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許婚様の隠し事と年越し

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「あれは……俺の弟なんだ」
「えっ」
「4つ下の弟で、女性みたいに綺麗でよくモテるヤツなんだ」
「でも、すごく機嫌が悪かったですわね」
「あぁ。アイツは睡眠不足だと、すごく機嫌が悪いんだ」
「そうだったのですか……」
「それに、あの容姿だから幼い頃から年上の女子に、よく女装させられたり……小学校とかだと放課後に無理やり化粧させられたって、泣いてたこともあったな……」
「まぁ、そんなことが……」
「それに、金持ちだからって金目目的で近付く女も居た」
「それで、女嫌いに……」
「あぁ。女性恐怖症?というか、人間不信に近いかも知れないな。幸い、俺はこんな顔(ポーカーフェイス)と成績のお陰で、真面目でつまらないヤツとして何、不自由なく学校生活を送っていた」
「あら、そこも今では愛着が湧いていますので、ご安心を(敢えて、否定しない)」
「ん゛ん゛(咳払い)……そ、そうか」
「えぇ!怜さんのことは、その……す、好きですわっ」
「あ!あり、がとう……」
「それで、その弟さんは……今はどうしているのですか?」
「幸い、弟は容姿に恵まれている。だから、今は素性を隠して俳優やモデル業をしている」
「えぇっ!?」
「まぁ、いつかは素性もバレるかも知れないが……でも今のところはその方がアイツも生きやすいだろうし、マネージャーも警備もアイツ自身が厳選しているから、大丈夫だろう」
「でも、お父様の跡継ぎは……」
「あぁ……それは勿論、長男である俺が継ぐ。だから、桜には結婚して嫁いでもらう」
「では、弟さんは……?」
「アイツはそもそも、こちらのことには興味がない。お願いしたとしても放棄するだろうから、俺の跡は俺たちの子どもに……」
「こっ」
「あ、いや……その、あ……すまない。勝手に……」
「いっ、いえっ!大丈夫です!私、頑張りますから!」
「いや、そんな……頑張らなくても……」
しばらく真っ赤な顔を冷やしてから、弟様のことを話してくださった許婚様。
だから、弟様の部屋だけ離れたところにあったのかと納得いたしました。
まさか、弟様が芸能人だったなんて。
確か、芸名が久礼目くれめ  玲王れおと言ったかしら……?
私はあまりドラマを観ないのですが、クラスメイトで久礼目さんのドラマが好き!って、話していた方が居たような……
気になるので、次の放送予定日を確認して観てみましょう。

「そうこうしているうちに、年が明けるぞ」
「はい!色々ありましたが、今年もお世話になりました」
「いや……こちらこそ。こんな俺に付き合ってくれて……本当にありがとう」
「いえ!そんな……来年も、またよろしくお願いいたしますね」
「あぁ、勿論だ。こちらこそ、来年もよろしく頼む」
「明けまして」
「おめでとう」
ふふふと二人、顔を合わせて笑いながら新年を迎えました。
さて、今年は一体どんな年になるのでしょうか。
年明け早々、初詣に行く約束をしていたので楽しみですわ!




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