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あの頃の彼は
しおりを挟むあの頃の朱乃くんは、優しかったと思う。
さり気なく助けてくれたり、気遣ってくれた。それなのに、どうして!?
今では私にツンツンツンツンで、デレなんて1ミリも出してくれない!!!
そりゃあ、毎日告白してくるような鬱陶しい私なんか、恋愛対象じゃないかも知れないけど……
でも、流石に折れてくれると思ったのに……なかなか手強いヤツだ。
クラスのみんなも薄々、私が朱乃くんのこと好きだって知ってる。
それでも、彼は断固として塩ツン対応を続けている。
しかも、急だった。
喧嘩したとか、言い合いになったとか……誰かに冷やかされたとかもない。
何故、彼が塩ツン対応になったのか……さっぱり分からない。
分からないからこそ、困る。
仲良くしたいだけなのに。あわよくば、多少なりとも好きになって欲しい。付き合いたい!
それに最早、朱乃くんへの告白がネタだと思われて、クラスのみんなにいじられるようになってしまった。
「今日も告白したの?」
「いつ告白するの?」
「また、フラれたの?」
うぅぅ……朱乃くんへの告白は、決してネタでも冗談でもなく、本気なのに……
朱乃くんが外部へ高校受験をしない限り、内部進学で高校へは行ける。
でも、必ずしも同じ内部進学に進むとは限らない。
それに高校だと学科が色々あるから、同じ学科になれる保証もない。
はぁ……辛い。学校へ行けば逢えるけど、冷たい態度の朱乃くん。
今日もカッコイイですっ!(私から見たら)
朱乃くんって、イケメン過ぎなくてこう……何ていうんだろう。
すっごく丁度いいのよ!(おい、語彙力)
何か、好みのタイプだし!爽やかさもあって、面白くて楽しくて……
ムードメーカー的存在でもあり、頼りになる。
はぁ……何だか私、朱乃くんで小説が書けそう!
いやいやいや、そうじゃない。
どうして、私だけ塩ツン対応なのか。考えてみよう……
私、何か気に障るようなこと言った?した?
いや、普通に挨拶しただけだし。いつも通りに告白しただけだし。
それに、迷惑なら「迷惑だ!もう二度と告白してくんな!」ぐらいは言うと思うんだけど……
「無理」「意味分かんね」「出直してこい」の3パターンが主な返事だしな……
嫌われているわけじゃなさそうだし、告白するチャンスをいただけてるだけでも、有難く思った方が良いのよね……?
いつも玉砕してるけど、じゃあどんな告白なら、OKしてくれるの!?
もう、分からない……
ドラマ、漫画、アニメで「これは胸キュン!この台詞なら、イチコロよ!」って思っていても、却下される始末。
心が折れそうになったこともあった。あまりにも玉砕し過ぎて、涙が出たこともあった。
そんなにフラれるなら諦めたり、嫌いになることもあったんだろうけど、それでも私はめげずに告白し続けた。
だって、やっぱり好きだから……
クラスのみんなからは最早、勇者だと言われた。
強者だな!とも言われた。
私、そんなつもりで告白してない。本当に本気で好きだから、付き合って欲しいから告白してるのに~~!!
厳し過ぎるよ、塩ツン王子!!!
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