13 / 46
コスプレ撮影会の様子
しおりを挟むさて、私と許婚様のクラスは端と端の距離なので、ちょっと早歩きして急がねば。
「あっ!」
ありましたわ!『コスプレ撮影会』会場。
ひょこっと気付かれないように覗くと、許婚様がファンクラブの方たちと代わる代わる、撮影されていました。
ウフウフ。許婚様は困っている様子ですが、年に2度のファンサービス(もう1つは体育祭)なので、ここは1つ頑張っていただきたいですわね。
それにしても……ファンが多過ぎますわ!
途切れぬ長蛇の列に整理券……改めて、許婚様のファンの数に驚かされますわね。
本当、許婚様お一人でも余裕勝ち出来そうですわ……
いや、うちには井栗くんが居るんですもの!彼なら、何とか頑張ってくださるはずよ!
あら、許婚様が去って行ったわ。何故かしら?列はまだあるのに……
数分後、また違うお衣装を身に纏った許婚様が現れましたわ!
なんということでしょう!この衣装も、許婚様にとってもお似合いですわ……
何だか着せ替え人形みたいな許婚様が可愛く思えますが、この格好良さに惚れない女子はいらっしゃらないかと……
素晴らしい戦略ですわね。この衣装担当の子にお会いしたいぐらいですわ!
後で許婚様にお伺いしましょう。素敵な目の保養をありがとうと、お礼をお伝えたいです!
ウフウフ。陰から覗いているなんて、隠れファンみたいで楽しいですわ。
許婚様、最初からずっと同じポーズなのかしら?全くポーズが変わりませんわ。
それでも、素敵ですから誰も何も言わないのでしょう。
あら……許婚様、サインまでされているではありませんか!
何というお得感!これはファンからすれば、家宝モノですわ!
私も写真部に、生写真やブロマイド製作を依頼して、サインして販売した方が良いのかしら……
でもそれって、違反になるのかしら?
私があれこれ考えて悩んでいると、気付いた時には許婚様がいらっしゃいませんでした。
どちらへ行かれたのでしょうか。見失ってしまいました……
どうしましょう!と焦っていると、背後から
「オイ、何をしている」
「ぴゃぁっ!!」
「ぷっ」
「り、怜さんではありませんか!瞬間移動か何か、されたのですか!?」
「クッ……ははは!まさか。お前がこちらを覗いているのは知っていた。そろそろ見回りの時間だと思って、抜けてきたんだ」
「そ、そうだったのですか……バレてないと思っていましたのに!まだまだ、修行が足りませんね」
「修行してどうするんだ、今後もそんな隠れて覗くことなんてあるのか?」
「あ、あるかも知れないじゃないですか!万が一の為に、ですわ」
「ククク……そうか、それなら努力するんだな……」
「もう、怜さんったら笑い過ぎですわよ!」
「だって、桜の行動が面白くて……可愛いからいけないんだぞ」
許婚様が笑ったところ、初めて見たような……
あっても微笑むくらい(かすかなので、あまり分かりませんが雰囲気で)なので、声に出して笑う許婚様が見られてレア感、満載でとても嬉しいですわ!
私がウフウフしていると、許婚様は「どうした?」と分かっていらっしゃらない様子。
「うふふ。許婚様が初めて、私の前で声に出して笑ってくださったので、とても嬉しいんです」
「そ、そうか……」
「もっと、感情的になってくださいな!その方が私も、もっと嬉しいので」
「しかし、今更そんな……」
「ならば、せめて私の前だけでも!」
「う……ぜ、善処する」
「はい、お願いいたします!」
「さ、見回りの時間だ。行こうか、お姫様」
「!?」
びっくりしていると、許婚様も顔を赤くして俯いている。
許婚様なりに頑張ってくれているのは、とても大きな進歩ですわ!
「はい、喜んで!」
ウフウフしていると、許婚様は「また、締まりのない顔をしているぞ」と優しく注意してくださいました。
しかし、それは仕方のないことなのです。
嬉しいのですから、もっとウフウフさせてくださいな。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜
秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。
宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。
だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!?
※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる