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攻防戦

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    学校に行く度に、イケメン双子とのかくれんぼが続き、心身共にすり減ってきた……
咲音受さねず先生に匿ってもらいつつ、双子に叱ってもらいつつも、なかなか収まらない攻防戦に嫌気が差してきた。
いつまで、こんなことしなきゃいけないの?
何で、隠れるようにして過ごさないといけないの?
悪いことなんて、してないのに……
双子そっちが諦めて、大人しくなってくれれば解決する話なのにさ。
それに、私のこの顔はだ。
じゃない───
コンプレックスに感じるところを、化粧で上手く誤魔化して作っているだけ。
そんな表面上だけ好きになられても、本当の私すっぴんを見たら絶対、幻滅される。
それで「騙された」って言われて、捨てられるんだ……きっと……
それならいさぎよく、本当の私すっぴんの顔で行けば解決する話だ。
でも、本当の私すっぴんで学校に行く勇気なんて……私にはない。
もう……“あんな思い”なんて、したくないから。
何か別の方法を考えないと……逃げているだけじゃ、何も解決しない。
話せば分かってくれるかな……?
せめて、大和くんだけでも分かってもらえれば……

「姉貴?どうしたの……って、明季ちゃん!?」
「こ、こんにちは……」
お姉様に頼んで、大和くんと話す機会を作ってもらえたのはいいけど、どこから何を話そうか……
「僕を選ぶ気になったの?」
「いや、そうじゃなくて」
「ふふ、即答だね」
「あっ、ごめん……なさい……」
「いや、別に大丈夫だよ。それで?今日は、どうしたの?」
「あの……実は───」
私の聞いて欲しい話を一通り聞いてもらい、大和くんはだんまりをしている。
やっぱり、ブサイクは用ナシだよね。
それなら、諦めてくれるかな?
「じゃあさ、化粧落としてみせてよ」
「へ……?」
「ブサイクって言っても、僕が気にならないなら別に良いと思うんだ」
「いや、あの……」
「それにすっぴんが嫌なら、ずっと化粧していても構わない。すっぴんにこだわりもないし」
「えっと……」
「僕はの明季ちゃんでも、構わない。無理やり嫌な思いなんて、させたくないし」
だから、僕は大丈夫だよ?と言われましても……
諦めて欲しいから、言ったのに全然、気にも留めず軽々と終わってしまった……
どうしよう。
「で、でも誰かに会って紹介する時に二重のテープやら、ノリやらがたまたま剥がれかけていたら?不自然な瞼をしてるって、バレたら?」
「そんなの、僕が気付いた時はさり気なく教えるよ?気付かなかった時は、今日は調子が悪くてって言うし」
どうしよう……ああ言えばこう言われるから、らちが明かない。
「考えます……」
「うん☆良い返事、待ってるね」
話すだけで疲れるのなんて、生まれて初めのことだ。
大和くんだから、会話出来たけど大翔くんだったら?
まともに会話出来る気がしない……
ただでさえ、顔付きがちょっと怖いし何言われるか分からないから、ちゃんと会話出来るのか不安だし……
大和くんに頼んで、私のことを大翔くんに話してもらおうかな。
でも待てよ?そうしたら「アイツ、大和と二人きりで話したのか」って、怒ってくるかな……?
そうしたら、かくれんぼがより一層ヒートアップしそうだ……!!
ここは、しばらく様子を見よう。


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