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みーちゃんの手料理 (相一朗視点)
しおりを挟む「ただいま~」
「あ、おかえり~」
「えっ」
みーちゃん!?寝てると思ったのに、まだ起きてたんだ……
も、もしかして僕のこと、待っててくれたのかな。
「どうしたの?」
「いや、てっきり寝てると思ってたから……」
「起きてるよ!だって、今日は私が初めて相くんに手料理を作ったんだから」
「LINEもらってから、ずっとソワソワしてた」
「そうなの!?」
「うん!声優仲間や先輩たちに怪しまれたけど、何とか上手く言って乗り越えたよ!」
「ふふふ、そうなんだ」
「うん!うわぁ……良い匂い」
「私がよく作ってた、チキンのトマト煮」
「早く食べたいから、手洗いうがいしてくる!」
「うん、その間によそっとくね」
「ありがとう」
わぁ、何だか新婚さんみたい……
みーちゃんが僕のお嫁さん……良いなぁ。
みーちゃんを見ながら妄想に浸っていると
「何かあった?大丈夫?」
と言われたので、みーちゃんで妄想してましたと素直に言うと、顔を真っ赤にして「バカ!」って怒られちゃいました。
どんな妄想だと思ったんだろう?もしかして、そっち系……?やだなー、もう。ニヤニヤしちゃったじゃん!
とりあえず、早く手洗いうがいしてこよ。
「いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
パクリ。
「ん!」
「ど、どう……?」
「美味い!めちゃくちゃ美味いよ、これ!」
「そっかぁ、良かった~……」
鶏モモ肉のジューシーで噛みごたえがあって、トマトのまろやかな酸味とコンソメのコク、にんにくが入ってるから、匂いで食欲が刺激されて、ガッツリしているのにバクバク食べられる。
面倒くさい時は、市販のトマトソースを使うんだって。
玉ねぎやじゃがいもの野菜もホクホクで甘い。
これは、とろけるチーズをかけると更に……って思っていたら「とろけるチーズ、欲しい?」と言われ、お願いすることに。
レンチンして、とろけたチーズを絡めて食せばもう……
ご飯とトマト煮の交互エンドレス……
しっかりおかわりまでして、ご馳走様した。
「めちゃくちゃ美味かった……」
「良かった!簡単に作れるから、よく作り置きして食べてたんだ。心に余裕がある時」
「そっか」
「また今度、作るね」
「心に余裕がある時にね」
「うん、そだね」
みーちゃんには先に寝てもらい、僕はお風呂に入った。
僕はみーちゃんの為に、声優になった。芸能界に入れるなら、何でも良かった。
僕の才能を見つけてくれた今の事務所に、声優として入ってくれないかと言われたので、二つ返事で所属契約をした。
有難いことにオファーがもらえたり、オーディションを勧めてもらえたり、いろんなことに恵まれてここまで来られたんだと思う。
そして雑誌に載れば、いつかみーちゃんに見つけてもらえると思って頑張っていた。
だけど、みーちゃんは僕を覚えていなかった。それはとてもショックだったけど、何とか思い出してくれたお陰で、ようやく僕とみーちゃんは結ばれた。
あんな冷たいことを言って、焦らせて困らせてしまったけど……何とかなって、本当に良かったと思う。
後は僕のことを“推し”ていて、僕の演じたキャラクターやアニメを愛してくれている。
こんな奇跡が起こるなんて、夢にも思わなかった……
こんなにも幸せでいいのだろうかと不安にもなったけど、今まで頑張った努力が実ったんだ。
逆に幸せじゃないと申し訳ないよな、と思ったので幸せに浸ることにした。
みーちゃんと一緒に暮らせて、みーちゃんの手料理も食べられて……僕は世界一の、幸せ者だ。
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