賂をもらいまくりたいけど、今回は、ジェームスさんの申し出を丁重にお断りをし、その代わりパルスキーの復興計画のすべてを俺に任せてくれるよう頼んだ。結果、2人は了承してくれた。もちろん事前に案について、ジャームスさん、チャールズさんの了解を得ることになったが。
『主殿よ。金銭は受け取らなかったとドヤ顔でするでないぞ。商人の不正貯蓄の半分、つまり、全体回収分の25%をネコババしているでな』
エクスちゃん、覚えていたのね。
もし、復興で必要になったら、ちゃんとそこから払います。
そんなこんなで、俺、シンバ、護衛のパリーとでパルスキーに戻ってきた。代官所の一室を俺専用の執務室にして占領し、今、本格的な復興計画を考えている。
本格的な復興計画の立案前に、緊急対策として、取り急ぎ、3つのお触れを出した。
<一つ、命令権の確保のお触れ>
ジャームスさんに頼んで、俺を「臨時代官代行」に任命してもらった。
やっぱり、見ず知らずの12歳の子供が、町の役人たちへ命令するに、役職パワーがないと動いてくれないからね。臨時代官代行になっても、まだまだ子供の命令だと侮られて、いろいろとやりにくいところがあるのだけど、それは我慢する。
<一つ、町のライフラインの確保のお触れ>
町で唯一の商家である御用商人のレングが逮捕され、不正調査のため、使用人も全員、取り調べのため拘束された。そのため、町唯一の商家は完全停止してしまった。生活必需品の町への物流がとまってしまわないよう、急ぎ、王都から複数の商家を募った。
新規参入に当たっては入札を行い、町としても参入権の付与の対価として利益を得ることにした。父上に恩を売るため、と王都の商家が談合で結託しないよう、当て馬として、プライセン子爵家とつながりのある商家にも声をかけた。
こんな王都近くの町にも拘わらず、現在、ライバルの商家がいない、というブルーオーシャンに食い込むチャンスなんてめったにないからね。
そのかいあって、レングが町の物価を高値で固定していたが、競争原理が働くようになり、1週間もたつと物の値段が少し下がり、早くも住民からは感謝されはじめている。
<一つ、兵士駐在所新設のお触れ>
犯罪が発生した際は、住民が、速やかに通報できるよう、兵士駐在所を町中に10か所ほど確保した。代官所の兵士たちに、通報があり次第、急行させることにした。
これまでは、レングが獅子の牙をつかって、町のいたるところで、恐喝、強盗、殺人、誘拐、強姦などがおきていた。そんな状況にもかかわらず、代官ゴットンの方針で、代官所は見て見ぬふりをしていたため、獅子の牙の悪行を他のアウトローたちも真似をし始めたため、犯罪がありえないほど多発していた。
まぁ、そのせいで、第三王女にも目を付けられるようになってしまったぐらいだからね。
この兵士駐在所を設けることでまずは住民たちの代官所への不信を取り除きたいとう狙いがある。ただ、兵士駐在所を確保したのはいいのだけど、そもそも、王都近くの町で、こんなに治安が悪くなることは想定していないから、代官所の兵士も、町の規模からしたら足りない。エクリン家に余裕がないから、予算も少ないので、兵士を増員できず、すべての犯罪を取り締まれないのがつらい。
緊急の対策として、3つのお触れを出したが、町の復興についてもっと「小役人のススメ」の知恵に活躍してもらわないとならない。
まだまだ道のりは半ばだ。
0
お気に入りに追加
29
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる