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えっ、そんなことあったっけ?
しおりを挟む私は、あれから行くあてもなかったからトボトボ家に帰った。
母の靴がある……ということは、今日は仕事が休みなんだ。
無断で帰ってきたから、何だか顔を合わせるの気まずいな……
「あら、どうしたの?」
「ちょっと、体調が悪くて……」
ゆっくり休みなさいね、とだけ言われひと安心。
本当にゆっくり休もうと、部屋着に着替えて布団に潜る。
そして、さっき学校で起こった出来事を思い出す。
あんなイケメン二人に告白されるなんて、人生で生まれて初めてだったな。
でも、どうして私?もっと可愛くて美人な、二人に相応しい女の子は、山ほど居るのに。
きっと、どんな反応するのかな?って、からかったに違いない。
そうだ。きっと、そうだ!それしか考えられない!!
その日、私は夕食をいつもより多めに食べた。
翌日、私は重い足取りで学校へ行った。嫌だなぁ、行きたくないなぁと……転校してきて初めて思った。
私がクラスに着くと
「多月さん、それでどっちを選ぶの!?」
「大翔くん!?」
「それとも、大和くん!?」
「あ、あの……選ぶって」
「昨日、二人に告られてたでしょう!?」
「で、どっちと付き合うの?」
「いや、私なんて恐れ多いし……それにきっと、からかっただけだよ」
「そんなことないよ!」
「あの後、二人とも落ち込んでたよ」
「えっ……!?」
クラスの子によると、私がクラスから逃げるようにして出て行った後、大翔くんが大和くんに「お前のせいで、明季が出て行ったじゃねーか」
「お前が来なければ、明季ちゃんは僕の告白を受け入れてくれていたよ」
など、ちょっと喧嘩に発展しそうになったらしい。
たまたまチャイムが鳴り、先生が来たのでその場は何もなかったが、それが数分遅ければどうなっていたことやら……だったそうだ。
「でも、わ、私何もしてないよ」
「でも王子二人には、何かあったんじゃないの?でなきゃ、告白してこないと思うよ」
「それは、そうだろうけど……」
そもそも関わったことも連絡事項以外、話したこともない。
大翔くんに至っては、挨拶すらしたことないのに……何故?
謎が謎を呼び、余計に頭がこんがらがってしまう。
もしかして、子どもの頃に会ったことある?
いや、その可能性はないだろう。
もし、そうだったとしたら覚えているはずだと思うし……
考えても分からないので、思考を停止した。
担任の先生が来るまで、チョコレート食べよ♪
学校が終わり、帰宅してから私は幼稚園と小学校の卒業アルバムを引っ張り出して捜した。
でも、大和くんや大翔くんの名前なんて載ってない……
「じゃあ、どこで……」
「あら?懐かしいアルバム開いて、どうしたの?」
「あっ、ママ……」
「ん?どうしたの?」
母に昨日の出来事と、大和くんと大翔くんの話をすると
「あぁ!確か、小学校2年生ぐらいじゃなかったかしら」
母は、大和くんと大翔くんを知っていた。
「えぇええええ!?」
「明季と同じクラスだったのよ、あそこ双子でしょう?」
「うん……」
「その時の明季、ちょっとしたモテ期だったから」
小さい頃は、誰しもモテ期だったはず……!
自分が見ても思う……幼い頃の私、可愛いな!!
「その、小学校2年生の頃にお父様の仕事の都合で、引っ越すことになったらしくて……」
「そう、だったんだ……」
「で、その二人はどんな感じなの?」
「どうって……大和くんは優しくて、王子様って感じ。大翔くんは、やんちゃしててちょっと怖い……かな」
「あら、そうなの?」
母は楽しそうに話を聞いてるけれど、どちらを選ぶのか迫られているこちらとしては、一刻も早くも逃げたい気持ちでいっぱいなんだが!!!
というか、諦めてくれないかな。
一重すっぴんで行けば、流石のブサイクさに告白を無かったことにしてくれるのかな。
陰キャで男子との関わりが皆無の私にとって、ハードルが高過ぎるし男子、怖いからあまり関わりたくないんだよなぁ……
それに、やっぱり心のどこかで「からかってるのかも」っていう、不安は残ってるし……
魔法さえあれば、ちょちょいのちょい!で解決~☆って、出来るのに。
どうしよう、せめて1週間ぐらい休みたい……
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