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一章 悪役令嬢のフラグを避けましょう

モナク

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「おはようございますスキアー様」
「「「「おはようございます」」」」
「おはようマリアンヌ!みんな!」 

部屋に入ってきた大勢のメイド達。
その先頭にいるのが、俺の事をよく理解して色々と教えてくれるメイド長、マリアンヌ。
スカーレット色の髪をすっきりとポニーテールに束ねておりメイド服が良く似合う可愛らしい顔をしている、27歳の女性だ。

「!大妖精モナク様、いらしていたのですか・・・申し訳ありませんでした」

メイド達が一斉に頭を下げる。
そのハズ、この世界の価値観はこんな感じだ。


神様

大妖精(と、その契約者)

大精霊(と、その契約者)

精霊

国王

その他・・・もろもろ


神様とやらがモナクを大妖精に選んだと考えると、今この世界で最も力を持っているのはモナクに違いない。
普段ならばモナクの姿は俺・・・ゲフンゲフン、私にしか見えないんだけどたまにこうやって実体化する。

『構わない。スキアー、着替え終われば呼んでくれ』

モナクはそう言って私の手を取るとそのまま私の手に吸い込まれていった。







「おはようございます、お母様。お父様。」
「やぁ、スキアー。おはよう。よく眠れたか?」
「はい。」
「おはよう、スキアー。朝からモナク様と話してられたのね。」
「はい。モナク様は良くして下さっています」
一通りの会話を終えて席に着く。
今私の目の前に座っているのが母上と父上だ。
母上は国一番の魔法使いで、父上はこの国の騎士団団長。
そして、両脇に居るのが兄達だ。
長男、ドュートゥル・トワイライト。愛称はトワ兄。
私が大妖精の加護を受けた瞬間に学校から家に戻ってくるようなシスコンだ。
母譲りの流れるような金髪に、真っ白な肌をして父譲りの青い瞳を持つまさにイケメン。
シスコン・・・にしてはよく出来た兄で、今は高校生だがずっと成績優秀。首席を守り抜いている。
次男、ドュートゥル・アナザー。愛称はアナ兄。
母譲りの緑色の瞳に父譲りの濡羽色の髪、顔は可愛らしく性格はあざとい。
中学生なのだが、私が少し擦りむいただけでも大騒ぎするからやめて欲しい。
勿論、シスコンだ。

問題はこの次。
・・・次女、ドュートゥル・カプリース。愛称はカプ姉。
小学生で、母譲りの流れるような金髪に父譲りの青い瞳を持った可愛らしい少女だ。
ここまでは良いのだ。
問題は、カプ姉は私の存在をよく思っていないこと。
姉は、私が加護を受けた瞬間みんなからチヤホヤされて顔色を伺われながら愛される道は無くなったのだ。
傲慢な姉はそれが許せないらしい。

しかも、カプ姉の親友が・・・この乙女ゲームのヒロイン。
もうお分かりだろう。

私は、悪役令嬢に転生したのだ。
記憶が正しければ20歳の誕生日に処刑される。
それだけは避けたい!!

「ご馳走様でしたわ」
「今日は何をして過ごすんだい?」

父上の問いに私は子供らしくにっこりと微笑み

「モナク様と遊ぶんですの!」

と答えた。
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