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転校生、来る

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    生徒会長のサポートとして活動し始めて早1ヶ月が経ち、生徒会活動も意外と楽しいと思えてきた、今日この頃。
「今日は転校生が来るらしいな」
「まぁ、そうなんですの!どんな方が来られるのかしらねぇ」
楽しみですわ!とウフウフしていると、許婚様は「男だったら、嫌だな……」とポツリ。
「何故、嫌なんですか?」
「あ、いや……なんでもない」
「えっ!?何故、隠すのですか!」
「隠してなどいない……早く行くぞ」
むぅ……解せぬ、解せぬ!げーせーぬぅー!
何故、隠すのでしょうか。イケメンだったら自分の人気が減るから、心配しているのでしょうか?
それとも、破天荒な人だったとしたら「生徒会長は、今日から俺だ!」なんて展開で、ハチャメチャしちゃうからでしょうか?
どちらも、わたくしの読んだ小説にあった展開ですけれども!(小説の読み過ぎ+妄想癖なだけ)
何だか、ドキドキワクワクしますわ!
私がウフウフしていると、許婚様に「また、はしたない顔をしてるぞ」と言われましたわ。
「締まりのない顔とおっしゃってくださいな!」
と言うと「あぁ、そうか……すまない」と謝ってくださいました。そこは律儀な方なんですよねぇ。
今日も相変わらず、ファンクラブの方たちからのお声を超小型補聴器で拾い、ウフウフしていた私なのでした。

そして、ホームルーム。
担任の先生と共に、ある生徒が現れました。
「あっ……」
許婚様の予想通り、男子生徒でしたわ。
しかも、私のクラスに転校してきたので許婚様はどう思うのかしら。
まぁ、言ったところで何だって話ですけれど。
「じゃあ、飯塚の後ろだな~」
ふと、足が止まった。
何でしょう?私、何かしたかしら?と思い、視線を上げるとパチリと目が合いました。
「?」
初めて見る顔なのですが……はて?どこかでお会いしたことがあったかしら……?
「あの、桜川……綺羅さん、ですか?」
「えっ、ええ。そうですけれど……」
「やっぱり!綺羅ちゃんだ!」
「はい?ど、どちら様でしょうか……?」
「えっ……覚えてない、の……?」
「申し訳ありません。突然、言われても記憶が定かではないので何とも……」
「そ、そっか……僕の方こそ突然、ごめんなさい」
何だか、気まずくなってしまったわ。
ただ、席がさほど近くないことだけが唯一の救いだわ。
転校生の名前って、確か……井栗いぐり 都史くにちかくんだったはず。
許婚様に聞けば、何か分かるかしら?
実は私と許婚様は幼稚園の頃、同じところに通っていて井栗くんも同じ幼稚園だったから、何か分かるかも知れませんわ!
それに今日も許婚様と一緒に帰るので、その時にでも伺ってみましょう!
とりあえず、今日を乗り切ることが最優先!ですわね。




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