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ある意味で心臓に悪いです
しおりを挟む推し様に見事、完敗した私は悔しい思いのまま、眠れない夜を過ごした。
「……はよ」
「……ちゃん?」
「みーちゃん!おはよー!」
「うわぁああ!」
「朝ですよー、起きてくださーい」
「びっくりした……」
「仕事、遅刻してもいいなら添い寝するよ?」
「したくないので、結構です!」
「あははは、そんな露骨に言われると、傷付くなぁ~」
本当は、傷付いてないクセに。余裕なクセに!
くぅうう~!悔しいいいいい!
不機嫌満載で支度し、朝食を食べた。
くそぅ、今日もめちゃくちゃ美味いではないか。
ちゃっかり、朝食を完食して時計を見る。
あれ……?後30分以上も余裕がある……気付かないフリして出よう。
「じゃあ、いってきまーす」
「はい、お弁当」
「あっ、ありがとう……」
「今日も、お気を付けて」
くぅうう~!今日も完璧だった推し様。悔しい!私だけ、いつもいっぱいいっぱいで余裕がない。
それに朝、起こすのだって普通に起こしてくれればいいのに、戸上さんの声で起こすし……
心臓に悪いから、本当にやめて欲しい。
しかも「私が推し様と結婚したくなるように」って……
私の気持ち、全っっ然!分かってなーーいッ!!と心の中で、思い切り叫びながら出勤した私であった。
仕事が終わり、甘いものでも買おうかな~とコンビニに寄り、帰宅した私。
「あれ……?今日、仕事だったっけ」
推し事してるクセに推し様のスケジュール、ちゃんと押さえておけよ!とセルフツッコミをかましつつ、電気を点けて冷蔵庫を開けて推し様が作ってくれた夕食を、レンジで温めて食べた。
コンビニスイーツは、推し様が帰ってきてからにしよう。
お風呂も入り、いつものルーティンを済ませて布団へダイブ。
動画やらネットサーフィンやらをしていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
*******
「ただいま~」
今日は、夕方から日付けが変わる頃まで仕事だった。
もう、みーちゃんは寝ているのだろうか。
みーちゃんの気持ちは分かる。だけど、僕はみーちゃんをもう、二度と離したくない。
法律上での婚姻関係になれば、みーちゃんは僕から居なくなったりしないだろう。
法律上で縛られていれば、簡単に離れることは出来ないハズだ。
我ながら、怖いことを考えているなとは思うけれど、みーちゃんは僕の初恋の人だ。
あれから何年経っても、みーちゃんを越えるような女性は現れなかった。
それほど、僕はみーちゃんに惚れ込んでいる。
“美華は僕のモノだ”と、ちゃんとした証明が欲しい。
だから、僕は結婚にこだわる。
あんな意地悪なことを言ってしまって、申し訳ないとは思ってるけど……僕だって譲れないことはある。
みーちゃんが眠っている姿を愛でてから、僕はみーちゃんの唇にキスをして眠った。
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