上 下
105 / 114
第七章 闘技大会編

勇者とアル

しおりを挟む
勇者とアル


「おぉ!アルじゃねぇか!」

え!何でノヴァさん!?
たしか仕事でイルス魔導国に行ってたはずじゃないの?帰ってきたにしてもなんでフリーデン王国?

「ノヴァさん!なんでこんなところに?イルス魔導国の仕事は終わったんですか?」

「あぁ無事終わったぜ!色々事情があってここにいる」

事情?
あ!ノヴァさんも闘技大会に参加するのか!
ノヴァさんも参加となると結構楽しそうだな。正直ノヴァさん以上の相手はいないと思ってたからな。

「親父!なんでここに!」

「おぉ!フォヴァ!お前も闘技大会出るのか?」

「クラスで参加するんだよ!」

「そうなのか?そりゃとんでもねぇ化け物揃いになったな!」

「おうよ!」

さっきから思ってたんだが、ノヴァさんと一緒にいる4人は誰だ?やたら豪華な装備を着用しているんだが。

「親父と一緒にいる4人は誰だ?」

「気になるか?驚くと思うぞ?」

驚く人物?
俺はまじまじと4人の顔を見る。するとだんだん思い出してきた。
異世界に転生して10年だから忘れていたが、対面して思い出してきた。
この顔は日本人だ!
ということは勇者か!

「この4人は勇者だ!アルに用があるらしい」

やっぱり!久々の日本人だな!日本語なんてずっと喋ってないから忘れてそうだ。

「こんにちは英雄アルベルト様!(日本語)」

「この人が英雄なのね!(日本語)」

これは日本語!どうやら全然忘れてなかったようだ。
日本語を喋れるってことはやっぱり日本人か。見たところ勇者、侍、タンク、魔法使いのパーティーか。

「こんにちは勇者一行。僕はアルベルト・フォン・エルフォードです。日本の名前は火神走人だよ(日本語)」

相手が日本語なら俺も日本語で喋ろうと思う。日本人相手に異世界語はなんかややこしいしね。

「やっぱり日本人なんですね!」

「ということは転生者ね!」

「そうですよ。24歳の頃に日本で死んでこっちの世界に転生しました。あなたたちは高校生くらいですか?」

「はい!高校生です!僕たち4人は同級生で、幼馴染です。この世界には魔王を討伐するために召喚されました」

ほんっとすみません。その理由俺が原因です。

「渚のスキルで分かったんですが、魔王はカノン王国に潜伏してるようなのです」

ほんっとすみません。その原因俺です。

「魔王めは力を蓄えていると思われます」

ほんっとすみません。ご飯あげて力を蓄えさせたの俺です。

「そこでアルベルト様に協力を願いたいと思ってます」

ほんっとすみません。協力どころか、魔王と俺は主従関係になってます。

「どうでしょうか?」

「そ、そそそうですね…」

どうしようどうしよう。敵対してライを傷つけるわけにもいかないし、かといって敵対してるフリだとバレそうで怖い。ここは素直に事情を話すか?
いやいや、そんなしょうもないことで召喚されたって知ったら……多分相当恨まれるだろうな。

………いっそのこと俺が魔王側に立ってしまえば?
前世でも悪役とか厨二性があって好きだったし、なんといっても悪役はカッコいい。

え、俺って天才?

俺が魔王役をやって倒されたフリをして、速やかに地球に帰ってもらおう。
俺だって主神だし、地球に送り返すことくらい出来る。

待って、この作戦よくね?
どちらも満足した形で終われるじゃん!

うん!この作戦にしよう!

「分かりました。詳しい話は闘技大会にが終わってからにしましょう。そろそろ時間ですし」

「アル?魔王とか言ってたがなんのことだ?」

魔王の話は俺と俺の家に住んでる者、各国の重鎮しか知らないので、当然みんなは知らない。
知らないみんなを代表してフォヴァが聞いてきた。

「まぁその辺は闘技大会が終わってからにしよう。もう質問するの無しね」

「分かったぜ」

「闘技大会!もうそんな時間か!あ、そういえばアル、お前に伝えたいことがあったんだった」

「なんですか?まさか闘技大会には参加しないんですか!?ノヴァさんが出るなら面白そうだったのに…」

「まぁそれも正解だ。だが俺が伝えたいのは別にある」

「そうなんですか?」

「あぁ。気をつけろよアル。この大会は隠れていた化け物がこれでもかってくらい出てくる。その中でもアルと同等、もしくはそれ以上の奴が1人いるんだ。アルなら勝てると信じてるが…気をつけとけ」

俺に匹敵する奴がいるだと!?
おいおいなんかの冗談か?主神の俺に匹敵する存在なんていてたまるか。
というか俺以上ってことは、そいつが主神になるはずだ。
となると能力値的には俺より弱いが、技術がすごいってことかな?

の名は───」

「闘技大会の観戦をする方はこちらが最後尾でーす!」

ノヴァさんが喋ってる途中に宿の外から声が聞こえてきた。

待て待て、ここが最後尾だと?
ここは町の中心部だぞ?どんだけ観客席いるんだよ。

「やべー!もう始まる!」

「みんな行くわよ!」

「ということなのでノヴァさん!忠告ありがとうございます!ですが負けないので安心してください!」

「お、おう」

俺たちは宿を出て、町の端にある闘技場に向かって走り出した。



◇◇◇

《闘技大会開催の3日前》

「やめてくれッ!やめっやめっ──グワーッ」

ある男が森で人を殺した。

「おいおいAランク冒険者って聞いてたのに、たいしたスキル持ってねぇのかよ。時間の無駄じゃねぇか」

その男は一緒に同行したAランク冒険者4名を殺して、そう言った。

「ん?なんだこれ?闘技大会?」

Aランク冒険者の服から紙が出てきて、男はその紙を見て高揚していた。
理由は強い奴らがいっぱい集まるからだ。

「はっはッ!やはり俺には運があるようだな!この闘技大会で皆殺しパーティを開いてやるぜ」

「グルルァア!」

木の陰から体長5mほどの赤い体をした巨体が出てきた。
ブラッドオーガだ。Aランクの魔物に分類され、比較的凶暴かつ強大な魔物だ。

「うるさいッ!アシッドジャベリン×20」

男は出てきたブラッドオーガに見向きもせずにスキルを使った。

アシッドジャベリン。
それはSランクの魔物、デススネークが使う酸の槍の攻撃だ。
そのスキルを一度に20本もだし、ブラッドオーガを串刺しにした。

「はぁ…新しく手に入ったのは剛腕だけかよ。まぁいい。闘技大会では大収穫できそうだな!俺はこの殺した相手のスキルを強奪するスキル【強奪】で神になってやる!ここから俺の新世界創造計画の始まりだ…」

男はフリーデン王国に向かって歩き始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

勇者とアルの初対面でしたね!
どうだったでしょうか?よければ感想ください!

最後には乱入者が出てきましたし、これからの展開に期待していてください!


次回から本格的に闘技大会が始まります!

しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...