親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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白魔法の文献編

168話『援軍到着 2』

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宿の入口にいる騎士にあいさつをする。

私の髪の色と顔は王城でよく見かけているはずなので、ほぼ顔パスで入れる。



「殿下とお母様にあいさつにうかがいました。

 通していただけますよね?

 それと、彼はヴェルマ国の王子、ベリアル・ヴェルノーマ様です。

 彼も一緒にあいさつに向かいます」



言い方は上から目線の言い方だけど、これでいいのだ。

まだ私はエドワード殿下の婚約者ということになっている。

私が一番偉いのだぞという意思を込めて堂々とする。



「はっ! エミリア様、ベリアル王子。 どうぞ、こちらへ」



騎士の一人に案内されて、宿の中を進む。

宿の中は新しい絨毯に替えられ、

調度品の類もちょっとだけ豪華なものに取り替えられていた。

お母様が王族が来る事を先伝えで聞いて、替えさせたのだろうね。


宿屋の談話できる部屋前には2人の騎士が立っていた。

私達を確認した騎士の2人は、

部屋への入口前からどいてくれた。


私はノックをして、「どうぞ」という返事のあとに、

扉を騎士に開いてもらう。

優雅に、淑女の礼を取って入室する。


部屋の中には、コの形に置かれたソファーの向かい合わせに座るお母様と、

エドワード兄が。

そして、奥にあるソファーには、

エドワード兄にソックリな顔立ちにクリクリの金髪をアップに纏めた

クレス殿下も座っていた。



エドワード殿下の後ろには、赤い髪と赤い目に引き締まった体をもつ、

近衛騎士団、副団長であるバイゼイン伯爵夫人のマリー夫人が立っており、

マリー夫人の隣にはコンラート様と、夫人ソックリの美女が立っていた。



ひゃああああああああ!?



なんで、クレス殿下とコンラート様が!?

あと、めっちゃ美少女いるやん!

部屋の中のとっても濃いメンバーに私の心境は叫びだしたい気分だった。



私の登場に部屋の中は緊張した空気になった。



とりあえず、私とベリアル様は部屋にいる全員にあいさつを交わす。



「失礼いたします。

 ヴォルステイン家が長女、エミリアです」



「ヴェルマ国王子、ベリアル・ヴェルノーマだ」



私は焦った心境を表情に出さないように必死だった。



「エミリア! 元気そうで良かった……」



立って、こちらに寄ってきたクレス殿下は、

私の手の指先にキスを落とし、とってもいい笑顔だ。



エドワード似なのでイケメンの笑顔がまぶしー!!


「僕は、ずっと、貴女にお会いしたかった!

 本当に心配していたんだ」



クレス殿下は両手を握ってぶんぶんしてくる。

本当に心配してくれたのが伝わったよ。



「クレス殿下、ご心配をおかけしました」



部屋にいる人達に順番に目を向けていく。


エドワード兄とお母様は少しだけしょっぱい表情だった。



ん?



バイゼイン家の人達は美女以外厳しい目つきだ。



あれ?



美女は私達に、なぜか微笑んでいる。



あ、ドーモ。



もしかしなくても私、来ない方が良かったのかも……?

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