許婚様は私がお好きらしい。２

学年最後の体育祭

   定期的な試験や小テストを何とか潜くぐり抜け、体育祭という名の体力消耗イベントがやってきました。
私は少し苦手ですが(体力があまり無い為)、応援は大好きですわ！(眺めて声援を送るだけなので)
我が校では代々、生徒会長が体育祭の応援団長を務めるという伝統があるため、今年は許嫁様が応援団長を任されており、大声を出すのに苦労しているそうです。
基本的に大声を出す・叫ぶのは、私に感情を露あらわにした時なので大丈夫なのか心配ですし、息切れで倒れたりしないかとても不安です……
私はアナウンスをしたり、応援席から優雅に声援を送ったりと、自分の任務を果たしております。
それにしても、許嫁様の学ラン姿が……格好良過ぎますですことッ！！！
えぇ。これで、落ちない女なんていらっしゃるの？と問いたいぐらいに。
あっ！制服も学ランなんだから、そんなに変わらないのでは？という質問が飛んでくると思いますので、予あらかじめ反論させていただきますわ。
制服の学ランと応援団長をしている時の学ランは、まっったくの別物なんですのよ！！
そこのところ、しかと覚えておくように。許嫁様の良さをどれくらい知っているかの検定があれば、必ずここテストに出ますわよ。
しかも、許嫁様の汗を流されているお姿……！！
更に輝かしく、お美しい……素敵過ぎて、盗撮することも忘れてしまいますわ。
本当にため息が出てしまいます……
気のせいかしら。汗ばんでいるせいか、ほんのり色気が漂っていませんこと！？
こ、これでは許嫁様ファンがまた、増えてしまいますわ！！
でも……許嫁様の良いところを語ろう会という名目で、語り合える人が居れば何と良いことか！私視点とファンクラブの皆様視点では、許嫁様の映り方が違うかも知れませんし、私の知らない許嫁様やファンクラブの皆様の知らない許嫁様を、お互いに知られる良い機会でもあると思うのです！！
これは、秘ひそかにファンクラブの会長様に連絡を取って、会員の皆様を集めようかしら！
素敵なローズティーでも飲みながら、優雅に語り合いたいですわねぇ。
と、私が妄想しているうちに許嫁様の応援が終わっていました……
なんということでしょう……許嫁なのに、気付くのが遅かったですわ！
私に出来る全力疾走で何とか、許嫁様が学ランを脱いだところで追い付けましたわ。
「桜、どうした」
「ぜぇ、ぜぇ……」
「桜！？お前も体育苦手なんだから、無理して走らなくても……」
「いいえ！怜さんの学ラン姿を、最後まで目に焼き付けておきたいんですの！！」
「お、おぅ……そうか。でも……」
許嫁様がおっしゃった言葉に、私はすぐに理解が出来ませんでした。


「新聞部の『生徒新聞～体育祭編～』に俺の学ラン姿も載るぞ？」
え？生徒新聞に、許嫁様の学ラン姿が載る……？ということは、許嫁様の学ラン姿を拝めるのですか？
ブ、ブロマイドにして販売する予定など、皆無なのでしょうか……
ポスターとか……グッズ販売をお考えであれば、私で良ければ出資いたしますわよ！新聞部の皆様！！
と心の中で叫びながら、私は許嫁様にタオルを渡しました。
これは後で、新聞部の部長様に交渉せねば……！
いよいよ最後は、皆様お待ちかねの借り物競争ですわ！