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10. これ以上、恥の上塗りをするのは止めて頂きたい!
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「何をしている!
これは命令だ。今すぐそこの無礼ものを捕らえよ!」
宰相が苛々と兵士に命じますが従う者はおらず。
「兵士長!
誰がお前をその地位まで導いてやったと思っている。
楯突くなら、どうなるか分かっているよな?」
ついには権力を盾に脅しだす始末。
「国外追放という不当な扱い。
そんな仕打ちを受けたにも関わらず、国の危機に駆けつけて下さった聖女様に何を言うか!
これ以上、恥の上塗りをするのは止めて頂きたい!」
兵士長は、断固として拒否。
「おのれ。どいつもこいつも、不満ばかり言いよって!
なら黙って見ておれ。貴様の心酔する『聖女』の幻想が崩れるのをな!」
この場に味方がいないと悟り。
宰相は顔を真っ赤にする、こちらに向き直りました。
◇◆◇◆◇
「どんな仕掛けを使って兵たちの心を掴んだのか分からないが。
アルシャ、貴様を詐欺罪で捕える。
国外追放では生温い。まともな死に方ができるとは思うなよ」
宰相は持っていたゴテゴテした杖を向け、私を脅します。
傍にいた兵士が、私を庇うよう間に入ろうとしますが――
「大丈夫ですよ。立場上、真っ向から逆らうのもまずいですよね?」
私は一歩前に出ます。
この偉そうな人には、帝国で働かされていた時から言いたい事がありましたから。
「あなたが聖女の力を信じないのは構いませんが。
故郷には、聖女の帰りを待ってる人がいます。
私に杖を向けるなら――それなりの抵抗はさせてもらいますよ」
『これまでのうっぷんを晴らすよ~』
『やってやるの!』
妖精さんたちもやる気十分。
「面倒なことになると、あとで村に迷惑がかかる。
こちらからは、手を出したらダメよ」
『ぎちょんぎちょんにしてやろうよ~』
『つまらないの~』
張り切りすぎて、やり過ぎないように。
念のため釘をさすと、妖精さんは不満たらたらな様子。
「ええい、そのような演技は私には通用せぬぞ。
覚悟は良いな!」
――これが帝国の魔法技術の最先端だ
そう言いながら、宰相は自慢の杖を振り抜きました。
魔法技術の最先端ですか。
こちらに向かってくる土塊を見ながら失笑してしまいます。
不意打ちでも通用しないヘナチョコ魔法で、私と妖精さん達を相手にするつもりですか?
『え~いっ!』
そんな気楽な声とともに、飛来する土塊は向きを変え
「なっ!?」
自慢の魔法が跳ね返され、啞然とする宰相を直撃。
吹き飛ばされ背後の岩に叩きつけられ、すっかり戦意を喪失した様子。
「こ、こ、こ、こんなことをして。
た、タダで済むと思ってるのか!」
ちらっと宰相の息子を見ると、ガタガタ怯えながらも杖を抜きました。
そんなに怯えなくとも、取って食ったりしませんってば。
それにしても面倒なことになりました。
なるべく故郷に迷惑はかけないように、と思っていましたが。
これは恨まれますね……。
そんなことを考えていると――
「さてと。ただで済まないのはどちらかな……?」
兵たちの中から出てきたのは、高貴な服に身を包んだお方。
「ち、父上!?」
第三皇子は、呆然と呟くのでした。
これは命令だ。今すぐそこの無礼ものを捕らえよ!」
宰相が苛々と兵士に命じますが従う者はおらず。
「兵士長!
誰がお前をその地位まで導いてやったと思っている。
楯突くなら、どうなるか分かっているよな?」
ついには権力を盾に脅しだす始末。
「国外追放という不当な扱い。
そんな仕打ちを受けたにも関わらず、国の危機に駆けつけて下さった聖女様に何を言うか!
これ以上、恥の上塗りをするのは止めて頂きたい!」
兵士長は、断固として拒否。
「おのれ。どいつもこいつも、不満ばかり言いよって!
なら黙って見ておれ。貴様の心酔する『聖女』の幻想が崩れるのをな!」
この場に味方がいないと悟り。
宰相は顔を真っ赤にする、こちらに向き直りました。
◇◆◇◆◇
「どんな仕掛けを使って兵たちの心を掴んだのか分からないが。
アルシャ、貴様を詐欺罪で捕える。
国外追放では生温い。まともな死に方ができるとは思うなよ」
宰相は持っていたゴテゴテした杖を向け、私を脅します。
傍にいた兵士が、私を庇うよう間に入ろうとしますが――
「大丈夫ですよ。立場上、真っ向から逆らうのもまずいですよね?」
私は一歩前に出ます。
この偉そうな人には、帝国で働かされていた時から言いたい事がありましたから。
「あなたが聖女の力を信じないのは構いませんが。
故郷には、聖女の帰りを待ってる人がいます。
私に杖を向けるなら――それなりの抵抗はさせてもらいますよ」
『これまでのうっぷんを晴らすよ~』
『やってやるの!』
妖精さんたちもやる気十分。
「面倒なことになると、あとで村に迷惑がかかる。
こちらからは、手を出したらダメよ」
『ぎちょんぎちょんにしてやろうよ~』
『つまらないの~』
張り切りすぎて、やり過ぎないように。
念のため釘をさすと、妖精さんは不満たらたらな様子。
「ええい、そのような演技は私には通用せぬぞ。
覚悟は良いな!」
――これが帝国の魔法技術の最先端だ
そう言いながら、宰相は自慢の杖を振り抜きました。
魔法技術の最先端ですか。
こちらに向かってくる土塊を見ながら失笑してしまいます。
不意打ちでも通用しないヘナチョコ魔法で、私と妖精さん達を相手にするつもりですか?
『え~いっ!』
そんな気楽な声とともに、飛来する土塊は向きを変え
「なっ!?」
自慢の魔法が跳ね返され、啞然とする宰相を直撃。
吹き飛ばされ背後の岩に叩きつけられ、すっかり戦意を喪失した様子。
「こ、こ、こ、こんなことをして。
た、タダで済むと思ってるのか!」
ちらっと宰相の息子を見ると、ガタガタ怯えながらも杖を抜きました。
そんなに怯えなくとも、取って食ったりしませんってば。
それにしても面倒なことになりました。
なるべく故郷に迷惑はかけないように、と思っていましたが。
これは恨まれますね……。
そんなことを考えていると――
「さてと。ただで済まないのはどちらかな……?」
兵たちの中から出てきたのは、高貴な服に身を包んだお方。
「ち、父上!?」
第三皇子は、呆然と呟くのでした。
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