親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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砦終了~新入生編

225話『マリク君との商談』

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午後からはレヴァンヌと一緒にマリク君との商談をおこなう。

私は、部屋に戻って着替えを済ませてからマリク君とレヴァンヌの到着を待った。



ちなみにベリアル様は商談には参加しないよ。

ここ最近のベリアル様も建国祭に向けて? 準備があるみたいで……。

自国に戻ったり、ドルステンの国王陛下の所にと忙しそうだった。



お茶を飲みながら、資料を見つめる。

資料に書いてある内容は、ポーション系以外の薬品を扱う商会の目録だ。

※ここでいう薬品とは、増毛剤や媚薬、肌荒れ薬、軟膏といったもの。



ちなみに、学園の部外者であるマリク君には事前に紹介状を渡してあるので

学園には入ることができるよ。

他の生徒達も、商人を呼ぶ場合は紹介状を事前に手紙で渡してから

日時を決めて来て貰っているのだ。





ドアノッカーの音が響き、先に到着したのはマリク君だ。

案内してすぐにレヴァンヌも到着した。



マリク君の、というかセドリーガン家が所有する商店に置く

ポーション系やそれ以外の薬品の説明などについて話し合った。



商談も終わりという頃に、マリク君が真剣な表情で私に話を振る。





「エミリア様にご相談したい事がありまして」


と話を切り出したマリク君。





「僕、学園を卒業したら実家の家業と並行して

 診療所を開きたいと思いまして……。

 場所は、パナエトリー領にある小さな村です。

 村にはエルフとハーフエルフが多く住んでいるのですが、

 診療所がなくて……」





「まぁ……!

 それじゃあ、治療を受けるには、首都に赴かなくてはいけないわけですね?」





「はい。

 それだけじゃないんです。

 村には、織物屋以外の商店もないので、

 診療所と一緒に薬関連の品物を置きたいなと……

 よろしければ、エミリア様のポーション類を置かせていただけ無いかと」





申し訳なさそうに、目を伏せるマリク君。

エルフ特有の長い耳も少しだけ角度が下がっている。





「かまいませんよ」





2つ返事でOKを出した私に、驚きつつも、マリク君はホッと息をついていた。

その後は、マリク君の話を聞いていたレヴァンヌが、

マリク君に質問を繰り返していた。





「村はエルフやハーフエルフが多く住んでいるのですよね?

 という事は、森よりの村ということで間違いありませんか?」





「そうですね。

 道は整理されていないので、村人達が切り開いただけで

 道は悪く、馬車が一台通れるくらいでしょうか」





「では、ポーションを運ぶためには、それなりの護衛も必要ですね。

 経費と交通にかかる日数など、後日私のほうで調べておきます」





さすがレヴァンヌ。出来る女は凄い!!

テキパキとマリク君との将来取引するに当たっての

収益の計算に入っていた。



実は、ホットネン商会は公共交通機関を使った荷物を運ぶ仕事まで

立ち上げていた。

日本風にいうと郵便配達のような仕事かな?



詳しくは分からないけれど、うちの領からポーションを王都や

コルニクス領の国境砦まで運ぶのも、ホットネン商会の仕事だ。





「お願いしますね、レヴァンヌ。

 もし、村までの街道の整備をするに当たって、必要な経費などは

 相談してくださいね」





レヴァンヌはきっと、こういうところまで調べて実行に移そうとしてくれる。

それを分かっているから、ヴォルステイン家でお金は出すよと

それとなく知らせるのだ。



そして、それを聞いていたマリク君の顔は焦りだしていた。





「エミリア様! レヴァンヌ様! 

 さすがに、そこまでして貰わなくてもいいんですよ!

 村にいるのは、森を知り尽くしたエルフやハーフエルフですし、

 村周辺から街道までは魔物避けの結界が張ってあります!

 それに、街道整備の資金はどこから出てくるのですか!?

 パナエトリー領の街道をさすがに、エミリア様といえども

 勝手にどうこうできないですよね?!」


いっきにまくし立てるマリク君は肩で息をして、

自分の失態に気づき、

落ち着いて「す、すみません」としゅんと落ち込んでしまった。





「マリク君の意見はごもっともですね。

 ですが、きっと大丈夫ですよ」





しかし、私なら、パナエトリー領の街道整備など簡単に許可を貰えるだろう。

なぜって? パナエトリー領を管理しているのはシンシアのお父様だからだ。



シンシアのお父様は、うちのお父様と仲がいい。

私が頼めば簡単に了承してくれる。

多分だけど、この話をもっていくだけで、お金など発生せずに

あっちが勝手に街道整備とかしてくれそうだ。



まぁ、そんなうちとパナエトリー家の関係の話を伏せつつも、

マリク君を説得していく。





「パナエトリー侯爵は、自分の領の民には優しい方なので

 今の話をするだけで、喜んで許可と資金提供をしてくださります」





そうなの? という顔をしつつも、マリク君はなんとか納得してくれた。

街道整備してくれるというのだから、そこは素直に受け止めたらしい。



ちなみに、パナエトリーといえばシンシアのことを思い出すよね。

シンシアは現在、うちのヴォルステイン家に滞在している。

シンシアのご両親は、最初はシンシアのことに驚いていたけれど、

医学に精通しているのはヴォルステイン家だけだからね……。

ジョシュアが全面的に任せてほしいと頼んで了承をとったのだった。



この後は、マリク君との商談を終了させ、

レヴァンヌにお願いしてもろもろの経費などの計算をお願いした。



いつのまにか、敏腕秘書のような役割まで担っているレヴァンヌ。

秘書スーツを着させた姿を想像するだけで、とっても似合っていた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

うp主コメ

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