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第六章 勇者編

魔王を滅するカギ

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魔王を滅するカギ



模擬戦が終わったので僕達は応接室に戻った。

「さて、これで君たちが勇者一行なのは証明された。これから魔王を滅するカギについて話し合おうと思う」

「その前に質問いいですか?」

「うむ、なんだ?」

「ノヴァさんって何者なんでしょうか?僕たち勇者一行をまとめて相手取ることが出来るくらいでしたので」

「ああ、そういえば俺のことについて何も言ってなかったな!俺はSSランク冒険者1色ファーストの《拳王》ノヴァだ!」

「「「「1色ファースト!?」」」」

1色ファーストって冒険者の頂点の?」

「今はアルがいるから頂点じゃねぇが前はそうだったな!」

「《拳王》ですか、ノヴァさんに相応しい二つ名ですね」

「ノヴァさんより強いなんて英雄アルベルトの強さが想像出来ないわね」

「いやいやお前ら、アルを舐めちゃいけねぇ。俺なんてアルの足元にも及ばないぞ」

は!?それはありえない!そんなの人の限界を超えてるレベルだぞ?いくらなんでもノヴァさんの謙遜だろう。

「足元にも及ばないって具体的にはどのくらいなんだ?」

「1年半前くらいに一回模擬戦をしたことがあるんだが、アルの一撃で瀕死状態にされて俺の全力の一撃を無傷で防ぎやがったんだ」

「なっ!ど、どうやってノヴァさんにダメージを与えたんですか!」

「えーと確か、外が硬くても中が脆ければそこをつけばいいとか言ってたな」

「中?どういう意味ですか?内側から魔法で攻撃したんですか?」

「いや違う。俺の筋肉に手を当てられた瞬間、内臓を掻き回されてる感覚になったんだよな。ほんと奇妙な技だぜ」

「なるほどそれは柔拳ですね。僕たちがきた世界に伝わってる技だと思います」

「ほう?面白れぇな。ん?待てよ。てことは!」

「「「「英雄アルベルトは日本出身!?」」」」

「いや待て!この世界にも似たような技があるかもしれないだろ?」

「そうね。まだ決まった訳じゃないわ」

「ん、日本人だったら転生」

「これはますます興味が湧いてきたね!」

英雄アルベルトが日本人だとしたら嬉しいことこの上ない。この世界で同郷の人が見つかるなんてね。

「とまあこの話は終わりにして、魔王を滅するカギのこと聞かせてください!」

「うむ、実はすでに宰相に頼んでこの部屋に持ってきてもらってたのだ」  

「「「「おお!」」」」

「魔王を滅するカギの正体はこれだ」

そう言って出されたのは4つの装備だった。

1つ目は金色に輝く聖なるオーラを纏った剣。

2つ目は刀身が白く、どんなものでも斬れそうな刀。

3つ目はどんな攻撃でも完全に防ぎそうな紫色の大盾。

4つ目は黒色のロッドに紫色の丸い球体がついた杖。


「これは左から聖剣エクスカリバー、妖刀村正むらまさ、イージスの盾、賢者の杖だ。これらは先代勇者様方が残してくださった魔王を滅するカギだ」

「す、すごい!どの装備からも強大な力を感じます!」

「まさかこれを使ってもいいのか?」

「この刀、とんでもない斬れ味だわ」

「この杖も秘めてる魔力が尋常じゃない」

「うむ、これらの装備を其方らに授ける。もうこの国を出ていってしまうのだろう?」

「はい、元々滞在する予定ではなかったので」

「そうか。ならば魔王を討伐した暁にはこの国にも来てくれ」

「はい!行かせていただきます!」

「うむ、ではこの装備を其方らに授ける。見送りは…いらんな。武運を祈っているぞ」

「「「「ありがとうございます!」」」」

それから僕たちは装備を装着してこの国を出た。もちろんノヴァさんも一緒だ。

正直今回ノヴァさんと模擬戦をするまでは自惚れていた。自分たちは無敵だ、魔王なんて倒してやる。そう思っていた。だが思い知らされた。上には上がいるということを。


次に向かうはカノン王国。
もっと強くなって絶対に魔王を討伐してやる!
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