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保健室の先生は神様でした
しおりを挟むぜぇぜぇ必死に走っていると、保健室が目に入った。
保健室の先生は、若くて可愛くて美人さんだ。
全校生徒の憧れの的で、私も密かに憧れている素敵なお姉さん!
「失礼、しま……す」
「えっ、どうしたの!?」
かくかくしかじかと説明すると、保健室の先生は「許せん!嫌がらせも大概にしろよ!」と怒っていた。
可愛くて美人な先生から出る男勝りな言葉に驚きながらも、とても頼もしくて惚れるところだった。いや、惚れた。
かっこいいよ、姐さん!
「ここは私に任せて、ゆっくり休んでなさい」
「ありがとう、ございます」
「良かったら、これ飲んで」と冷たい紅茶を置いていってくれた。
あぁ……女神様ぁあああ!このご恩は一生、忘れません!!
感謝しても、し尽くせない!!!
よく冷やされた甘い紅茶を、ぐびーっと飲んで生き返り、疲れた足・腰を休ませる為にもベッドに横になった。
「はぁ……とりあえず、ここで体力を回復しておかないと……」
確か、今日は母が仕事休みだったような……
スマホを取り出し、母に連絡。
すると「ごめんね、仕事なの」と返ってきた。
「えっ!今日、休みじゃなかったの?」
「そうなんだけど、パートの人が休んじゃったらしくて」
「それで、ママが行くことになったの?」
「そうなのよ~」
「そっか……」
「どうしたの?」
「いや……ちょっと事情があって、迎えに来て欲しかったんだけど……」
「そうなの!?大丈夫!?」
「大丈夫……ではないけど、仕事なんでしょ?何とかするから……」
「本当にごめんね、帰ったら話聞くから!」
はぁ……どうしよう。
このまま、放課後まで休ませてもらうわけにはいかないだろうし……最悪、みんなが授業中に帰るしかない。
「あの……先生」
声を掛けると、先生が「何?どうかした?」って笑顔で優しく答えてくれた。
「マ……お母さん、仕事で迎えに来れないみたいで……」
「あ、そうなんだ……」
「それで、教室にあるカバンを取ってきていただきたいのですが……」
「あぁ!おっけー、おっけー!いいよ、取って来るね」
「ありがとうございます」
「んじゃあ、取って来るから鍵閉めとくね!誰かに言われても、居留守使ってね!」
「はい……!」
うわぁあああ!叫びたいぐらい私は今、幸せだ。
こんなに匿ってくれる人が、学校内に居たなんて……!
なんて奇跡なんだ、もう泣きたいぐらい。
「少しだけ、寝てようかな……」
保健室の先生が戻ってくるまで、寝ていようと思う前に私は眠りについた。
*******
「見つけた」
すやすや眠っている、お姫様。
寝顔が幼く見えて、とても可愛らしいと思う。
「俺のこと、選んでくれねぇかな……」
「好きなんだよ」
眠っているお姫様に向かって、俺は呟いた。
姉ちゃん、甘いんだよ。外から鍵を掛けたって、窓の鍵が開いてたら……
こんな風に侵入して、明季を奪うことなんて簡単に出来るのにさ。
「俺の方が、お前のこと……好きなのに」
伝わらない、この気持ち……どうすればいい?
俺は素直になれないから、つい憎まれ口を叩いてしまう。後は、強引にするクセがある。
「俺のモノになれ」なんて、向こうにも想いがあるのに。
俺以外のヤツのモノになるのが怖いんだ。
だから、強引にでも俺のモノにして安心したいんだ。
こんなことしたって、明季が手に入るわけでもないのに……
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